映画 JOKER ジョーカー 感想

映画 ジョーカー JOKER 感想について。

 

〇感想

金獅子匠おめでとうございます。「ROMA/ローマ」や「シェイプ・オブ・ウォーター」に続いて、金獅子賞を獲得した=アカデミー賞はほぼ確定済みと言えますね。見た感想は、この上ない面白さを感じました。善と悪の境界線がぶれていて、全然クリアになっていない。今までの映画は勧善懲悪であることがほとんどですが。ジョーカーという存在を悪とたらしめる形、固定することはできない形で、新しいジョーカーを描いたことがすごいです。〈本当にジョーカーは社会が生んだのかもしれない。劣悪な環境、貧富の差や夢すらも馬鹿にされる、その中でジョーカーが生まれてしまった。社会の象徴か、民衆の思いの象徴なのか、時代を変えるカリスマ的象徴か、時代を混沌にする厄災の象徴なのか、民衆は知らないだけ。ただ近くにあいつはいる。いつでもなれる。そうジョーカーに。〉というような思いにかられました。主役のホワキン・フェニックスの笑い方が徐々に狂気と化していく様がすごい。初めは、脳の一部疾患により、急に笑い出してしまうという設定。周りが急に笑っているアーサー(演:ホワキン・フェニックス:後のジョーカー)にドン引きしているところ、カードには脳の疾患によって急に笑い出しますと丁寧に書かれています。徐々にジョーカーへと近づく中、最後にパトカーの上で一番の笑いを見せます。そこには、本人にとって最高の喜劇が起こっている感覚であり、本人にとっては救いなのでしょう。見ている側には狂気にしか感じとれない。この笑いの使い方が絶妙です。愛想笑いとか、気を使った笑いでなく、本当に笑いたくて止まらない笑いを見せます。キャッチコビーは、「本当の悪は笑顔の中にある。」という言葉。映画を見終わったあとに真実だと思える根拠の強いメッセージでした。

 

今までの、「ダークナイト」や「バットマン」や「スーサイド・スクワッド」においてのジョーカーは悪役としての魅力とカリスマ性があり面白いです。しかし、本作のジョーカーにおいては人間味が溢れています。身体の弱い母親と2人暮らし、いつかはコメディアンになるという夢をもちながら、ピエロの仕事をしているという設定です。

背景については、1970-1980年代。当時のゴッサムシティは、【ストライキ】や【社会格差の拡大】や【治安の悪化】が問題となっています。衛生局がストライキしていることで街中にはゴミが広がっています。貧困者がゴミを蹴っているシーン、腐臭を嫌がるシーンがあります。社会格差により、精神にトラブルを抱える人たち、少数の富裕層が権益を独占しているため、必要なケアが提供されなくなってしまう。そこで、激しい抗議活動や暴動へと物語につなげていきます。治安の悪化はそれに付随した形で、若者がストリートギャングとなり、面白半分で人を襲う。善悪が全くつかない状態。富裕層が底辺層を罵り、傍若無人な振舞いをします。

上記のような環境下でも、コメディアンとなるために、ピエロの仕事も頑張りながら常に笑っています。だって人を楽しませたいからという思い。しかし、楽器店の看板をもちセール販売のパフォーマンスをしているところ、ストリートギャングの子供たちに看板をとられたあげく、逃げられ、看板を顔面にぶつけられ、ふくろただきに会います。職場の上司は、その状況を知らん顔で、看板をちゃんと返してこい、給料減らすぞと言われます。パワハラ野郎です。同僚には、拳銃を押し付けられ、自宅に帰ると母親の世話をする。唯一の楽しみは、マレー・フランクリン・ショーを見ること。アーサーは、夢を見ます。コメディショーに出て、どんなことを話そうか。現実にかえると、そこにはまた母親の介護と仕事の日々です。小児病棟で、ピエロのパフォーマンスをすることになったアーサーは誤って拳銃を落としてしまいます。上司からはもちろんクビを宣告されてしまいます。職業なし、金なし、友達なし、恋人なし。無いものばかりだけど、アーサーは笑い続けます。クビ後に地下鉄内で富裕層といざこざがあり、富裕層の連中に因縁をつけられた際に、ふと拳銃を放ってしまいます。そこからアーサーの人生は変わったのです。

富裕層を殺した、ピエロ姿の私刑人とニュースで流れます。貧困層たちからはヒーローの象徴、反乱を示す象徴として描かれ、暴動を起こすときには全員ピエロのお面をかぶっているわけです。映画の中では物凄い惨劇として描かれています。このような過程があるからこそ、ラストがまさに圧巻、圧倒されます。

 

〇おすすめポイント!知ればもっと見たくなる!

1.今までのジョーカーを比較してみよう!

ジャック・ニコルソン 

バットマン」1989年 

ティム・バートン監督

【喜劇・愉快・ミュージカルチックなジョーカー】

愉快でミュージカルチックな表現が特徴的です。奇妙で怖いという印象。他の映画ではジョーカー誕生の話は映像で描かれていませんが、「バットマン」1989年では描かれています。廃液タンクの中に入り、九死に一生を得たあと、ずっと笑顔の状態になり、別人格と化します。ゴッサムシティに、有毒性物質を化粧品にまぜて、皆ずっと笑顔状態にし、大量虐殺を企てます。武器にはロングガン、アシッドフラワー、ハンドブザーがあり、原作をしっかりと意識しながら、ティム・バートン監督らしいと思えるブラックでダーティーな仕上がりになっています。

 

