映画 ダンスウィズミー 感想

映画 ダンスウィズミー 感想と考察について。

 

1.感想について。

 好きですね。大満足ですね。文句の付け所のない、しっかりとした映画ですね。

近年だと、「アナと世界の終わり」のように、ミュージカル映画にややB級的要素を詰めながらも、従来のミュージカルの定番を忘れずに、エンターテイメントとして楽しめるものが増えてきて嬉しいです。

というのも、ミュージカル映画はかなり好きで、ジャック・ドゥミ監督(代表作:シェルブールの雨傘)やフレッド・アステアミュージカル映画全盛期の俳優)が好きでね。近年だと、ジュリーと恋と靴工場が好きなんですね。

まぁ、ミュージカル映画の最高峰は「雨に歌えば」なんです。音楽映画は「ブルース・ブラザースなんです。語りたいけど、本作を語るまで長くなるのげ省きます。

本作の感想に戻ると、ミュージカル映画の不自然さ】をしっかりと焦点にあてているところが最高ですね。思っているミュージカルシーンは結果1人舞台で、気づくと周りに不審者扱いされているところが上手く描けています。つまり、緩急が効いていて見飽きない。また、ミュージカル+ロード・ムービーとなっているため、主人公のこれからの生き方や成長という点に親和性があり、観ている人たちは、ハッピーに人生を楽しもうと思えます。

 これからもっと思いのたけを語ります。

 

2.本作の物語について。

「突然歌って踊りだすなんてやばくない?」をテーマにした、ミュージカルコメディ映画です。ある時、鈴木静香(演・三吉彩花)が姪と一緒に訪れた遊園地にて、催眠術師に《ミュージカルスターの催眠術》をかけられてしまう。音楽を聴いてしまうと、踊りだしてしまう体質となり、恋も仕事も失ってしまうという、ハチャメチャなムービー。催眠術師を見つけて、元の身体に戻れるのか?

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①突然歌いだす不思議な呪い、それがミュージカル映画

ミュージカル映画が不快と感じる人たち、ミュージカル映画を受けいられない人たちには本作を観ると、共感を得ること間違いない。嫌いな人の意見において、「ミュージカルが入るから感情移入できない」とあります。まさに、その通りを示した映画だから面白いのです。主役=不審者がコンセプトにもあり、シンプルにミュージカル映画をディスっているから、笑えます。きっかけも催眠によって、音楽を聴くと踊ってしまうという理由のため、静かな場所を求める様子も笑えます。また、東京ってどこでも音楽が鳴っているイメージなので、静かなところってないだろと思えます。従来のミュージカルの呪いに翻弄される様が見事に面白いポイントになります。

 

ミュージカル映画+ロード・ムービーとして類を見ない緩急の使い分け。

ミュージカル映画でワンシーンで終えると、自然な流れで会話が始まります。だから、観ている側は次いつミュージカル始まるのかなという思いになります。しかし、本作はミュージカルをして周りに迷惑をかけるため、思っていたより、テーブルクロスを綺麗に引けてないし、会社もあんなに散らかしているとは思わないんですよね。冷静に振り返ると恥ずかしいことばかりなんです。映画の中では、スマホで録画されてニュースとして取り上げられるあたりは現代社会を反映している一部だと思えて、シリアスな笑いもちりばめられています。

ミュージカル映画は最後すっきりとした爽快感に伴い、自分らしさを取り戻す、または自分の生き方を決める前向きな形で終えることが多いものです。だからこそ、私は大好きなんです。

本作では、東京のキャリアウーマンとして、順調な生活をし、高層マンションに住み、かっこいい先輩への恋も発展できそうな状態。だれもが羨ましいと感じる環境にあります。しかし、その生活に対しても無理をしている訳です。女友達同士では、食事や女性らしさに気を使い、その反面で家では暴飲暴食のような背景が描かれています。ミュージカル催眠によって、職場にいられない環境に陥ることで転機となります。そう、「自分らしさ」を取り戻すのです。幼少期に、歌も上手、バレエも上手だった彼女はミュージカルが好きなのです。催眠術師を探す中で、「自分がなにをしたいのか」、「どんな自分が好きなのか」を考えていく背景があり、観ている人へのエールでもあると思えます。

 

③失うもの、頼れるものはどんどん減らすことで、生きる難しさ、生きるためのアイデアが含まれている物語。

矢口監督作品では、主人公たちが得たものを減らす傾向にあります。近い作品だと、「サバイバル・ファミリー」です。電気がない、スマホがない、交通手段がないという様な感じです。物語における序盤で、生活に活きるツールを減らすことで、映画的アクションを増やすという考えだそうです。

