映画 ジョジョ・ラビット ジュブナイル映画としても最高だから語りたい

映画 ジョジョ・ラビットを語りたい

 

1.感想を言いたい。

・素晴らしかった。

・泣いた。

・☆5つ。

・マイベスト映画。

ジョジョ、エルサ頑張って生きて!

・ロージーの愛は偉大。

・キャプテンKお前を愛している。

・自由だから俺もダンスしたい。

これだけです。細かくはあとで語りたい。

 

 

2.本作のあらすじを言いたい。

第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。

 

3.キャスト陣および監督を言いたい。

ジョジョ=ローマン・グリフィン・デイビス

アドルフ・ヒトラー=タイカ・ワィティティ

〇エルサ=トーマシン・マッケンジー

〇ヨーキー=アーチー・イェーツ

〇ロージースカーレット・ヨハンソン

〇ディエルツ大尉=スティーブン・マーチャント

〇ミスラーム=レベル・ウィルソン

フィンケル=アルフィー・アレン

〇クレンツェンドルフ大尉=サム・ロックウェル

 

 

4.本作のおすすめしたいポイントを紹介したい。

顔文字を使っているのは有り余る感情をどうにか文字以上に残したいからだ!(意気込みです。)

 

ジョジョの成長(*´▽`*)

本作の主軸はジョジョの成長にあります。ジョジョの成長を見届けるスタンスで見始めるため、彼が何を正しいか、何が間違っているかという物差しを彼なりに身につける姿は、10歳ながらのもがき、10歳ならではの恋、10歳ならではの向上心(戦争で成果を残したい)を応援したくなります。戦争やナチスユダヤ人迫害という背景から、自分が信じてきてナチスの精神に疑問をもち、イマジナリーフレンドにも違和感を感じ始め、ユダヤ人少女のエルサとの出会いから、少しずつ変わっていく気持ちの過程が見どころです。

①-1、ジョジョ役について。

ジョジョ役は【ローマン・グリフィン・デイビス】です。彼は本作が初出演です。オーディション時は11歳。彼の母は脚本家、父は「スリー・ビルボード」の撮影監督です。監督が1000本以上のオーディション動画の中で彼を見た時に一瞬で決めています。監督の心を射止めた彼は、幼くも生意気で意識高い系でありながら、臆病で靴紐を結ぶことができないし母親が大好きで姉が大好きであるという演技を見事に演じています。

ところでそんな母親は息子のローマンがナチの衣装を着た時に泣いたという話があります。その時代においては、ナチの制服を着ることは誇りと称さなければならない、いやそうしなければ非国民という社会だったということです。日本でも戦争行くときは応援するという背景があります。国が違っても子供が戦争に行く悲しさ、産んだ子を戦地に送る辛さを間接的に味わうという感じです。良い母親だと思う側面と国は違えど戦争を良くない、差別や迫害を良くないと思っていると感じれてパンフレットの好きな一文です。

①ー2、ジョジョの成長過程について。

ここで、【エリクソンの発達段階】を用いて掘り下げます。

児童期・学齢期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感と定義しています。

入学し知識や技術を学習したり友達を作ります。勤勉性とは、社会に関心を示して自発的に加わります。児童期・学童期にいくら頑張ってもうまくいかず、周囲に認められない経験が積み重なると、自信を無くして劣等感を募らせていきます。

ジョジョは10歳にして、ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうと志します。空想上の友人アドルフより、「お前はひ弱で人気もない。だが、ナチスへの忠誠心はピカイチだ。」と言われ、ハイルヒトラーのボーズで街を駆け巡ります。勤勉性が象徴されています。しかし、ヒトラーユーゲントの合宿そこでジョジョはウサギを殺すことができないため、あだ名として【ジョジョ・ラビット】と虐められます。エリクソンの定義と合わせると劣等感が生じていると考えます。新しい社会で周囲に認められないという課題にまさにぶつかっています。

要するに、戦争という背景に限らず、誰もが10代の時に経験している、成長過程において通過儀礼のようなものなんです。戦争という背景なしでもまず思い出してしまう、共感を生んでしまい、応援したくなります。ここで一気に映像に引き込まれるのです。