ヒース・レジャー 

ダークナイト」2008年 

クリストファー・ノーラン監督

【圧倒的悪の美学・悪のカリスマ・暗黒面に引きずり出す引力・狂気のジョーカー】

ここまで不気味で、恐怖に陥れる様がすごい作品。きっと、ジョーカーが飛躍的に有名になったのはこの「ダークナイト」が強いと思います。なぜなら、公開前にヒース・レジャーは薬物の過剰摂取で亡くなり、2008年度のアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。ジャック・ニコルソンと比較すると、原作に従った武器や誕生が省かれています。彼の過去については、親によって口に大きな傷ができてしまい、あの特徴的なメイクをすることになります。ヒース・レジャーによるジョーカーで一番の見どころは、正義の象徴であるハービー・デント検事を、暗黒面に引きずり、トゥーフェイスと化してしまう。その過程が、彼の笑い方の気味の悪さと、このうえない表情による不気味さが出ており、史上最悪の悪役が誕生したと言えます。

また、クリストファー・ノーラン監督は有名だから詳細は省きますが、「ダンケルク」「インター・ステラー」「メメント」「インセプション」などトリッキーな映像表現者で、映画の終わり方に違和感や意味深なメッセージを残してくれる名監督なわけで、「ダークナイト」は今までのヒーロー映画にはない仕上がりです。こんな面白さはDC映画しかなくて、マーベル作品のような勧善懲悪でないところが魅力的です。

 

ジャレッド・レト 

スーサイド・スクワッド」2016年 

デヴィッド・エアー監督

【おしゃれ・最先端・全部銀歯・ハーレイクインといちゃいちゃジョーカー】

中々セクシーなジョーカーです。ファッショナブルで、ハーレイクインといちゃいちゃしています。今までのジョーカーにはないです。スクールカーストの上位にいる感じのリア充的雰囲気があります。嫌いじゃないんですけど、映画の物語上、色んな悪役が出てくるため、ちょっと埋もれている感じが否めません。有名な話で、ジャレッド・レトは役作りの一環として、共演者にエロ本や豚の死骸などを送ったようです。不気味さで言えば、ヒース・レジャーにかすりもしませんけど。

デヴィッド・エアー監督は、「トレーニング・デイ」「フューリー」「ワイルドスピード」に関わっています。次作では「ハーレイクインの華麗なる覚醒」も上映されます。

 

2.監督の過去作を知ろう!

本作「ジョーカー」はトッド・フィリップス監督です。

フィルムグラフィは。

全身ハードコア GGアリン (1994) 監督・製作
Screwed (1996) 製作
Frat House (1998) 監督・製作
ビタースウィート・モーテル (2000) 監督・製作
ロード・トリップ (2000) 監督・脚本・出演
アダルト♂スクール (2003) 監督・製作・原案・脚本・出演
スタスキー&ハッチ (2004) 監督・脚本
恋愛ルーキーズ (2006) 監督
ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006) 原案
オール・ザ・キングスメン  (2006) 製作総指揮
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い (2009) 監督・製作・出演
デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断 (2010) 監督・製作・脚本
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える (2011) 監督・製作・脚本
Project X (2011) 製作
ハングオーバー!!! 最後の反省会 (2013) 監督・製作・脚本
ウォー・ドッグス (2017) 監督・製作・脚本  です。

ここで、注目していただきたいのは、「ハング・オーバー」シリーズです。これは男4人がバチェラーパーティーで、遊びまくりで、二日酔い(ハングオーバー)するわけです。みんな二日酔いだから何も覚えていないため、1つ1つ残っている手掛かりから、徐々に解明されていくコメディ映画なんです。これが最高に面白くて、トッド・フィリップス監督と言えば、真っ先に思いつくのは、ハングオーバーと言っても過言ではないです。そのため、私は彼はコメディが好きなんだと勝手に印象づけていたため、本作のジョーカーを見たときにショックを受けました。ここまで、社会性やブラックユーモアやいかにもアメリカ映画らしい作品を作れたことに感激でした。

ハングオーバーだけでも見ると、監督の映画表現の領域の広さに感嘆としてしまいます。監督曰、倫理観に欠けていると言われている作品であるが、そこに面白みがあり、コメディの本質は、破壊的かつ不謹慎な物だと定義しています。

ハングオーバーでは、ブラッドリー・クーパーが主演で出ています。本作のジョーカーでは制作に関わっています。ブラッドリー・クーパーと言えば、本年度アカデミー賞において、作品賞と主演男優賞と脚色賞においてノミネートされました。その作品をブラッドリークーパー自身が監督と主演をした「アリー/スター誕生」です。レディー・ガガがヒロインをすることで有名でもありましたが。あと、マーベル作品の「ガーディアンズ・オブ・ギャクラクシー」のロケットの声をあてています。外せないのが、「アメリカン・スナイパー」と「世界にひとつのプレイブック」と「運び屋」です。カッコよくて良いです。

 

3.ホワキン・フェニックスのどこが魅力なの?

完全に個人的主張でしかないのだが、「ビューティフル・デイ」をまず見ろと言いたい。この一本に彼の演技する力と魅力と色気がすべて込められています。PTSDを抱えた退役軍人役の苦悩と葛藤から、少女を1人助けるという過程における最後の結末とダイナーで話す最後の台詞が堪らなく好きだ。あの風景と2人の瞳と、生きていく覚悟が詰まっている。それから、「インヒアレント・ヴァイス」や「教授のおかしな妄想殺人」や「グラディエーター」や「her/世界でひとつの彼女」でも見てください。結果最高なのは変わらないですけど、「ビューティフル・デイ」はカンヌ国際映画祭男優賞受賞していますからね。見ておいて一番特です。

彼の魅力を本作のジョーカーに合わせて2つに分けて語ります。

・彼の瞳!

