映画 天気の子 感想

映画 天気の子 感想と考察について。

1.感想について。

天気の子は純粋に楽しめる自分と、大人的解釈、映画好きとしての解釈としての葛藤が結構ありました。純粋な自分は「ただ会いたいだけ。」そんな主人公に心を動かされ、「ねぇ、今から晴れるよ。」そんなヒロインの優しさに包まれています。

今や、世界的に注目されているアニメーション監督・新海誠。本作では、叙情的な(王道)男女の物語を、美しい色彩と天気の細かな表現、繊細な言葉で織り成すエンターテイメント。かなり面白みがあると思えます。

一方の、解釈だと「全然物語として成り立ってないよ。ただ、ヒロインに会いたいだけ、それだけなんだよ。」「映画的価値観としてあの終わり方はまさに駄作。タブーなんだよ。」と「提供へのアピール強すぎて萎える。どんだけ日清、鉄道会社などなどに媚び売ってんだよ。実写ではそれとなく入れていること多いけど、サントリーやメーカーズマークとかよ。アニメにどんだけ出してんだよ。」なんて思いもありました訳です。

濁った眼、大人びた眼なしだと、すっきりとした爽快感と前向きに生きることができる映画で、観た人たちにたくさんのものを与えてくれると感じられます。観た人たちと微妙に解釈が違うと思いますが、トータル的に大満足ではあるんです。穿った目でしまうのは、どうしても、古い映画好きとしては仕方がないという感じです。

 

2.本作の物語について。

「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」

「あの光の中に、行ってみたかった」その主人公は高校一年の帆高。初めての東京で、怖さをもちながらも、鬱屈とした息苦しさをいつの間にか消えていた。そのきっかけには、彼女陽菜がいたから。彼女との出会いをきっかけに、そんな晴れ女との出会いをきっかけに、世界を変えるほどの大きな出来事が2人の中で目まぐるしく流れる物語となっています。

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所について。

①雨の描写が絶妙な具合に生き生きとしていた。

雨を忠実に再現していました。監督も備えが必要な時代に変わってきた現代。異常気象と言われる時代になにかあった作品を描きたかったとのこと。荒木健太郎という気象庁研究所研究官であり、雲研究者が、本作の気象監修を担っています。その方のおかげで、世界観というか地球上で起こっているかのような妙な説得力を感じさせてくれているのです。

②東京という小さな世界観で、大きく揺れる主人公とヒロインの関係性。

実にありふれた設定かもしれない。東京への憧れ=光の中に入りたいという行動で、主人公は東京という場所で光を求めたのかもしてません。居場所をもとめているのは、現代人に限らず、常に人がもとめています。何故なら、そこに生きている実感がわくからです。ヒロインは東京に住んではいるけれど、母が亡くなっているという設定です。母の代わりに弟をしっかり面倒見ないといけない。そういう面においては、主人公とは違い、息苦しさを東京で感じている印象にもとれます。自由になった主人公と、不自由になったヒロインという対比はきれいにできており、主人公よりも大人びた少女はやはり抱えているものの違い、精神年齢的違いがあります。ヒロインのおかげで動き出す主人公。ありきたりと言えば失礼ですが、王道的展開です。2人の関係が揺れることで、東京という世界も変わるという関係性も面白く、天気に左右される人間もいつか適応していくという様に意外とどうにか生きていけるのです。なんていったって世界なんてものは、元から狂っていますからね。

③圧倒的な存在感、「RADWIMPS」。君の名はからの安定感。

このアーティストの感性と、映画に対する理解度、監督との共鳴性については唸るものがあります。絶対に間違えない曲づくりと、前作「君の名」は同様に観ている人の希望をしっかり掴むような、キャッチ―でありながらノスタルジックな表現力はこの映画を豊かにしてくれています。特に、疾走感溢れる曲とともに流れる主人公の慌ただしい日々、そしてそこに充実感を得る主人公の表情や気持ちに寄り添っています。言うまでもなくラストの展開に向けた「大丈夫」や「愛にできることはまだあるかい」は若い年齢層に絶大なる評価を得ることは間違いないです。