●余談ですが、映画【スタンド・バイ・ミー】もジュブナイル映画の名作といって過言ではないです。彼たちもこの発達段階の中で格闘しています。

①ー3、ジョジョの靴紐について。

ジョジョは、靴紐を結べないので、母親ロージーに結んでもらいます。足元及び靴を映すアングルが多いのは伏線であり、物語のkeypointと言っていいと思います。私事ですが10歳までまともに紐を結ぶことができずいつも適当にしていましてね、それを見かねた母親または姉が結んでくれていたこともあり、奇妙な実体験を通していて、よりジョジョへ関心を寄せてしまいました。因みに確かな根拠は薄いのですが、おおよそ7歳程度で靴紐は結べるのが一般的だそうです。

脱線しましたが、上記で言ったように靴紐を結ぶというのは1つの成長過程なんです。母親ロージーに結んでもらえる喜びはありましたが、物語後半になり、母親のある事実が発覚し悲惨な結末を終えます。その際、母親の靴紐がほどけているのを見て、いつも母親がしてくれていたように靴紐を結ぼうとしてもできません。途方にくれながらも、戦争は続きます。ついにドイツ軍は窮地を迎えます。ヒトラーの拳銃自殺、アメリカ軍等の進行により綺麗だったドイツの都市も崩壊します。ドイツ軍は敗退し、ユダヤ人少女のエルサは自由を得ることができます。母親も父親も姉もいないジョジョは、エルサがいなくなることが寂しいだからドイツ軍が勝ったことにしたいと葛藤します。エルサには本当のことを打ち明けず、脱出作戦という建て前で外にでる準備をするように言います。エルサの靴紐がほどけているのに気づき、ジョジョは靴紐を丁寧に結びます。結ぶことができます。ここに彼の成長と新しい成長過程の始まりと困難が起こるという、期待と不安が入り混じった雰囲気を匂わせます。ぜひ、靴紐の過程は見てほしいです。

●余談ですが、靴紐といえば、靴紐のビルですよね。映画【パイレーツ・オブ・カリビアン

①ー4、ジョジョの恋心について。

ジョジョは、母親ロージーの愛について意見を突っぱねます。母親ロージーは、10歳の少年らしく色々な経験をして成長してほしい、戦争なんてなければいい、などと思いジョジョに、愛が偉大なんだ、お腹に蝶々がいっぱいになる感じだと説明します。10歳だからこそ分からないし、恋愛ではなく今は戦争で勝つことが大事だという思いとナチズムの洗脳がかかっています。しかし、ユダヤ人少女のエルサとの関わりから少しずつ、ユダヤ人ではなく、彼女に興味を持ち始めます。不思議と彼女が書く絵、時折見せる笑顔や辛い表情に胸を打たれていきます。当初はユダヤ人だから絶対悪と認識しているため、彼女のフィアンセであるネイサンのふりして、嫌いであると嘘の手紙を書きます。手紙を読み聞かせられたエルサは涙を流します。すぐさまに、好きであるという手紙を書き彼女に伝えます。罪悪感なんでしょうけど、姉と似ている故に酷いことをしたと認識し、謝りたくないけど、悲しませたままで終わりたくないという思いです。ジョジョの可愛さがあり、エルサと少しずつ心を通わせるきっかけとなります。

手紙のやり取りから、ジョジョのお腹には蝶々がいっぱいになります。確か、垢だらけといったエルサにお風呂を入れてあげるシーンで描かれているはずです。蝶々=恋や愛なんです。見えないものを具体化しているんです。

蝶々のくだりで印象的なのは、母親ロージーが悲惨な結末を迎えた時です。ジョジョが歩いていると蝶々が出てきて、それを追いかけた先に母親がいるのです。このシーンは泣きますので、せひ劇場で見てほしいです。そして、蝶々を意識していると納得できると思います。

●余談ですが、やっぱり手紙を使うというのは効果的です。映画【ラストレター】でも同様のことを想いましたが、映画【グリーン・ブック】でも奥さんに書く手紙をドクター・シャーリーがゴーストライターするわけですね。手紙=ロマンチックで、映画として好きな要素というか好きなシークエンスです。

