映画 Once Upon a Time in Hollywood ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 最高なので語りたい。

映画 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 感想、ちょこっと考察。


〇感想をだらだらと述べます。褒めたたえるだけで、否定的な感想はまるでありません。
大満足の100点満点映画です。文句の付け所なしですよ。完全に好みの問題ですが、クエンティン・ジェロームタランティーノ【注:以降、尊敬の意味を込めてタラちゃんと勝手に呼ばせていただく】作品が好きだからこそ、本作は物凄く面白いのです。きっと、タラちゃん好きは、全員が面白いと言える、これは過言ではないです。個人的にタラちゃんシリーズで好きなポイントとして、時代背景のこだわりや、子気味の良い会話の掛け合いや全体をまとめるBGMの良さ、バイオレンスによる壮大な描写、タラちゃん自身の映画愛に溢れていることなど、挙げるとしたら切りがないですが、そういった点が好きなわけです。

本作においても、映画愛やその時代への愛に溢れています。キネマ旬報や、映画秘宝、SCREEN、DVD&動画配信データ、ユリイカ、パンフレットを読むと、面白い点がどんどん増えて、映画を見るたびに面白い発見があります。そのため、早くDVDかBDになって、停止して確認したいことが山盛りですよ。まだ、2回しか見れていない。できれば、今の時点で10回は見ておきたい。そんな思いです。


その2回見た中で、特に本作で良かった点をまとめると9つに絞って挙げたいと思います。

1つ目は「リック・ダルトンとクリフ・ブースの熱い友情!」「レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの夢のような共演!」
レオナルド・ディカプリオ〈演:リック・ダルトン〉【注:以降、愛をこめてレオ様と勝手に呼ばせていただく】とブラッド・ピット〈演:クリフ・ブース〉【注:以降、憧れの意味を込めてブラピと勝手に呼ばせていただく】の共演というだけで、胸が躍るじゃありませんか。この二人は単純にカッコイイし、渋いし、タラちゃん作品にも出ていて、安心感しかない。役柄としては、レオ様は、かつてテレビ西部劇で一世風靡し、今は下り坂気味の元スター俳優です。ブラピは彼のスタントダブルを務め、妻殺しの噂がありつつ、ベトナム戦争で活躍したという過去もあります。

映画の中では、主にブラピが、レオ様をやさしくフォローしているのが印象的です。ユーチューブでも公開されていますが、予告の「男の友情」編を見るとわかるように、信頼関係が絶大ですね。若者風にいうと激萌えポイントといっても過言ではありません。その映像以外にも、レオ様の家のアンテナを直すシーンにおいては、鍛え上げた肉体に惚れ惚れします。ブラピ曰、タラちゃんはCGが大嫌い。そのため、実際にブルース・リーと手合わせするシーンのために、トレーニングをしたということです。俳優として素晴らしい一面に感服です。

特に本作で一緒にレオ様がでる「FBI」を一緒に観るくだりの会話が好きです。家に着いたときレオ様が「これから一緒に俺の出るFBIを見ないか」と言うと、ブラピが「もちろん、そのつもりだ。ビールあるから、ピザでも頼もうぜ」と言って、一緒に見ながら、演技の評価をしあう姿が良いんですよね。実はいらないかもしれないシーンだし、物語上重要じゃないかもしれない。けれど、リック・ダルトンとクリフ・ブースがこの時代に生きていた感覚を見ている側に感じさせるためには、必要なシーンに思えました。

また、最後に飛行機に乗っているシーンで、ブラッディ・マリーを飲むブラピにナレーションが入るのですが、そこに2人の関係性はとれつもなく溢れた感情で繋がっている言葉が入っています。ぜひ、そこは映画を見て感じてほしい「~以上、~以下」という所です。このナレーションに涙流しましたね。こんな関係性は愛しいです。当たり前で当たり前じゃないし。仕事してきた仲間と考えると、友達を超えていると思えます。あまり言うとね、感動が薄れるので、ここまでに抑えますが、何度見ても泣きたくなります。

他にもレオ様はウィスキーサワーをストローで飲む姿、ブラピがブラッディ・マリーを飲みながらセロリを齧るとか、カッコよすぎだろ!ラストにおいて、マルガリータをつくり、ボトルごともって飲む姿も素敵なんです。