彼の瞳は大きなグリーンなんです。マスカットのような色合いをもっています。だからなんだと言いたいかというと・・・・・緑がもたらす効果には二面性があります。

「リラックス効果」「穏やかな気持ちを与える」「鎮静作用」があると言われています。一方で、グリーンアイは「嫉妬深い」と言われたり、夢に汚い緑が出てくる場合は、「精神状態が不安定で苦しんでいる」ことを示します。

まさに、本作ジョーカーで特徴的な印象の言葉ですよね。精神安定剤を飲んでいる間は、好きな子とデートしたり、コメディアンとして大成したような安定した描写がある反面で、薬を止めて、すべてが幻想であることがわかり、精神状態が徐々に不安定になっていく様で、彼の目は濁っているのです。冒頭から、彼は鏡に向けて笑うシーンから始まります。しかし、彼の目から涙が出ており、メイクの緑と青が混ざったようなものが濁って落ちていきます。ジョーカーになる前は泣いて落としていた濁りはずっと目の中に入り込んでしまったんだと考えます。

因みに、緑色の瞳は他の俳優さんで言うと、「ミラ・ジョヴォ・ヴィッチ」「エマ・ストーン」「トム・クルーズ」が挙げられます。

 

・彼のダンス!

言わずもがな、電車内で富裕層であるエリート3人組を銃で殺害します。その場を走り出します。彼の行きついた場所で、静かに1人でダンスをします。曲に合わせたスローダンスはまさに【変化】の【予兆】で、【悲劇】の【喜劇】で、【沈黙】からの【覚醒】という変換をもたらすシーンです。この優雅でありながら、鏡に写るもう1人の自分、薄暗い蛍光灯それは正に【死の舞踊】なんです。そして、富裕層に勝ったという【勝利のダンス】でもあります。他にも、母親を殺し、自宅で髪を緑色に染めながら踊ります。自信に満ち溢れた彼は、次に階段で踊ります。その前までは、階段をよろよろと覚束ない足取りであったが、ジョーカーとして目覚めた彼は、その階段で【ロックン・ロール・パートⅡ】ゲイリー・グリッターの曲が流れ始め、荒れ狂う姿が印象的です。この【自信に満ち溢れたダンス】は、ゴッサム・シティの道化師マスク軍団の暴徒と集結を示唆していると考えます。貧困層のヒーローであるジョーカーの雄叫びのようなダンスはすべて予兆を示しています。そして、感化されている貧困層のピエロマスク軍団は知らない間に、カリスマに惹かれて都市暴動へとなるのです。

因みに、ダンスで印象的な映画と言えば「サスペリア」です。ダンスは時に儀式、芸術、自己表現の場などでありますが、「サスペリア」の独特な舞踊は、「ヘレディタリー/継承」を彷彿させながら、「ウィッチ」に似たような恐怖がそこにはあります。

 

4.他の映画が繋がっていく無限の樹形図!

1つの映画を調べるとたくさんの映画の影響を受けていることがわかります。すると1つの作品がより深く知ることができ、めっちゃ楽しくなります。監督が参考にした作品や個人的にこの作品は近いのかなと思うものをいくつか挙げていきます。

・「セルピコ

内容:実話をもとに、名匠シドニー・ルメット監督が警察内部の腐敗と戦う青年刑事の姿を描いた社会派ドラマ。警察学校を卒業後、ニューヨーク市警の勤務に就いたセルピコ。しかし彼は地元の麻薬を取り仕切るボスからの賄賂を拒否したために左遷させられる。汚職が公然とはびこる中、セルピコはたったひとりで戦い続ける。孤立無援の彼はやがて危険地帯へ送り込まれるが・・・

関連している所:主人公の閉塞感が、本作のジョーカーの社会観に影響を与えているため。

・「タクシードライバー

内容:大都会・ニューヨークを舞台に、うっ屈した生活を送る1人のタクシー・ドライバーが、自分の存在を世間に認めさせようと『行動』を起こす心のプロセスを追う。

関連している所:都会の穢れに静かに怒りをため込み行動する様が、本作の社会への怒りの表れとなっているため。

・「カッコーの巣の上で

内容:刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装い、精神病院に入ったマクマーフィは、絶対的な管理体制をしくラチェット婦長のやり方に反発を覚える。マクマーフィは、管理されることに慣れ、無気力になっていた入院患者たちに生きる希望と活力を与えようとするが。

関連している所:不良である彼が精神患者の中で圧殺される様が、本作で母を枕で圧殺し、憐れみや敬意が憎悪へと変わる様と繋がる。

・「キング・オブ・コメディ」

内容:「タクシードライバー」「レイジング・ブル」のマーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演によるブラックコメディ。コメディアン志望の青年ルパートは、有名コメディアンのジェリーに接触し自分を売り込もうとするが全く相手にされない。そこでルパートは、ジェリーの熱狂的ファンである女性マーシャと手を組んでジェリーを誘拐し、自らのテレビ出演を要求するが。

関連している所:才能が曖昧なコメディアン、本作では悲惨さが強い。

・「ある戦慄」

内容:現代。深夜のニューヨーク。下町で2人のならず者ジョー(トニー・ムサンテ)とアーティ(マーティン・シーン)は、通りがかりの男から金を強奪したうえ惨殺した。午前2時をまわった高架線の駅。サラリーマンのウィリクス夫妻(エド・マクマホン)と(ダイアナ・V・D・ブリス)が4歳の娘をつれて乗ってきた。この時すでに座席の片隅には浮浪者が1人眠っていた。

関連している所:主人公アーサーが、地下鉄で3人の男ともみ合いになるシーンが、この作品を彷彿させるため。

・「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

内容:落ち目の俳優とそのスタントマンの2人の友情と絆を軸に、1969年ハリウッド黄金時代の光と闇を描いた。テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトンと、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、いつも自分らしさを失わないクリフは対照的だったが、2人は固い友情で結ばれていた。