①-5、ジョジョのイマジナリーフレンドアドルフについて。

アドルフは良くも悪くも、ジョジョの成長する場面で出てきます。ほとんどがナチズムのこじつけ、時に彼を鼓舞し安心させるも、それはすでにヒトラーの洗脳となんら変わりないのです。そもそもヒトラーの青年期はどのような人だったのかという点で掘り下げます。根拠は各自で調べて欲しいのですが、ヒトラーは誇大妄想でワグナーと対話していたとのこと。また、敵のガス攻撃におびえていたとのこと。一方ジョジョは訓練で怯え、イマジナリーフレンドと対話しています。つまり、ジョジョヒトラーの児童期、またはヒトラーの卵である要素が強いと言えます。

ジョジョは物語の後半にかけて、イマジナリーフレンドであるアドルフに疑問を感じ、最終的にはヒトラーくたばれと言ってぶっ飛ばします。これも成長過程ではあるのですが、監督タイカ・ワイティティのテクニックが際立ったシーンでもあります。イマジナリーフレンドに頼らなくても生きていける、正しい事は母親と父親と姉とキャプテンKとエルサ、生きている人から教えてもらったんだという意思表示だと言えます。母親ロージーは不安ながらも少し安心して彼の成長を見守れますね。

●余談ですが、イマジナリーフレンドとは違いますが、映画【ビック・フィッシュ】を彷彿させられます。父親の話を聞いて育つ息子との関係性について描いたティム・バートンの名作です。雰囲気が似ていると思うんです。また映画【ビック・フィッシュ】を話すと、東京の映画bar「ビック・フィッシュ」を思い出しますね。今年もできたら行きたいけど( ^ω^)・・・

 

②母親ロージーの愛(^_-)-☆

②ー1、ロージーのダンスについて。

母親ロージーで印象的なのは、口元をチッっと鳴らしながらウィンクするシーンですね。シングルマザーでジョジョのために必死に守ろうとしています。決して必死な表情はしません。気丈です。善悪の区別がつける大人になれるように、ジョジョに愛について語り、ダンスをします。とある川原でジョジョと話すシーンがあります。①の項目で話している内容ですが愛について語るわけです。その流れで、自転車で帰る前に、ダンスの必要性について教えます。ダンスは自由であること、魂の開放であることを言います。その時は、ジョジョは何を言っているの先に自転車に乗って帰るよという内容を言います。それでも母親の足のステップを見ていたのですね。

ダンスについてはもう一つあります。食事中は中立地帯であるため親子同士の喧嘩はご法度です。しかし、ジョジョはエルサのこと、事故で不具になった息子という劣等感から、父親ならわかると言い放ちます。ロージーは怒り、父親の軍服を着て、暖炉の消し炭でひげをつけ、「母親になんて口をきくんだ。」と怒ります。一方でジョジョのことが大好きだからこそ、父親と母親を両方演じながら、家族でダンスしようと言います。そのダンスシーンが温かくて、戦争中であることを一時忘れさしてくれます。戦時中でも音楽とダンスって大事だなぁと思わせてくれた一面です。

●余談ですが、ダンスと言えば映画【世界にひとつのプレイブック】なんてのも好きです。奥さんの浮気で精神に異常をきたす主人公を演じるのはブラッドリー・クーパーです。ジェニファー・ローレンスも綺麗なんです。

②ー2、ロージーのファッションセンスについて。

とてもファッショナブルです。ロージー自身も綺麗で困るのよと言う始末です。第二次世界大戦の映画は、基本的に茶色や灰色といった衣装を着ていることが多いです。よほどお嬢様でないと白い衣装やファッションを楽しむということは難しいと言えます。しかし、本作においては「今日が最後かもしれない。」という意識があり、いつも一番良い服を着て、化粧をしっかりしていたと思わせます。明るい色やおしゃれなデザインが豊富なため、暗い時代と対照的になり、綺麗なロージーが際立っています。