色々好きだったシーンを述べましたが、レオ様とブラピを目的として観に行くだけでも十分に価値があります。

余談ですが、実は1960年代当時のハリウッドにおいてはよくあるコンピだそうです。それを言うのも、タラちゃん自身の経験談でもあり、撮影の時に、とある俳優が僕のスタントを使ってくれと言われたことがきっかけで、本作に落とし込めたそうです。

2つ目は「シャロン・テート殺害事件(ハリウッドの闇)を快活に一蹴!」

シャロン・テートは本作における一番重要な人物でキーマンです。この人物を知っている、知っていないでは、この映画に対する評価は分かれます。だからといって、予習した方が良いという意見が多いのも複雑です。なぜなら、映画は予習してみなくてもいいものだからですね。予習すると色んな視点で観れますが、映画好きでない人やたまにしか見ない人にとって、予習した方が良いじゃなくて、自然な気持ちで、〈なんかこの作品みたいかも〉と思って、その人にとって面白いと思えた方が印象的で良くないですか?ハリウッドでは当時で大事件でしたし、その後チャールズ・マンソンの子供も災難な目にあいましたけど、見ている人には関係なくて、その作品が面白いか、つまらないかでしかないのですよ。それでも、タラちゃん好きな私は調べてしまい、その上大満足しているわけですから、映画ってなんか良いものなんですよ。強制しちゃいけないけど、勧めたくなる気持ちがでちゃうんですよ。

有名なシャロン・テート殺害事件。チャールズ・マンソン率いる、マンソンファミリーによって1969年の8月9日に殺害され、赤ちゃんまで殺害されるという無残で悲惨な目にあった女優です。タラちゃんがシャロン・テートという人物は、1969年のツァイトガイスト(時代の精神)だと思うと語ります。確かに、シャロン・テートは1960年代に活躍したその時代をときめく女優でした。哀愁の花びらやサイレンサー第4弾/破壊部隊などに出演され、吸血鬼でロマン・ポランスキーと知り合い結婚しています。つまり幸せの絶頂から転落する事件であった訳です。

本作でャロン・テートを演じるのは、マーゴット・ロビーです。もうキュートで愛しく、ただただその時代をときめく女優を演じてくれています。個人的にマーゴット・ロビーが出演している作品といえば、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」、「スーサイド・スクワッド」ですね。挙げるとしたら定番なんですが、彼女が印象的に色濃く映っていると思えます。

本作では、ドラマパートは全然なく、シャロン・テートが普段過ごしていた日常を写すことが多いです。シャロン・テートが、夫のために「テス」という本を買うこと、映画館で自分が出演しているのを見て、周りの反応を喜ぶ所、パーティーで皆と踊る所などが写ります。それは素敵で、もし生きているうちに見れたら、こんなに楽しそうに生活をしていたのかと思えます。

余談ですが、本人はタラちゃん作品に参加したい思いがあり、上記の「アイ、トーニャ~(以下省略)」を演じたことが自信となり、手紙を送ったそうです。それで本作出演できたとか。

またここで言う、快活な一蹴とは、ネタバレになるとダメですが、「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ繋がれざる者」のような復讐三部作と言える作品なんです。つまり、救いやifの映画でもあるんですね。だからこそ、見ている側は最高の気持ちで劇場を去れるのです。
ぜひ、この快感は映画をみたあとにしか感じられません。DVDまで待つという方は、上記の2作を見ておくと、なんとなくイメージできると思われます。

3つ目は「時代を彩るラジオと選曲の良さ!」
タラちゃん作品はいつもサントラも素晴らしいのです。
本作では、ラジオを聞くシーンが印象的です。実在したロサンゼルスのラジオ局「KHJ(AM930kHz)」通称「ボス・ラジオ」にチューンしています。全体的に曲は良いのですが、特にこの3曲が好きです。
「ブキャナン・ブラザーズ / サン・オブ・ア・ラヴィン・マン」
「ロス・ブラヴォス / ブリング・ア・リトル・ラヴィン」
「ニール・ダイアモンド / ブラザー・ラヴズ・トラベリング・サルヴェイション・ショー」
ドライブしているとき、パーティー会場で踊っているときに流れているのが妙に気持ちよくこの映画に浸ることができます。