関連している所:トッド・フィリップス監督は、ジョーカーを1970年代から1980年代風の世界で描いてみたかったと。1970年代の映画を愛した監督と、タランティーノ監督は1960年代を愛した作品を。つまり、その時代背景をしっかり練った作品という意味で関連していると言えます。どちらも映画愛に溢れていますね。

・「時計じかけのオレンジ

内容:非行少年による暴力が横行する近未来のロンドン。アレックスも仲間を引き連れ、喧嘩とレイプに明け暮れる日々を過ごしている。ある夜、中年女性を死に至らしめた彼は刑務所行きに。しかし2年後、とある治療法の被験者になることを条件に、社会に戻ることを許されるが。

関連している所:カリスマ性のある悪役が主人公という点です。時計じかけのオレンジのアレックスは、実にユーモアに富んでいて、ナッドサット語が特徴的で、若い反逆児の性行為とサイコパスが印象的です。

・「ミザリー

内容:猛吹雪の中事故に遭い狂信的な読者と共に閉じ込められた人気作家の恐怖を描く、スティーブン・キングの原作を映画化したサイコ・スリラー。

関連している所:サイコに豹変する様。

・「女王陛下のお気に入り

内容:18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性の入り乱れる愛憎を描いた人間ドラマ。

関連している所:したたかさと情念、愛を奪うために悪女へとなる様。

・「ゴーン・ガール

内容:幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。

関連している所:何を考えているのかわからない様。

・「モダン・タイムス」

内容:チャーリーは大きな工場で職工をしていたが、毎日同じ機械を扱って単調無味な仕事を続けている内に、とうとう気が変になって乱暴を働くようになり病院へ入れられた。全治はしたけれど工場はクビになるし、医者には興奮は禁物だと注意された。とぼとぼ街を歩いていると暴動の群集に捲込まれて、彼は首謀者と見なされて投獄された。

関連している所:本作に登場しており、アーサーがそれを見ながら笑い、印象的なシーンとなります。この「モダン・タイムス」が人生にとって、悲劇か喜劇か、コメディなのか、アーサー自身に問いかけるシーンと言えます。

 

〇まとめ

言いたいことはだいぶ書けた。ジョーカー最高!!

映画 宮本から君へ 感想

映画 宮本から君へ 感想!!

 

今回は感想をめっちゃ述べる。好きすぎて、困り、他の作品のように短所なんぞ書いていられん。

 

感想について。

熱量=物体間を伝わる熱や、燃料や食品の持つ熱を、比較したり数値で測ったりできるもの(=量)として捉えたもの。 宮本演じる池松壮亮が、人間丸出しで熱量を帯びた演技力により、見た人にその熱がすごく伝わってしまう。この熱に感化されて、ものすごく真っすぐに生きたいと思えてしまう。隣の席の人に、「すごい面白い映画だったね。」なんて、語彙力の無い言葉をかけて、会話なんかしたくなる映画です。そして、思い人に映画を見たあとの勢いで、告白したくなる、結婚しようとまで言いたくなる衝動にかられてしまうぐらい、この映画の熱量、いや真利子監督、スタッフ、池松壮亮蒼井優を含む俳優陣の熱量に感化されるはず。

 

試写会などで、見た後にすぐ感想が出てこない人が多いという記事を読んだ。そこには、1回見てすぐに言葉で表現できる作品ではないから。そして、「宮本から君へ」のメッセージをもらったものは、徐々に湯水のごとく語ってしまう。だから、1人1人の感想が長かったようです。

 

すぐ感想が出てこない。こういう系統の映画で、例を挙げるとしたら「ダンケルク」や「インセプション」という映画だと思います。理解しているけど、反応し言語化するまでアクションに間ができてしまう。作品の密度が濃いほど、エンターテイメントを超えた「何か」を感じてしまうのだと思います。唖然としてしまうようなね。

実際に、真利子哲也監督と港岳彦脚本での間で、「ダンケルク」の話がありました。映画とドラマを区別するためにも、「ダンケルク」のような手法を組み入れています。ドラマの12話つまり最終話の評価が悪かった。ただ、宮本の凶暴さを出して、映画に繋げるためだったと考えると納得できます。映画は時系列が目まぐるしく変わります。しかし、何が起こっているのかはわかります。導入として、靖子と付き合い、すでに子供を身ごもっており、親に挨拶するという導入は見て驚きました。ドラマでは自転車を2人乗りしたり、宮本の情けなさを叱咤激励してあげる靖子という関係性だけで、これから恋に発展する描写は極めてなかったですからね。しかし、時系列が変わると2人が付き合い、愛し合うシーンがあり納得してしまいます。その中でも裕二演じる井浦新が、乱入してきたり、中々宮本と靖子の休まる瞬間が来ないです。人生は困難がすぎると新しい困難がやってくるという感じが妙にリアリティで、確かに休まる時間なんてほんの一瞬なんだなと思えます。

 

ドラマで主軸になるのは、サラリーマン編です。映画では、靖子との関係性に焦点があたり、ラスボスとなる拓馬との戦闘までを描きます。靖子演じる蒼井優は、愛も買わない可愛さと女性特有の嫌みな物言いがうまい。〇〇〇されてしまい、隣で寝ているだけの池松壮亮に「よく寝ていたもんね。」という台詞が胸にすごく突き刺さります。その後の公園で、「あんたは悪くないよ。けど、あんたを死ぬほど憎い。」と。そこから宮本が動くんですけど、なんせ寝ていたから拓馬の顔や住所する覚えてないと。情けない側面ばかりです。とりあえず、身体を鍛えようと走り、家に戻ってきたら、釜ごとご飯を書き込む。靖子に「あんたは自分のプライドを傷つけられたから起こっているだけ」、「突っ走ってやり返してこないの。」と言われたときに、ご飯粒を吹き出しながら、涙を流しながら、悔しさと情けなさでいっぱいの表情で、靖子と台詞の掛け合うシーンが見事です。

