映画 宮本から君へ 感想

映画 宮本から君へ 感想!!

 

今回は感想をめっちゃ述べる。好きすぎて、困り、他の作品のように短所なんぞ書いていられん。

 

感想について。

熱量=物体間を伝わる熱や、燃料や食品の持つ熱を、比較したり数値で測ったりできるもの(=量)として捉えたもの。 宮本演じる池松壮亮が、人間丸出しで熱量を帯びた演技力により、見た人にその熱がすごく伝わってしまう。この熱に感化されて、ものすごく真っすぐに生きたいと思えてしまう。隣の席の人に、「すごい面白い映画だったね。」なんて、語彙力の無い言葉をかけて、会話なんかしたくなる映画です。そして、思い人に映画を見たあとの勢いで、告白したくなる、結婚しようとまで言いたくなる衝動にかられてしまうぐらい、この映画の熱量、いや真利子監督、スタッフ、池松壮亮蒼井優を含む俳優陣の熱量に感化されるはず。

 

試写会などで、見た後にすぐ感想が出てこない人が多いという記事を読んだ。そこには、1回見てすぐに言葉で表現できる作品ではないから。そして、「宮本から君へ」のメッセージをもらったものは、徐々に湯水のごとく語ってしまう。だから、1人1人の感想が長かったようです。

 

すぐ感想が出てこない。こういう系統の映画で、例を挙げるとしたら「ダンケルク」や「インセプション」という映画だと思います。理解しているけど、反応し言語化するまでアクションに間ができてしまう。作品の密度が濃いほど、エンターテイメントを超えた「何か」を感じてしまうのだと思います。唖然としてしまうようなね。

実際に、真利子哲也監督と港岳彦脚本での間で、「ダンケルク」の話がありました。映画とドラマを区別するためにも、「ダンケルク」のような手法を組み入れています。ドラマの12話つまり最終話の評価が悪かった。ただ、宮本の凶暴さを出して、映画に繋げるためだったと考えると納得できます。映画は時系列が目まぐるしく変わります。しかし、何が起こっているのかはわかります。導入として、靖子と付き合い、すでに子供を身ごもっており、親に挨拶するという導入は見て驚きました。ドラマでは自転車を2人乗りしたり、宮本の情けなさを叱咤激励してあげる靖子という関係性だけで、これから恋に発展する描写は極めてなかったですからね。しかし、時系列が変わると2人が付き合い、愛し合うシーンがあり納得してしまいます。その中でも裕二演じる井浦新が、乱入してきたり、中々宮本と靖子の休まる瞬間が来ないです。人生は困難がすぎると新しい困難がやってくるという感じが妙にリアリティで、確かに休まる時間なんてほんの一瞬なんだなと思えます。

 

ドラマで主軸になるのは、サラリーマン編です。映画では、靖子との関係性に焦点があたり、ラスボスとなる拓馬との戦闘までを描きます。靖子演じる蒼井優は、愛も買わない可愛さと女性特有の嫌みな物言いがうまい。〇〇〇されてしまい、隣で寝ているだけの池松壮亮に「よく寝ていたもんね。」という台詞が胸にすごく突き刺さります。その後の公園で、「あんたは悪くないよ。けど、あんたを死ぬほど憎い。」と。そこから宮本が動くんですけど、なんせ寝ていたから拓馬の顔や住所する覚えてないと。情けない側面ばかりです。とりあえず、身体を鍛えようと走り、家に戻ってきたら、釜ごとご飯を書き込む。靖子に「あんたは自分のプライドを傷つけられたから起こっているだけ」、「突っ走ってやり返してこないの。」と言われたときに、ご飯粒を吹き出しながら、涙を流しながら、悔しさと情けなさでいっぱいの表情で、靖子と台詞の掛け合うシーンが見事です。

 

台詞がひとつひとつ好きなんですよね。

「何から何までいい事ずくめのバラ色の人生が俺を待ってるぜ。」

「やっぱり仕事だ、男は闘っている時が一番面白いよ」とか。

あまり、言うと映画の中でぐっとくる台詞が響かなくなるから、他は自分の胸の中にとどめておく。

 