また、序盤に流れるRoy Head - Treat Her Right -が、この映画に自然と入り混めるしかけだと思えます。この曲によって、この映画の時代背景を感じさせつつ、観る人へのわくわく感をくれています。

4つ目は「光と闇、栄光と挫折の当て方、そこからの生き方の描き方が最高!」
各シーンにおいて、光と闇という表現を色々な視点で描かれています。もちろん、栄光と挫折、未来と過去、落ちぶれ気味の俳優と新進の女優などなど、あるんです。その人それぞれで悩みや苦悩はありますが、結局隣の芝生は青く見えるものなんです。自分にないものねだりで、人がもっている。だけれど、本当は、レオ様にはブラピという絶対的な信頼関係で築かれ相棒がいて、シャロン・テートにはロマン・ポランスキーがいたわけです。殺害されたことで、この世にいないため栄光はみられなかった。けれど、生きていたって、栄光がみれたかなんてわかるわけではない。本作を観ながら、シャロン・テートに命を与えて、劇場に復活させたタラちゃんの気持ちが全面に伝わりましたよ。ただ、シャロン・テートの悲劇によりハリウッドが震撼させたのではなく、映画で息を吹き返すことで、新しい一面を見せたことに意義があると思えます。

光と闇という表現は色んな映画で表現されやすいですが、タラちゃんは特に時代背景と当時の事件を踏まえた上で、今にはない気持ちにさせてくれたわけです。

本当はこの項目をだらだらと感想を述べたいのですが、ほとんどネタバレになるわけです。知らないで見るのと、知って見るのでは違いがありますが、特に感動を削いでしまうわけでね。

5つ目は「あの子役はなにもの!?可愛くて、大人びた会話についつい見入ってしまう演技力!」

だれもが見て、だれもがあの子役はすごいと思わせたに違いない、すんげぇ子役がいます。その子は、ジュリア・バターズです。役名はトルーディーです。まぁ、可愛いこと、可愛いこと。レオ様曰、「小さなメリル・ストリープだ。」そうです。つまり、未来ある、有望される子役だと言えるわけです。すぐ、ググった方がいい。見ていて損ないです。小さいときの宮崎あおいを見ているのかのような気持ちです。あくまで、個人的な意見ですよ。

本作では、前日にウィスキーサワーを8杯も飲んでしまったレオ様は、よれよれな状態で現場入りします。飲みすぎたときの特有な体調不良の状態で、役柄によってつけられた髭の糊をとるわけにいかず、撮影場所で本を読みにいきます。本は「ウエスタン」な訳で観た人ならわかると思いますが、その本を読むことが彼の思いを示しているんです。いやぁ、そこでレオ様がその本の説明をしているシーンも泣けます。

少しずれましたが、その本を読むときに、ジュリア・バターズに会うわけです。「役名で呼んでくれた方が良い演技をできる気がする。できれば役名で呼んで欲しい」、「昼ごはんを食べると、良い演技ができない気がする。」など中々小生意気な意見が目立つのですが、子役+美少女ということで、黙ってみることができます。おませな子ぐらいな気持ちでね。それでも、レオ様相手に堂々とした演技力、予告にも流れていますが、耳元で囁く彼女の言葉に涙するレオ様。ここも良い関係性なんです。光と闇とも言える場面だと思えます。

6つ目は「ROMA/ローマを彷彿させる映画、これはアカデミー賞受賞決定説!」

とある意見において、「ROMA/ローマ」と似ているというものがあります。
「ROMA/ローマ」とは、アルフォンソ・キュアロン・オロスコが監督が、脚本・制作・編集した力作です。さらに、金獅子賞を獲得!Netflixで配信され、外国語アカデミー賞にて、監督賞・撮影賞・外国語映画賞を受賞しています。これは偉大なことです。映画は劇場で見るものという価値観がなくなり、配信においてもアカデミー賞は認めたという事実。そして、配信という幅をもった映画はより見切れない数に増えるのです。年間1000本は国内で上映していますが、配信があることで劇場での鑑賞は減ります。ましてや、伝統ある賞をNetflixがとってしまったという事実。すごいのが少しでも伝わっとと思います。