ましてや、スカーレット・ヨハンソンがロージーを演じているのですから、綺麗×綺麗=無敵なシングルマザーです。

②ー3、女としての生き方について。

シングルマザーでありながら、時にはロマンチストで、時には詩人的です。ユダヤ人のエルサを家で匿っているときも、大人の女性は、お酒を飲み~虎と見つめ合ったりなど大人の女性の在り方について教えます。楽しいことはこれからたくさんあるから、1人になってもエルサに生きてほしいメッセージですね。ユダヤ人1人でも生きていたら、あなたたちの勝利だからと言い続けます。亡くなった娘インゲを彷彿させるエルサに、本当は娘に色々話したかったことを伝えているのかなぁと思います。

 

③エルサ(ユダヤ)が与えた影響(;''∀'')

③ー1、エルサ役について。

壁に住んでいるユダヤ人と聞いて、思い出すのはもちろん、アンネ・フランクですよね。ジョジョが「壁の住人さん。」と呼ぶシーンがあります。

アンネ・フランクと言えば、1929年~1945年しか生きることができなかった少女です。ドイツを逃れてオランダへ行くが、そこでもユダヤ人の迫害があり本棚の後ろの入り口で住んでいたのは有名な話です。

そんなアンネ・フランクを彷彿させるようなエルサを演じるのは、トーマシン・マッケンジーです。父親は映画監督のスチュワート・マッケンジー、母親は女優のミランダ・ハーコートだそうですが、詳しいことは存じ上げません。19歳の彼女ですが、可愛いです。可愛くて優しくて、少しシニカルな演技も見る側にとって爽快感があります。 

③ー2、エルサの置かれた状況について。

父親の友達の伝手によって、ベッツラー(ロージ、ジョジョ、インゲ)宅へ来ます。壁の中の住人として過ごします。母や父は戦争の中におり、フィアンセは結核で亡くします。エルサが「ひざまずいてリルケの詩を言いプロポーズしてくれた。」という話をジョジョにします。ジョジョにとっては面白くない話ですが、エルサに「なにがしたい。」と問うと、「踊りたい。」と言います。踊り=自由になりたいという意味だと考えます。ロージーがダンスについて語っていますので、ジョジョはその意味をある程度理解したと思います。亡くなったフィアンセネイサンを装ったジョジョの手紙に付き合ってあげます。ここは亡くなったインゲの様な、あるいは閉ざされた世界の中での唯一の娯楽だったのかもしれません。ロージーから頑張って生きるように言われ、どうしていいかわからない間の少しの癒しだったのかもと思える一面です。

エルサはジョジョより7歳年上です。年上の女性とは如何にも魅力的な存在なのでしょうか。「キスしてあげようか。」とエルサが言うと、「同情のキスなんていらない。ましてやナチスユダヤだからできない。」と言います。そのシニカルな演技はまさに萌えポイント、いや失礼、素敵なシークエンスです。ジョジョに真のかっこよさ、人としてのかっこよさを間接的に教えてくれる存在です。ジョジョはエルサのおかげで成長でき、エルサはジョジョのおかげ生きていこうと思える関係性であると考えています。きっと、エルサは面倒見がよく、どこかミステリアスでありながらもロージーの言われたとおり人を信じていこうとしているんです。だからこそ、幼いジョジョを弟として愛していると言っているのだと思えます。

●余談ですが、ジョジョとロージーの関係性って、ボーイ・ミーツ・ガールの要素を強く感じます。例えば映画【小さな恋のメロディ】や映画【はじまりのボーイ・ミーツ・ガール】の様な、男の子が一生懸命頑張る様を女の子が支え、最後はハッピーエンドとは言えないかもしれないけど、2人の物語は続いていくんだという雰囲気がありますよね。

 

④ヨーキーの丸い存在(*'ω'*)

④ー1、ヨーキー役について。

ヨーキーは、ジョジョの親友役です。あくまで二番目の親友です。序盤のジョジョの親友はあくまでアドルフ・ヒトラーなんです。もし、ヨーキーが皮で中からアドルフ・ヒトラーが出るなら親友1番となるのですが、中身もファットな少年なんです。

そのヨーキー役を努めるのは、アーチー・イェーツです。可愛らしいフォルムに、可愛い表情が印象的な俳優です。なんと、ホーム・アローンのリブート版の主役に抜擢されています。今後の活躍に期待です。