 

台詞がひとつひとつ好きなんですよね。

「何から何までいい事ずくめのバラ色の人生が俺を待ってるぜ。」

「やっぱり仕事だ、男は闘っている時が一番面白いよ」とか。

あまり、言うと映画の中でぐっとくる台詞が響かなくなるから、他は自分の胸の中にとどめておく。

 

主題歌がエンドロールに流れて最高です。主人公の名前の由来となった宮本浩次がこの映画に生きる人たちを激しく讃えあげた主題歌「Do you remember?」が、多くの観客の心をわしづかみにすること間違いないです。

また、宮本浩次が脚本ができる前に、主題歌を作り上げており、脚本の段階で時系列が入れ替わることを決めていたため、主題歌が「Do you remember?」というタイトルで驚いたと。原作者は、エレファントカシマシが好きで、宮本浩次が好きで、主題歌も気に入っているようです。でも、これを聞くと妙に元気になる。熱量をもらえる気がするんです。

 

原作者も宮本の父親役で出ています。この映画を見守ってくれている感じがして、映画と原作を別物という認識じゃなくて嬉しい気持ちになります。

 

Twitter上での評判を見ていると邦画として高評価を得ています。参考までに、coco映画レビューではポジティブ指数95件、ツイート数804件、coco映画レビュアー満足度91%です。つまり高評価であると言えます。

さらに、各種映画サイトでの評価というと・・・

Filmarksでは☆4.2

映画.comでは☆4.2

Yahoo!では☆3.83点

ぴあ映画生活83点

Movie Walker☆4

という高評価です。

さらに、さらに、ぴあ映画初日満足度ランキング発表!第1位は『宮本から君へ』です。

具体的なランキングというと!?

1位『宮本から君へ』92.8点
2位『任侠学園』90.9点
3位『惡の華』90.7点
4位『パリに見出されたピアニスト』90.6点
5位『ホテル・ムンバイ』90.5点
6位『春画と日本人』86.0点
7位『ライリー・ノース 復讐の女神』84.3点
8位『ヘルボーイ』83.6点
9位『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』82.8点

となっております。

さらに、さらに、さらにFilmarksでも初日満足度1位です。

 

原作は、新井英樹作で、1990年から1994年に書かれていました。当時の日本はバブル末期、「トレンディ」という風潮が流れていました。その中で、熱量がこもった本作は暑苦しすぎて人気は博さず、徐々にファンを獲得としていった矢先に、編集長から「靖子に〇〇〇させよう。」というタブーな表現を組み入れようとした結果、この漫画が「最も嫌われた漫画」や「嫌われる男1位」と評価されてしまった所以かもしれません。

ただ、このバブル末期の時代漫画が、なぜ今まで実写化されてこなかったのか。今まで何度か取り組もうとしてはいたけど、頓挫したことがほとんどで、本作もドラマ制作後に映画は一度頓挫しました。制作の河村光庸や写真家の佐内正史の尽力によってどうにか映画化までこじつけました。現場ではみんな好きなように作って、意見もぶつかり合い、もう一度本作を作りたいという思いはないとかね。色々と苦悩があった話もちらほらと。

 

『令和』という新時代になり、本作は何を届けてくれるのか。

『令和』という元号を海外では「美しい調和」として説明されています。現政権においては「すべての国民が一元化する」ことを求めてきています。この「多様化」の時代となっているにもかかわらず。そんな時期に本作を公開したことに大きい意義があると思います。宮本の我武者羅で無鉄砲で後先見ず、必死にもがき、苦しみ、あがき、泥臭く生きていく。今の日本人に足りないものを、宮本という象徴=メタファーとして、静かに眠っている熱量を甦らしてくれることだと思えます。宮本の生きざま、熱い台詞の数々によって、心が動かされます。社会に反撃するのではなく、間違っていることを間違っていると言えるような人になる必要があるということが大事なのかな。冷めきっている日本人に、どこまで本作が響くのかね。

 

まとめとして、本作を見ると誰もが語りたくなる映画です。見ながら、「宮本がんばれ!」、「宮本焦るな!」と声援したくなります。応援上映会がないことにひどく残念です。

 

 

映画 アイネクライネナハトムジーク 感想

映画 アイネクライネナハトムジーク 感想と考察について。

 

1.感想について。

 今泉力哉監督!あんた最高だよ。「愛がなんだ」も素晴らしく面白い作品でしたけど、本作はそれを超える面白さに富んでいました。傑作と言えます。「愛の語り具合」が絶妙で良いんですよね。前作は、成田凌がダサくて良かった。それに伴い、本作は三浦春馬が情けなくて良かったんです。今泉力哉監督のもっている技術と言えます。華やかな俳優を身近に感じさせてくれるんですね。だからこそ、妙な説得力となぜか納得してしまう「愛についての話」なんですよね。原作未読ですが、映画見てから原作を読むとこれまた面白い発見があってよかったです。