ところで、どこが似ているのかというと、「ROMA/ローマ」とはアルフォンソ・キュアロン・オロスコ監督の生きた時代を描いています。まぁ幼少期のときの記憶を鮮明に描いているのです。そこが、本作においてタラちゃんが、感じたハリウッドと育ったときのハリウッドの映像を表現したわけです。どちらの作品も事実を踏まえているため、絶妙なリアリティーを生んでいるんですね。見た私も似ている印象ではありますが、内容は全然別物。「ROMA/ローマ」とは違う、時代の革命を起こしているのが別物ですね。映画愛にともに溢れ、時代愛にともに溢れていますが、エンターテイメントムービーとして、本作はかなり強い。その点を、ぜひアカデミー賞で評価して欲しい!いや、これをアカデミー賞受賞して、映画館で再上映してくれないかなぁという希望ですよ。


7つ目は「安定のレッドアップル!というより煙草吸いたくなる映画って教育上だめじゃん!?」

レッドアップルという煙草は、タラちゃん作品において1つのアイテムなのですね。タラちゃん作品、「パルプ・フィクション」、「キル・ビルVol.1、キル・ビルVol.2」、「ジャンゴ 繋がれざる者」に出ています。日本で言うと、新海誠作品は必ず、前作のキャラクターを出すこと、山田洋次監督も役柄を変えて同じ俳優を出すなどがありますね。そのようなこだわりがある演出は私にとって大好物なわけです。だって、その監督の作品を見直したくなるじゃないですか。出るのか、出ないのか、このわくわく感で違った視点でみれて楽しいんですよ。雑誌やネットの評価ブログを読むとすぐに出てくる内容を自分で一生懸命探すのは、ある意味「インディ・ジョーンズ」の気持ちなわけです。

まぁ、そんなわけで、本作でもレッドアップルの煙草が出るわけです。さらに、エンドロールを見逃さないで欲しい。そこにはいろんなトリビアが隠されているから。ここでいうとほぼネタバレかもしれない。

随所に出てくる煙草のシーンは見ていて楽しいです。まず、序盤に車から吸い殻がたくさん落ちてくるし、なにかあるとまず煙草を吸うシーンがあります。いち喫煙者として、観ていてい気持ちがいい。映画館で煙草が吸えるといいなぁと思ってしまいます。昔はよかったのにね。


8つ目は「わき役なのに、魅力的で、主役級のキャラクターが勢ぞろい!?」

各映画ブログや、雑誌にも出ていますが、アル・パチーノルーク・ペリーダコタ・ファニングティモシー・オリファント、マーガレット・クアリーなどが出演しています。などと言うと失礼ですが、他にも素敵な俳優はそろっています。少し洋画が好きな人は必ず気づくはずでしょう。アル・パチーノだぜ!あのアル・パチーノが出ているだけで、観る価値がものすごくあがりますよ。数ある省を受賞し、彼が素敵だと言える点はまさに無数。リチャード・ギアの上で好きな俳優です。「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」は絶大的な感動に包まれました。何度見てもいい所しかない。盲目で紳士的で、ジャックダニエルを飲む姿に憧れ、必ずbarではジャックダニエルを飲んでしまう始末、彼は最高の俳優です。個人的感情がむき出しでしたね。ルーク・ペリーも好きなんです。しかし、脳卒中で他界とか、涙が。涙の波が。という感じで、好きな俳優しかいないのも見どころですね。


9つ目は「本作で監督業引退!?今までの作品の集大成とタラちゃん自身も語る出来!」

タラちゃんは10作で映画を終えると公言しています。それでも、自然と出来上がった脚本を関係者に読んでもらうと、今までの集大成じゃないかと言われ、タラちゃん自身も集大成に感じたそうです。10作で終えると公言したのは、ピタッと作る目的を終えて、違うことで映画製作にのめりこみたいという気持ちなんですね。志が高いうえに、映画の完成度が高いのも彼の、精神論、向上心によるものだと言えます。引退してほしくないけど、この熱量を維持して、10作目を作って欲しいです。そしてみたい。

 


以上ですね。本当は100個ぐらい挙げたいところですがね。本作が9作目なので、なんとなく9つだけに絞りました。見た人はきっと切りがないぐらいから、この映画愛を語りたくなりますよ。実際barで知らない人とずっと映画を語っていた私はそう思います。実体験を通して、好きな映画はずっと語れるものなのです。