④森七菜・醍醐虎汰郎というルーキーの勇気と可愛さ溢れる演技。

この4番目は明らかに個人的押しですね。可愛くて、あどけなくて、初々しくて、お茶目で、どこかどじな感じでありながら、気が強そうな一面においてまで、王道な女優さんです。それにしても、頑張ったなぁと思います。「愛にできることはまだあるかい。」をカバーしCMで流れるときのメイキング映像は堪らんほどかわいい。ついでに言うと、醍醐くんも良し。実際に舞台挨拶やInstagramにおいても、光輝いてます。ルーキーだから許される、ルーキーだから評価される声による演技です。

 

〇短所について。

①挑戦的かつ失敗しそうな設定。

実はこの物語は、東京と気候という設定だけで大きく動く物語ではないのです。ただ、主人公とヒロインが繰り広げる世界観に、天気を加え、若者が屈折する、挫折する、鬱屈する、青年期に訪れる自分の生き方に問いかけるような話です。その中で、大人も出てきますが、その人たちは世界を分かったような気で、分からないようにした気で、主人公やヒロインが「選択」しなかったときの大人を表現しているのです。そう考えると、映画的価値観で見ると実につまらんのです。台詞を省いてくれているので、考えさせる場面は豊富でした。しかし、人間そうは上手くいきませんし、「選択」がざっくりとしています。天候を題材にした理由は納得します。納得しても、もっと訴えるものはあり、映画として、観た人たちに感動以上のものを与えることもできたと思うのですね。わかりにくいと思いますが、映画的価値観を深めるには、もっと「わからない」や「なんでそういうことを言ったの」と思わせる表現が必要なんですよ。

②提供が多すぎ。

完全に個人的意見ですね。実写映画においても、その役者がCMしている食べ物や飲み物や電化製品を入れるのは、スポンサーがいる故に必要だから仕方がないのです。しかし、本作流石に多すぎ。完全に本作とは関係ないのに、ちらちらと出てきて、邪魔なんですよ。そんなの気にしない。むしろ、そういう発見を楽しまないと。そう問いかける自分もいますが、いやいや、純粋にストーリーだけ見せてよ。と思うのです。

③音楽に頼りすぎ。

映画「君の名」はでも感じたことですが、音楽と映像の合わさった見事な表現には文句はありません。しかし、それも二番煎じです。音楽の良さと映像の良さはありますが、やや胸焼けしがちです。流石に次作も今まで同じように描かれると、もういいですというか、新鮮味に欠けてしまう訳です。全然本作もいい感じなんです。悪くないんです。ただね、そのね、映画ってもっと違う感じじゃないかな。なんて、わかったようなことを言っててすみません。

 

4.本作を見てくれそうな人たち?

①「君の名」は好きな人たちですよね。

君の名」は、Twitterフォロワー数が約13.5万人。「天気の子」のTwitterフォロワー数は約13.6万人なんです。ほぼ、「君の名」は好き=「天気の子」かもしれない。具体的な割合やただフォローしているだけかもしれませんが、数字は大きく変動していないですからね。さらに、「天気の子」公開前の、「君の名は」は地上波で初の放送において、17.4%を獲得しています。当時もSNSで盛り上がっています。なんと、提供会社のロゴも入れ替わるとは、意気な計らいですね。電通さん。具体的には、「ソフトバンク⇔ロッテ」、「サントリー日清食品」、「日清食品ソフトバンク」、「ミサワホームバイトル」が入れ替わったんです。面白い試み!提供会社同士にイザコザがなければいいのですがね。