・因みに「愛がなんだ」は、なにがすごいのかという点について話したい。

まず原作は角田光代。一目惚れしたマモルに絶望的な片思い中のヒロイン、テルコと同じくままならない状況から抜け出せない人々を描く恋愛映画です。観客の割合は言わずもがな女性が大半、年齢層は10~20代で2人連れ。ライト層の観客が多いということ。勝手にしやがれ〉や〈南瓜とマヨネーズ〉や〈寝ても覚めても〉等の作品もライト層の集客に成功していると言えますが、「愛がなんだ」は集客に成功しまくってます。〈カメラを止めるな!〉のようにSNSを中心に口コミが広がり、4月19日に公開した時スクリーン数は72館、それが約200館と拡大し、興行収入も3億9千万円を超えています。単館映画上映で、ミニシアター系を見る割合は女性50代が多い。理由としては、「単館アート系映画館」が開業し、「ミニシアターブーム」と言われたのは1980年代です。現代より30年程度前の20代の方たちのときに起きていたこと。そのため50代が多いのです。(参照:単館・ミニシアター映画鑑賞世代は? | GEM Column)

つまり、「愛がなんだ」がすごいのは、50代層でなくライト層がミニシアターに足を運んだこと。映画鑑賞人口の割合としては、女性10代の鑑賞率が高いのです。1年に5本以上鑑賞していることが統計で出ています。つまりこの層に映画があたれば売れる方式なんです。とある統計でも、10代のSNS利用率は93.2%です。種類別で言うと、ラインが【92%】、Twitterが【70.1%】、Instagramが【35.1%】です。またSNSの一日の利用時間平均を聞いたところ、最も多い割合を占めたのは「31〜60分程度」。その一方で一日に181分以上という長時間を費やしている人も17%と少なくない結果です。このことから、10代の層に映画がヒットし、SNSでの拡散率が半端ない、影響力が強いと言えます。

とあるデータに、単館・ミニシアターで公開される映画を観たと答えた人は、全国一斉公開外国映画(アニメ)に次いで6%。1年に一本以上映画館で映画を観たと答えた人を3000~4000万人と想定し、上記の6%という数値を踏まえると、単館・ミニシアター映画鑑賞者は、約200万人前後存在すると試算されるとあります。(参照:単館・ミニシアター映画鑑賞者の規模はどれくらい? | GEM Column

それがですね、「愛がなんだ」を4月19日に公開し、5月16日時点での累計興行収入は2億3,299万3,000円、動員数は16万5,810人を突破しています。詳しい最終的な動員数は不明ですが、今年度はミニシアターでの鑑賞率は上がっていることが考えられます。

以上のことが、「愛がなんだ」はすごいぞと言いたかったことです。あと、キネマ旬報8月下旬号に「愛がなんだ」が女性観客を魅了する理由という特集(関口裕子)が面白い。

ついでに、言いたいこと。岸井ゆきのがめっちゃ可愛い!「愛がなんだ」の主人公テルコ役でありますが、テルコを好きになろうというアプローチから始めて、愛おしいと思える役作りをされています。テルコと共通しているのは、好きな物や目標に向かう熱量がある点だそうです。個人的に好きなのはポスターの絵が、すごく仲の良い2人なのに、本編では描かれていない。だからこそ映画を見終わったあとに切なさが増していいんです。因みに、岸井ゆきのが好きな恋愛映画は「エターナル・サンシャイン」です。「トゥルー・ロマンス」も好きなようです。エターナル・サンシャイン」はジム・キャリー好きとして嬉しい。

 

2.本作の物語について。

 あの時、あの場所で出会ったのが君で本当に良かった。出会いがないという全ての人へ、10年の時を超えてつながる「恋」と「出会い」の物語。フライヤーに記載されている文句です。この文言通りの物語だと思います。タイトルについてはwikiにも書かれていますが、「アイネ(ある)クライネ(小さな)ナハト(夜の)ムジーク(曲)」という意味です。

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①恋愛映画の名手と言われる今泉力哉監督!第22回上海国際映画祭 コンペティション部門正式出品!!若い男女を中心に満席となる賑わいを見せた!!!

上海国際映画祭とは、1993年から行われています。日本映画は〈君と、波にのれたら〉、〈賭ケグルイ〉、〈メランコリック〉、〈夜明け〉、〈嵐電〉などが今年公開されています。評価が高い作品ばかりです。受賞歴で言えば、〈リリイ・シュシュのすべて岩井俊二監督)〉コンペティション部門にて審査員特別賞と最優秀音楽賞を受賞しています。他には、〈武士の一分(山田洋二監督)〉コンペティション部門にて最優秀音楽賞(冨田勲)を受賞です。

本作の1番の長所と言える部分です。色々な恋愛映画を着手している今泉力哉監督は、一貫して【正解のない恋のカタチ】を考察し続けています。〈こっぴどい猫〉、〈退屈な日々にさようならを〉、〈知らない、ふたり〉、〈サッドティー〉などタイトルだけ切り取ると、ネガティブな印象がありますが、どれも面白い作品かな。すべては見ていないので断言できませんが、〈こっぴどい猫〉を伊坂幸太郎(本作の原作者)が見て、監督にオファーしたとか。個人的には〈パンとバスと2度目のハツコイ〉が好きです。【正解がない恋のカタチ】が素敵な展開で描かれていて、「愛がなんだ」のような重い女性ではない分面白いです。

因みに、今泉力哉監督が選ぶ「ダメダメな人たちを愛おしむ映画」では、「バッファロー’66」、「ジョゼと虎と魚たち」、「どんてん生活」だそうで。ジョゼと虎と魚たち」は個人的に大好きな作品。池脇千鶴妻夫木聡が良い関係性で、終わり方含めて不思議な恋の行方が楽しい作品です。

 

三浦春馬多部未華子。「君に届け(2010年公開)」より9年越しの共演!