④ー2、ヨーキーの丸い存在感について。

丸いが与える印象にはいくつかあります。円滑で穏やか、永遠、安心感、安全、美しさ、優しさ、広がり、繋がりといったことが印象で伝わると言います。ジョジョの角ばった固定概念を、ヨーキーという存在において時に映画を優しく、時に映画に繋がりを感じさせてくれるのです。ヨーキーがいないとジョジョは成長することができません。また、ジョジョと違って兵士として活躍しなければならない。兵士としての誇りが必要か、恥をかいても生きていくことが大事か、ジョジョが本来進むであろう道を変わりにヨーキーが進んでいるのです。ヨーキーは、戦後に「お母さんにハグされたいよ。」というシーンがあります。泣けますね。それでも、ジョジョに亡くなった母ロージーを偲び「僕も泣いたよ。」と言います。本当に良い友人。他にも、序盤のヒトラーユーゲントで、ジョジョがウサギを殺せないときに、泣いていると思って追いかけます。常に優しい。また、ジョジョが金属物を回収しているときに、久しぶりに再会するときにハグします。ここもまた愛おしいシーンです。片足あげて、「ヨーキー」、「ジョジョ」と言い合います。さらに、ヨーキーは、ジョジョが「ユダヤ人の彼女ができたんだ。」というと否定せずむしろ肯定してあげます。ヨーキーの懐の広さ、ナチスの洗脳に染まらず、善と悪をよく考えている子供なんですね。

●余談ですが、ジョジョとヨーキーの関係性って、映画【ショーン・オブ・ザ・デッド】や映画【ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-】の様な、サイモン・ペッグニック・フロストの様な関係性に近いと思えます。もっと大きな範囲で言えば、映画【グリーン・ブック】や映画【最強のふたり】をイメージさせます。

 

⑤キャプテンKの優しさが俺の右目には見えている(;´∀`)

⑤-1、クレンツェンドルフ大尉ことキャプテンK役について。

キャプテンKは、戦地で片目を失い、戦力外通知を受け、ヒトラーユーゲントでの監督を務めることになります。ヒトラーユーゲントにおいて、銃剣や奇襲のかけ方、銃の打ち方、手りゅう弾(ポテトマッシャー)の使い方を教えてます。ところがジョジョジョジョラビットという不名誉なあだ名をつけられたときに、戦士としての意地をみせつけるため、ポテトマッシャーをもって投げます。しかし、ジョジョの足元にポテトマッシャーが着て自滅し大怪我します。結果顔がピカソの絵またはフランケンシュタインのようになります。そういった経緯からジョジョとの関わりが増えていく役です。

そのクレンツェンドルフ大尉を演じるのは、サム・ロックウェルです。彼は、2018年の第90回アカデミー賞で映画「スリー・ビルボード」で助演男優賞を受賞しています。アの演技はぜひ見てほしい。一方で翌年の「バイス」でのジョージ・W・ブッシュを演じ、常に作品に刺激を加える名俳優と言えます。2枚目の役でもいいのですが、彼が似合うのは3枚目、コメディリリーフが実に似合う俳優です。

サム・ロックウェルを見たいと、サム・ロックウェルを知りたいという方は、ぜひ映画【スリー・ビルボード】、映画【リチャード・ジュエル】、映画【バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート】、映画【アラサー女子の恋愛事情】を見ていただけると、彼の豊かな演技力を知ることができると思えます。あえて、【プールサイド・デイズ】を挙げていません。

⑤ー2、キャプテンKの世界について。

キャプテンKは、戦線離脱をやむを得ず、結果ヒトラーユーゲントでの監督を務めていたが、ジョジョの一見で監督不行届で事務職にまで陥ります。しかし、ジョジョに八つ当たりすることもなく、気の向くままに事務職を担っています。ヒトラーユーゲントでは「ドイツ軍は危機であり表面上は優勢と言っている。」という様な台詞があります。彼自身すでにナチスの崩壊を悟っている印象です。故に飄々とした雰囲気なのでしょうか、掴みどころのないキャラクターになっています。本を燃やすシーンでも、虚しさというより儚げな表情をし、すでに敗戦もしくは希望がないような表情をしています。