まぁ、因みに予備知識的に入れますが、映画「君の名は」かなりすごい作品なんです。提供会社も続々来るのは当然なんです。それぐらいの実績があります。なぜならば、興行収入を250億円。つまり、「千と千尋の神隠し」の次に「君の名は」が名を連ねるほどの歴代興行収入を塗り替えたのです。今更皆さんが知っていることを堂々と述べているわけです。さらに言えば、1974年から映画人口は減っていたが、なんと2016年に1億8千万人に回復したのです。今までは1億6千万人前後なのが、「君の名は」を上映したことで、繰り返し見る人、若い人が見ること、男性20代でみる映画の割合が増えたことが考えらえれるのです。そう思うと、本作への期待度、そして若い世代がしっかりと見てくれる期待がありますね。

有効回答者数:500名(20~30代男女各250名:複数回答)調査期間:2016年12月8日~2016年12月13日による 2016年最も良かった映画ランキング、1位にも輝いてます。

 集計期間:2018年9月29日~2018年10月13日めちゃくちゃ沁みる恋愛アニメランキングにおいては4位に輝いてます。

さらに、2019年8月12日調べにおいては、すでに72位。ロード・オブ・サ・リングの第二章に近い位置にいます。すでに78.9億円。これから、どこまで伸びるか期待です。まぁ、以上のことから、10年代から20年代の男女が見に来てくれそうです。

調査期間:2019年2月1日~2019年2月4日対象:全国20代~60代の男女1,589名

しらべぇ編集部は、全国20~60代の1,589名を対象に調査したところ、全体の12.0%が「『天気の子』に期待している」と回答した。とあります。「新海作品」ということで根強いファンがいるようだ。また、男性は13.9%、女性は10.2%と、わずかに男性の支持が多い結果ですね。

 

RADWIMPS好きも来そうです。

前作「君の名は」においても、圧倒的支持率をとったRADWIMPS。「君の名は」では、ファンが替え歌や自分で演奏してみた動画をネットに公開するなど、大いに盛り上がり、映画の話題作りに貢献しています。ほとんどが、RADWIMPSを理由に見に来ているくらいです。10代から20代への支持率が高いです。

人気曲を検索すると、「前々前世」や「スパークル」や「なんでもないや」が上位にあがります。

 

新海誠ファンは必ず来るでしょう。

新海誠監督には、71.5万人のフォロワーがいます。

映画好き100人が選ぶアニメーション監督3位です。

日本人アニメ監督の人気ランキングにおいても5位です。

補足として、本作のヒロインで陽菜の声優、森七菜のInstagramフォロワー数29万人。醍醐虎汰朗のTwitterフォロワー数は、1.6万人。Instagramは1万7千人です。

「天気の子」をPRするには、多くのフォロワー数がいますね。

 

5.本作における評価について。

映画.comでは、☆3.8。「君の名は」は☆4.0

まぁ、ほぼほぼ、同評価と言えますね。

コメントには「ライトな「君の名は」と違うテイストに興味深い。新海誠の視点が面白い。」や「若い子にはささる。若者向けの映画。」や「あれこれ考えずに純粋に楽しい」などなど。

Filmarksでは、☆3.8。「君の名は」は☆3.9

コメントには「東京の街がリアルだった。」や「友達とたまたま歩いてた場所が、映画の中で登場していた。」や「須賀さんにやられた。(良い意味で)」などなど。

COCOでは、72%。さらに、Twitterポジティブ指数は89%<10113件>

コメントには、「全体的に面白く楽しめた。新海誠らしい結末」や「君の名はよりは・・・」的コメント、「音楽の使いどころは天才的」などなど。

Yahoo!では、3.78点

コメントには、「構成が弱い」や「結末はあれでいいの?」や「疑問に残ることばかり」などなど。

 

6.本作における私的に勧めたいポイントについて。

 ①「君の名は」を超えた一面と、物語として新しい終わり方から次に紡いだ爽快感と感動に溢れた映画。

本作における主人公は、『気持ちで動く』ことを大事としています。打算的や合理的でなく、純粋に「会いたいから」、「助けたいから」、「知りたいから」、「信じたいから」という理由で動くから、観ている人たちに訴えかけてくるものはよりダイレクトなんです。精神的な弱さや未熟さは、須賀(演:小栗旬)により指摘されつつも、どこか似ている描写を指します。