2010年の映画「君に届け」と2013年の「お~いお茶」のCM、2014年のドラマ「僕のいた時間」で共演しています。ベテランカップルといっても過言でない。本作も序盤から10年後の2人の関係性を描きます。そのため、三浦春馬が「現場で自然体でいれた。」、多部未華子は「10年付き合ったカップルの役だったので安心感があって、幸せに思う瞬間がいっぱいあってうれしかった」と言っています。

劇中でもすごく自然なカップルです。10年間付き合ったから結婚するのが普通なの?どうして私たち一緒にいるんだっけ?という台詞が印象的で、自宅に帰ってしまった彼女がいない朝に、ただの食パンをかじる姿がさみしさを強く象徴していて面白い表現でした。

 

③劇中にいる【斎藤さん】。斉藤和義が映画で魅せる語りかけるような主題歌!

本作はペデストリアンデッキが特徴的に映されています。ペデストリアンデッキは、、広場と横断歩道橋の両機能を併せ持ち、建物と接続して建設された、歩行者の通行専用の高架建築物のことを指します。原作者の伊坂幸太郎は、仙台を舞台にした作品が特徴的です。〈ゴールデンスランバー〉もそうです。このペデストリアンデッキで歌う斎藤さんが、時代に流されずあり続けるのが良い。時代に逆らわず、同じ曲を歌い、近づくの映画の主となる人物のみ。この映像と雰囲気作りは最高でした。本作を通して意外とペデストリアンデッキが好きな人が多いことがネットを通して知りましたね。面白い発見です。

斉藤和義伊坂幸太郎は良い関係性で、映画との相性もバッチリ!〈フィッシュストーリー〉、〈ゴールデンスランバー〉、〈ポテチ〉、〈アイネクライネナハトムジーク〉とで関わっています。どの作品も楽曲が良いアクセントになっており、斉藤和義の映画への楽曲提供は見事です。

 

〇短所

①展開が乏しい。

割と日常をだらだらと流れる映画でもあります。劇的な出会いがどうとか、愛とはどうとかが、ずっと繰り返されるため、恋愛映画特有の、激しい台詞のぶつかり合いや恋愛って辛いね系ではないため、見ていると飽きる人がもしかしたらいるかもしれない。自分は全然そんなことありませんが。

ただ、本作を見ていて、ラヴ・ディアスのようなロングショットが欲しいと思ってしまった。スローシネマと言われるような、あのただただ長く、全然カットが入らない映画が好き。特に恋愛モノや戦争やその時代を示す方法として、ロングショットをもっと多様してほしいと思ってしまう。また、 アルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」の冒頭のような長回しがいいんだよ。建物や人たちの服装等がその時代背景を彩り、情報量が多く、見たときに色々伝えてくれるから。

 

②ボクシングシーンは微妙。

やっぱり、「ロッキー」の「エイドリアーン」的な展開は本作で描かれるのですが、ボクシングに大切な緊迫と迫力が全然足りない。近年だと、「あゝ、荒野」のような、菅田将暉とヤン・イクチュンの白熱とした胸がハラハラするようなシーンが欲しくなります。また、「負け犬の美学」のような打たれ強さも欲しいですし、せめて「ボックス」ぐらい欲しいかな。なんか、「ポエトリーエンジェル」ぐらい微妙なボクシングです。

 

③ややご都合主義。

全体的に繋がっているものの、オムニバス形式な恋愛映画です。それぞれの恋愛が描かれていますが、それぞれ成功していて、実はリアリティに欠けてしまったと思います。映画にご都合主義がないといけないし、物語は成立しないですからね。これいったらすべての映画に言えることです。本作の短所を3つ挙げることが中々難しく、3つ目が雑な意見になりました。

 

4.本作の見に来て欲しい人たち!!

①10代女性+三浦春馬ファン!

具体的にはSNSの発信力が強いこと、また映画鑑賞率が年々上昇していることです。

映画鑑賞率とSNSについては下記のサイトで明確なデータとして表れています。(参照:第8回「映画館での映画鑑賞」に関する調査 - 調査結果 - NTTコム リサーチ)

なんと今年の映画館鑑賞におけるデータでは、女性10代における映画館鑑賞率は71.2%となり、初めて70%を超えています。他の各年代でも前回から鑑賞率を伸ばしたが、特に男性では30代、女性では40代で約10ポイント、映画館での鑑賞率を伸ばしています。

また、昨年、異例のヒットとなった「カメラを止めるな!」の口コミ効果を受け、観た映画を口コミで伝える「口コミ発信率」と、口コミを見てから映画を観に行く「口コミ接触率」を性年代別でみると、口コミ発信率は男性よりも女性、特に女性10代で最も高く、知人に伝える「リアル」な口コミ、不特定多数に共有するSNSの口コミ、いずれの割合も高い。一方、口コミ接触率は、男性20代で特に高い結果となっています。

以上のことから、10代の女性への評価が高い=映画観客動員数の上昇に繋がります。口コミ効果を合わせると、映画館で鑑賞率が低いと言われる20代の男性の集客にも繋がります。如何に、若い世代の発信力が絶大であることがわかります。

10代の好きな映画ランキングは、「恋空」が1位、「君に届け」が9位!これは、どちらも三浦春馬が主演です。10代の人気俳優ランキングにおいて、三浦春馬は6位です。三浦春馬は本作にも出演しているため、10代にヒットすることは考えられます。

 

様々なランキングにおいても三浦春馬は高い評価をもっています。

「正直一番かっこいい!20代俳優ランキング」において第3位です。

(参照:[コラム] 正直一番かっこいい!20代俳優ランキング|竹内涼真,福士蒼汰,三浦春馬|他 - gooランキング)

「最も「演技力」が高い20代俳優ランキング」において第5位です。

(参照:[コラム] 最も「演技力」が高い20代俳優ランキング|菅田将暉,神木隆之介,佐藤健|他 - gooランキング

「無精髭顔が見たい!平成生まれの若手俳優ランキング」において第2位です。

(参照:[ランキング] 無精髭顔が見たい!平成生まれの若手俳優ランキング1位から10位|神木隆之介,三浦春馬,福士蒼汰|他 - gooランキング

以上のことが好感度が高く、若い世代への評価も高いことが示されている根拠だと思えます。

他にもSNSの側面では、

三浦春馬Twitterのフォロワー数:12万9825人

三浦春馬Instagramのフォロワー数:89万8055人

三浦春馬「Fight for your heart」Music Videoでは、4,265,486 回視聴、高い評価は5万です。このように、ご本人自身SNSでの影響力が強いですね。

 

②「君に届け」「愛がなんだ」ファン!