一方で、フィンケルとも怪しい関係性にあります。スキットル(お酒を入れる容器)を一緒に飲み合い、食べ物をあーんとして挙げたり、シェパードの一見で強く言い過ぎたと慰めようとしたり、一種のLGBTQを思わせる側面があります。もちろん、ナチス政権の時代では同性愛は禁止というより殺害されることもあります。だから公にはなっていません。ただ、そのような側面をもたせていることで、彼もナチスに染まっていないのだと教えてくれます。しかし、ドイツがナチスがしてきたことはわかり、常にジョジョを手助けします。キャプテンKという存在も、ジョジョの成長過程において必要な存在だと言えます。ラストに、ジョジョに対して「お母さんのことは残念だった。良い人だった。」と言い慰め、彼を救うために「ユダヤ人が。」と言い処刑されないように逃がします。彼の様な存在が、ジョジョの世界を広げてくれたのだと思います。ジョジョが大人に対して泣く姿を見せたのはキャプテンKだけです。キャプテンKへの信頼感がよく伝わった一面でしたが、すぐお別れとなるのはとてつもない虚無感と寂しさに追われてしまいます。

⑤ー③、キャプテンKの衣装について。

軍部でジョジョに軍服のデザインを見せるシーンがあります。軍服へのこだわりがあり、風の抵抗を弱める帽子の羽、音楽で敵を弱らせるなど説明しますが、絵は小学生が描いたような出来具合です。ここで示しているのは、キャプテンKの意地と希望かと思えます。小学生のような無邪気な気持ちで、この世界を変えてくれるようなヒーローを描くと派手でカラフルなデザインになったのだと思えます。キャプテンKは気づいていないだろうが、ジョジョにとってヒーローになっていると思えます。だからこそ、キャプテンKの勇姿を画面いっぱいに映したんだと思っています。

 

⑥随所にはまる音楽(^^♪

⑥ー1、始まりのビートルズについて。

第二次世界大戦下のドイツでビートルズとは如何に。と思いましたが、これも監督のテクニックなのだと思います。時代設定や社会背景を無視したうえで、あえてビートルズを流す意味は、戦争というマイナスイメージの映画の始まりを避けたのだと考えます。タイカ・ワィティティ監督特有の、ポップでヴィジュアル・センスに富んだ演出なんだと感じられます。

⑥ー2、ラストのデヴィッド・ボウイについて。

ラストにデヴィッド・ボウイのヒーローズが流れます。戦争が終わった世界の奥行を示すような、あるいはジョジョとエルサにエールを送るような雰囲気があります。

効果的な音楽を使用できていると思えます。例えば、映画【ジョーカー】の様な、映画【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】の様に、一気に映画の虜にされます。

 

⑦イマジナリーフレンド(空想上の友達)アドルフの良い点、悪い点(-。-)y-゜゜゜

⑦ー1、アドルフ・ヒトラー役について。

ご存じの通り、イマジナリーフレンドことアドルフ・ヒトラーを演じているのは、監督タイカ・ワィティティです。監督自ら脚本し演じるということは大好きです。日本で言えば、塚本信也監督、松尾スズキ監督の様な人達は大好きです。最近では、映画【クワイエット・プレイス】のジョン・バーク・クラシンスキーも良いですね。

話が脱線しましたが、監督はユダヤ人です。厳密にいうと、彼の母方のルーツがユダヤ系で、彼の祖父はロシア軍の兵士としてナチスと闘ってきたという背景があります。タイカ・ワィティティはシングルマザーのもとで育ってきた環境にあります。父親が不在という側面はジョジョに似ているかもしれません。彼が本作を手掛けるきっかけとなったのは、クリスティン・ルーネンズの原作「Caging Skies」を、母親自身の言葉で語ってくれたことだそうです。母親の解釈を含めて語ってくれたそうです。ジョジョの空想上の友人やコメディ的な要素は原作にないそうです。その要素があったからこそ、ありきたりな戦争映画の様なメッセージとは違うものを教えてくれたのだと考えます。