これは、須賀と帆高の関係性って、父や兄のようなものじゃなくて、将来の「選択」の仕方によって、帆高は須賀に成りえるという「写し」なんだと思います。須賀の言葉ひとつひとつに観ている人たちは、胸を打たれたと思います。保身や守りに入った場合の、帆高はきっと須賀になるんです。あのときに、純粋に動いたから帆高は帆高になれたんですよ。まどろっこしいこと言ってますが、きっと映画的価値観はここに包まれていると思います。

主人公の抱えている日常や生活による苦痛や呻きや叫びは、すべて今生きている若者たちにリンクする場面があります。その思いを吐き出してくれた本作は、10代から20代の男女に必ずや関心と共感をもたし、最後には前向きな一歩を踏み出せるはずです。

RADWIMPSが再び新海誠とタッグ!より映画の質を上げる音楽でありながら、音楽としての魅力も抜群。

恥ずかしながら、「君の名は」から、RADWIMPSを知った身分としては申し訳ないほどにわかです。それでも、彼らの音楽はずっと聴いていられて、物語の一片を彷彿させるような歌詞とメロディーは、色々な解釈ができて好きです。RADWIMPSのことを調べるとやはり若者たちへの信頼度、好感度が強いですね。実際に、「君の名は」以前から好きなファンも多いみたいです。

本作では、新海誠監督が「愛にできることはまだあるかい」を聴いたときに、この映画はそういう映画なんだと解釈されたそうです。映像や台詞にはない、音楽という視点から映画に違う解釈をくれたということですね。

本作における各種映画サイトの評価でも、音楽と映像の融合した魅力が高評価として表れています。

裏付けとして、2019年7月29日付(集計期間:2019年7月15日~2019年7月21日)の総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”では、RADWIMPSが手掛けた映画『天気の子』のサウンドトラック『天気の子』が総合首位を獲得しています。チャート・アクションは好調で、36,655枚を売り上げてCDセールス2位、15,425DLを売り上げてダウンロード1位。55,533枚を売り上げたアルバム『君の名は。』を下回る結果となってます。

③アニメーションによる「雨の演出」の最高峰と言える映画。

雨による感情や、雨から生まれる物語、晴れた日の感情や、晴れから始まる物語というように対比がうまくできていると思えます。陽菜(演:森七菜)が「晴れたことでこんなにも人の気持ちを動かすなんて思わなかった。」という様に、主人公やヒロインも動かされます。だからこそ、天気って不思議なんです。天気が日常生活に当たり前に溶け込んでいるものですが、しっかりと天気について向き合うことで、天気に動かされている、天気によって備えが必要となっていく、現代の気象とリンクしていきます。なんか、今年は暑すぎない、寒すぎない、異常気象だからね。と終わるのではなく、そのときに働きかけている感情に視点を置くと実は面白いと思えます。

 

7.まとめ。

 夏と言えば、戦争映画とアニメーション映画、お祭り映画が対立し、ディズニーがすべてをかっさらっていくという映画業界だと思います。しかし、ぜひ「天気の子」に頑張ってほしいです。今の雰囲気や、分析してきた結果だと「君の名は」が超えられない印象です。しかも「ライオンキング」や「ワンピース:スタンピード」や「ワイルドスピード:スーパー・コンボ」など強者が揃っています。どこまで伸びるかこれから期待してます。

そして、純粋な少年少女、10代後半の高校生から、大人になる前の大学生にはぜひ見てほしいです。Twitterでめっちゃつぶやいて、色んな視点で感想を言い、拡散して、ぜひディズニーに負けてほしくないですね。まぁ、ディズニーは好きなんですけど、日本にも良いアニメーション作品はあるんだぞっという所を外国にも知ってほしいだけです。

・補足

※雨映画好きとしては、「言の葉の庭」を超えることはできていません。雨の描写として抜群なのは「言の葉の庭」だと思えます。なぜなら、儚さと仕草や言葉の意味に色んな側面を見出し、胸を締め付けるほどに切なさを、最後雨で流す感じが堪らないんです。