本作でも、ミュージカルに翻弄され、会社にいれない居たたまれない状況に陥り、ミュージカルのせいで、多額の金銭を失う、催眠術師を見つけるために、スマホを失う。などなど、本作でもどんどん生活におけるツールが減ります。だからこそ、ハングリー精神・たくましい生き方をしていくのが快活です。また、劇中の中で、バディとなるフリーターの千絵(演:やしろ優)が主人公と対比されていて、猪突猛進で、好きな物は好きと動いてしまう直感型だから振り回される様が面白いです。主人公は堅実で、石橋を叩いて渡るタイプ。それが、直感型で生きるタイプに憧れるわけです。そのため、生き方が少しづつ変わる様子が楽しいです。

 

〇短所

①公開時期に難あり!

 これは、正確には短所とは言えませんよね。本作をもっと、色んな人にみてもらいたい気持ちが強くて、公開時期は間違っている印象に思えたのです。この時期に、「ライオン・キング」、「天気の子」、「トイ・ストーリー4」、「ONE PIECE STAMPEDE」

ワイルド・スピード スーパーコンボ」が並んでいるんです。そりゃ、矢口監督という肩書があっても勝てる根拠にはならないのです。ましてや、翌週には、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」、「ロケットマン」が控え、さらに翌々週には「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 」、「引っ越し大名!」です。

いくらなんでも週間ランキング入っても10位程度かなと思えます。悔しいなぁ、もっと知って、もっと語れる映画なんだよなぁ。

 

②往年のミュージカル映画としては超えられない壁がある。

あくまで「ひと癖あるミュージカル映画」なわけで、ミュージカル映画として最高と言える作品ではないのです。ミュージカル好きであれば、やっぱり王道の「ラ・ラ・ランド」や「雨に唄えば」のような展開が好きなんですよ。邪道な作品、B級作品には超えられない無数の壁があると、本作を観て実感しました。

観方の違いなんです。どんな気持ちで、どんな予想で観るかで、映画の評価は100点にもなれば10点にもなると思えます。

だから、本作をミュージカル映画としてでなく、コメディ映画としての捉え方だと、すごく良い作品だと思えるのです。

 

③日本ミュージカル映画としては、三池監督以上、周防監督以下!

 日本ミュージカル映画といえば、2010年代では、周防監督の「舞子はレディ」や「愛と誠」、「クソ野郎と美しき世界」ですね。三池作品と比較してはいけませんが、「愛と誠」のミュージカルと比較すると、ものすごく良作に思えます。三池監督は、ミュージカル映画が嫌いなのかというぐらい微妙な全体的な仕上がりでしたからね。一方で、周防監督は、「マイ・フェァ・レディ」に引っ張られすぎ!と思いましたが、ミュージカルには文句なしの出来でしたからね。そう考えると、三池監督<矢口監督<周防監督って感じが、本作を通して感じられました。

 

4.本作の見に来て欲しい人たち!!

ミュージカル映画ファン!

20代から30代の女性。60代の女性。

【調査方法】GEM Partners実施のインターネットアンケート
【調査対象】全国に住む15~69歳の男女
【調査実施日】2018年1月20日(土)~1月21日(日)
【回答者数】10,094人(うち映画劇場鑑賞者※3,199人分)

上記によると、映画ジャンル別で好きランキングには「4位」です。1位「アクション」、2位「SF」、3位「ファンタジー」、4位「ミュージカル」、5位「ホラー」となります。この影響を分析するには、やはり「ラ・ラ・ランド」、「グレイテスト・ショーマン」、「美女と野獣」、「アナと雪の女王」における効果ですかね。

ラ・ラ・ランドは、2017年度に公開され、興行収入のランキング10位。44.2億。映画レビュー満足度は80%。

美女と野獣は、2017年度に公開され、興行収入ランキング1位。124億。さらに、歴代の興行収入ランキングでは、19位。昨年度のボヘミアンラプソディは18位だと、考えると、日本にディズニー実写とミュージカル映画の受けが良いことが認識されたと言えます。映画レビュー満足度は80.4%。