⑦ー2、アドルフ・ヒトラーの煙草について。

そもそもヒトラー嫌煙家です。ですが、映画では煙草をジョジョに勧めようとします。ジョジョは「10歳だから吸わない。」と断ります。偉いぞジョジョと思います。ヒトラー嫌煙家なのにあえて煙草を勧めるというエッセンスは絶妙なコメディセンスだと思えます。実際にナチス・ドイツの反タバコ運動も起こしていますからね。

⑦ー3、アドルフ・ヒトラーの良い点について。

常にジョジョの理想の大人であることです。父親が2年間も帰ってこないジョジョにとって、どんな大人になろうかというのは常に悩みの種なのです。そこで空想上のアドルフは、ジョジョの虚構の存在でありながら、自身の理想像を示しているのです。10歳として新しい社会で凹み、アドルフに助言をもらい奮起するのは、彼の心のよりどころであると思えます。

⑦ー4、アドルフ・ヒトラーの悪い点について。

アドルフ・ヒトラーはやはり悪い存在ですね。小学生レベルの文章で申し訳ないのですが、悪=アドルフ・ヒトラーでないと物語上進まないわけです。ジョジョナチスに染まるような言葉がけを繰り返します。ユダヤ人を迫害し、ジョジョを次のアドルフ・ヒトラーへと化そうとしているいと思えます。

映画【帰ってきたヒトラー】や映画【アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲】の様な完全なコメディ映画ではないため、絶妙なバランスを保っています。きっと、チャールズ・チャップリンの様な映画【独占者】に近いキャラクターになっていると思えます。

 

4.本作の小ネタを紹介したい。

 ①映画祭について。

第44回のトロント国際映画祭で観客賞を受賞しています。

次点で映画【マリッジ・ストーリー】

さらに次点で映画【パラサイト 半地下の家族】です。

因みに第42回のトロント国際映画祭の観客賞は、映画【スリー・ビルボード】です。

第38回のトロント国際映画祭の観客賞は、映画【それでも夜は明ける】です。

言いたいことは、どれも名作です。以上。

アカデミー賞について。

6部門ノミネートされています。

・作品賞

助演女優賞スカーレット・ヨハンソン

・脚色賞=タイカ・ワイティティ

編集賞=トム・イーグルス

美術賞=ラ・ヴィンセント、ノラ・ソプコヴァ

・衣裳デザイン賞=マイエス・C・ルベオ

言いたいことは、作品賞、助演女優賞、脚色賞はぜひ取って欲しいです。希望です。

③ミス・ラームの「本を燃やしましょ!」について。

実際に燃やされていたそうです。リルケとか、ハイネとか、ヘミングウェイとか。名前だけでも聞いたことがあると思います。リルケに関しては映画の中に出てきます。

アドルフ・ヒトラーの「暗殺未遂があった。」について。

映画【ワルキューレ】でも描かれているようです。すいません、まだ見てないのにブログに書いてしまい。ヒトラーに不満があるグループによる犯行だそうですね。ぜひ見たいところです。

⑤反ナチ運動について。

実際に白薔薇とか?ナチスに抵抗する運動があったようです。映画【白バラの祈りゾフィー・ショル、最後の日々】で描かれているそうですよ。

 

5.本作から受け取ったものを語りたい。

本作はやはり【戦争による影響は害悪でしかない。】と思えます。ジョジョという少年通して戦争を考えるきっかけをもつことが大事だと思っています。少年視線の戦争の怖さはこの映画が教えてくれます。アメリカ軍がドイツに攻め入るとき、女性や子供までが銃や手りゅう弾をもち、立ち向かう様子が描かれていますが、少年ジョジョは恐怖を感じます。銃撃もしくは爆撃を受けた女性が横たわっている姿に怯えます、ヨーキーも銃の乱射に叫びます。ここまで怖い出来事は人類史上あってはいけないことです。子供が戦場に出ること、女性も戦争のために子供を産まないといけないことが当たり前のような時代に戻ってはいけないという、他にもたくさん含められたメッセージを監督は観ている人にぶつけていきます。そのメッセージをしっかり受け取っていく必要があると思っています。戦争を知らない子供たちにとって、この映画は効果的だと思います。一方で、日本にもこのような感性のある映画を作って欲しいと思うばかりです。