主題歌がエンドロールに流れて最高です。主人公の名前の由来となった宮本浩次がこの映画に生きる人たちを激しく讃えあげた主題歌「Do you remember?」が、多くの観客の心をわしづかみにすること間違いないです。

また、宮本浩次が脚本ができる前に、主題歌を作り上げており、脚本の段階で時系列が入れ替わることを決めていたため、主題歌が「Do you remember?」というタイトルで驚いたと。原作者は、エレファントカシマシが好きで、宮本浩次が好きで、主題歌も気に入っているようです。でも、これを聞くと妙に元気になる。熱量をもらえる気がするんです。

 

原作者も宮本の父親役で出ています。この映画を見守ってくれている感じがして、映画と原作を別物という認識じゃなくて嬉しい気持ちになります。

 

Twitter上での評判を見ていると邦画として高評価を得ています。参考までに、coco映画レビューではポジティブ指数95件、ツイート数804件、coco映画レビュアー満足度91%です。つまり高評価であると言えます。

さらに、各種映画サイトでの評価というと・・・

Filmarksでは☆4.2

映画.comでは☆4.2

Yahoo!では☆3.83点

ぴあ映画生活83点

Movie Walker☆4

という高評価です。

さらに、さらに、ぴあ映画初日満足度ランキング発表!第1位は『宮本から君へ』です。

具体的なランキングというと!?

1位『宮本から君へ』92.8点
2位『任侠学園』90.9点
3位『惡の華』90.7点
4位『パリに見出されたピアニスト』90.6点
5位『ホテル・ムンバイ』90.5点
6位『春画と日本人』86.0点
7位『ライリー・ノース 復讐の女神』84.3点
8位『ヘルボーイ』83.6点
9位『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』82.8点

となっております。

さらに、さらに、さらにFilmarksでも初日満足度1位です。

 

原作は、新井英樹作で、1990年から1994年に書かれていました。当時の日本はバブル末期、「トレンディ」という風潮が流れていました。その中で、熱量がこもった本作は暑苦しすぎて人気は博さず、徐々にファンを獲得としていった矢先に、編集長から「靖子に〇〇〇させよう。」というタブーな表現を組み入れようとした結果、この漫画が「最も嫌われた漫画」や「嫌われる男1位」と評価されてしまった所以かもしれません。

ただ、このバブル末期の時代漫画が、なぜ今まで実写化されてこなかったのか。今まで何度か取り組もうとしてはいたけど、頓挫したことがほとんどで、本作もドラマ制作後に映画は一度頓挫しました。制作の河村光庸や写真家の佐内正史の尽力によってどうにか映画化までこじつけました。現場ではみんな好きなように作って、意見もぶつかり合い、もう一度本作を作りたいという思いはないとかね。色々と苦悩があった話もちらほらと。

 

『令和』という新時代になり、本作は何を届けてくれるのか。

『令和』という元号を海外では「美しい調和」として説明されています。現政権においては「すべての国民が一元化する」ことを求めてきています。この「多様化」の時代となっているにもかかわらず。そんな時期に本作を公開したことに大きい意義があると思います。宮本の我武者羅で無鉄砲で後先見ず、必死にもがき、苦しみ、あがき、泥臭く生きていく。今の日本人に足りないものを、宮本という象徴=メタファーとして、静かに眠っている熱量を甦らしてくれることだと思えます。宮本の生きざま、熱い台詞の数々によって、心が動かされます。社会に反撃するのではなく、間違っていることを間違っていると言えるような人になる必要があるということが大事なのかな。冷めきっている日本人に、どこまで本作が響くのかね。

 

まとめとして、本作を見ると誰もが語りたくなる映画です。見ながら、「宮本がんばれ!」、「宮本焦るな!」と声援したくなります。応援上映会がないことにひどく残念です。