グレイテスト・ショーマンは、2018年に公開され、興行収入のランキングは7位。52.2億。映画レビュー満足度は84%。

アナと雪の女王は、2014年に公開され、興行収入はのランキング1位。254.8億。映画レビュー満足度は87%。

どの映画も、日本人が多く見ている根拠になります。ミュージカル嫌い=日本人という印象はもう古く、ミュージカルが好きな人は多いと認識を変えていく必要がありますね。

映画の傾向に戻りますが、「とても好き」という項目は、2016年と比べると徐々に上昇していることがわかります。また、その項目における人の年齢の割合20代から30代の女性です。60代からの人気もあります。ここがメイン層で、来場してくれそうだと考えます。この年齢層は、お金があり、映画館に来る割合としても最も多いと言えます。

 以上のことから、日本にミュージカル映画が根付いてきていることを考えられます。

 

矢口史靖ファン&三吉彩花ファン

矢口監督の映画は、2002年「ウォーター・ボーイズ」日本アカデミー賞監督賞と脚本賞にノミネート、2005年「スウィングガールズ日本アカデミー賞伽本省受賞という経歴があります。映画好きとしては、観たいであろうと思えます。しかし、監督ランキングあまり良いという感じではなさそうです。

一方で、三吉彩花は2010年から2017年までseventeenの専属モデルを経験しています。2019年に開催された「TGC TOYAMA 2019 by TOKYO GIRLS COLLECTION」で、トップバッターとしてランウェイされています。Instagramでは82万人います。若い女性層からの人気も得ていることが考えられます。

 

③音楽としての価値観(歌謡曲ファン)

 歌謡曲がこの映画にたくさん使用されています。既存の歌謡曲のため、1970年代のものが多め。つまり、1970年代、今だと60から70歳の人は、聞いたことがある人、関心を寄せる人がいると思えます。一見の価値があると覆えます。

山本リンダ『ねらいうち』、キャンディーズ『年下の男の子』、サディスティック・ミカ・バンド『タイムマシンにおねがい』などが本作で流れます。

 

5.本作の評価

映画.com ☆3.4

Filmarks  ☆3.4

Yahoo! ☆3.3

ぴあ映画生活 66点

COCO 満足度81% ツイートポジティブ指数96%

各サイトでも、そこそこ普通、または少し良いという評価だと思えます。

COCOでは、満足度が高くてうれしいですね。

コメントとしては、「カール・ミーツ・ガールとして楽しめた。」、「曲のチョイスが良い」です。マイナス的なコメント「年配の方向け」、「まぁ楽しめる程度」とかです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①笑いと爽快感に包まれたミュージカル+ロード・ムービー。そこから、自分らしい生き方をきっと見つけることができるエンターテイメントムービー。

勧めたいポイントではありますが、長所で語ったことがすべてなんですよ。

生きにくい社会と言われている中、都心で働くことがすべてじゃないし、自由な生き方ってきっとあるんです。自分らしさ、本当に自分がしたいこと、それがわかるのは、ミュージカルとロード・ムービーの鉄板といえる長所です。

静香と千絵の、噛み合わない関係性、ミュージカル催眠で精いっぱいであるのに、千絵の無鉄砲さに振り回される中で、千絵に強く当たってしまうシーンがあります。そこには、自分に素直になれない、何にも振り回されず自分らしく生きたい側面を強めていると思えます。

 

②ミュージカルなんて馬鹿馬鹿しい。けど、踊って歌うってなんか楽しい!

本作の見どころはなっていっても、ミュージカルであることは間違いないです。

曲が流れると勝手に身体が動き出す様、それを抑え込もうとする姿から、徐々に動き出すので、他のミュージカル映画よりすっとその場面に入り混めます。

踊って、歌う楽しさは、ラストのエンドロールでより強く感じられます。ぜひ、最後のエンドロールまで観てほしいです。

 

③昭和の音楽って、今聞くと新曲じゃね!?神曲の連続!

謡曲って聞くといいんですよね。親が歌謡曲好きだから、本作では聞いたことがある曲たくさんありましたね。こういうことって大事で、その時代に流行っていたものに触れることは、新しい価値観をもたせ、その時代背景を深める効果があります。映画を楽しめる要素ですよ。歌謡曲関連の映画は他にもあります。「ザ・スパイダースの大進撃」、「歌謡曲だよ、人生は」などね。

謡曲を知らない世代としては、新鮮味があって、逆に神曲じゃねという錯覚もまた楽しいです。外国の方にも、日本の曲を知る機会となれる映画だと言えますね。

 

7.まとめ

どんどん日本もミュージカル映画を作って欲しい、それだけです。