君に届け」は、2010年に公開された作品です。東宝配給、主題歌のflumpoolの「君に届け」は紅白でも流れるほど、大ヒットした作品です。少女漫画の実写化ブームとなった時代であるともいえます。

キャッチコピーは「簡単になんて伝えられない。本当に、本当に大切な気持ちだから。」「本当に大切な想いは、ゆっくりと伝えればいい。」です。本作の「アイネクライネナハトムジーク」においても通じるキャッチコピーだと思えます。

君に届け」を鑑賞した世代はおおよそ、20後半から30歳であることが想定できます。つまり、一番映画館で鑑賞する時間とお金がある世代と言われています。この層への評価が高いことで、本作の劇場での収入は確実なものと言えます。

「愛がなんだ」については、予告編でも銘うってますが、「愛がなんだの今泉力哉監督」だからです。映画.comでは、11111人がチェックインしており、Filmarksでは、24143人が見たとしています。

「愛がなんだ」の各種映画サイトでの評価について。

映画.com ☆3.7

Filmarks  ☆3.8

ぴあ映画生活 73点

シネマトゥデイ ☆4.5

Yahoo! ☆3.45点

coco映画レビュー満足度94%

どのサイトにおいても高評価です。この「愛がなんだ」を監督した今泉力哉監督というのは、本作の価値への信頼度が高くなると言えます。

 

③ ペデストリアンデッキが好きな人。

大きな駅とかに設置されている歩行者用の空中回廊のことで、歌や祭りなどイベントが行われていることが多いです。そんな、ペデストリアンデッキが好き、萌えるという人たちがいます。具体的な割合は、いくらネットを使っても割り出せませんが、少なからずとも、いわゆる建物好きという人がいます。

本作では、ペデストリアンデッキが印象的に使われているため、この新しいジャンルと言える、「ペデストリアンデッキファン」というものがあってもいいかもしれません。

 

5.本作の評価

映画.com ☆3.7
Filmarks ☆3.8
ぴあ映画生活 62点
シネマトゥデイ ☆4.7
Yahoo! ☆3.88点
coco映画レビュー満足度88%

「愛がなんだ」と比べても、ほぼ変わらず高評価です。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①各シーンが印象的で、色々と話したくなる、語りたくなる映画。

劇的な出会いが必要か、劇的な出会いに恋しているだけでないのか、自分の幸運に感謝できる相手で良かったなど色々な愛の価値観に関する台詞や単語が散りばめられています。オムニバス要素もあり、そこが本作の魅力の1つで、あの時言った意味はと考えると、男女の目線で全然違った価値があって面白いのです。「ラブストーリーズ コナーの涙」「ラブストーリーズ エリナーの愛情」という映画があります。ニューヨークを舞台に、女には分からない男の気持ちを描いた『コナ―の涙』、男には分からない女の秘めた想いを描いた『エリナ―の愛情』。2作を見ると面白い、男と女の視点が全然違っていい感じに語りたくなる映画です。それが、本作「アイネクライネナハトムジーク」は1本で2つの視点を味わえるからすごい。

 

②「愛がなんだ」の今泉力哉監督ではなく、「アイネクライネナハトムジーク」の今泉力哉監督。

この監督の魅力は【部屋で起こる人間ドラマを演出すること】、【感情を食事を用いて演出すること】において非常に長けていると思えます。部屋をただ映しているだけなのに、愛くるしさや切なさや憤りや希望といった様々な思いにさせてくれます。本作でも、外での演出より部屋での演出に凝っている印象を受けれます。主人公とその恋人の部屋が印象的で、恋人が家を去ってしまったとき、ただの白い皿にただの食パンを齧る主人公が殺風景なうえに寂しさが醸し出ています。その前に、彼女の食事をおいしそうに食べていて、温かい。その反面が出ていて良いシーンなんです。観葉植物に彼女がいつも水やりをしているのに、彼女がいないからなんとなく水やりをする、自炊ができずコンビニ弁当で済ますあたりに、1人だと何もできなくなっている様が哀愁漂って素晴らしかったです。一方の家族団らんでの映像では、ポトフを作っています。母親と娘の思春期特有のいざこざを終えたあとに、ポトフを出す母親。色んなものがごちゃまぜだけど、それが温かくておいしい。不思議と家族はそういう関係性を紡いで長くともにするという裏付けというか、表現力がこの監督の素敵なところなんです。

 

③ 青春映画で活躍した俳優たちが今なお色あせない魅力的な演技!

青春映画で活躍した三浦春馬多部未華子は、大人になっても長所を残していてくれてうれしいです。若い時活躍したけど、今演技やったらだめだね系俳優がいる中、しっかり残って、実績を残したからこそ、本作でも色あせない演技が出来ているからうれしかった。

 

7.まとめ

 今回は具体的にどこまで集客できるのかというポイントで細かく分析したつもりであるが、そんな分析はただの趣味であって、そんなことをしなくてもこの映画の魅力は計り知れないものがあると思います。

映画 記憶にございません! 感想

映画 記憶にございません! 感想と考察について。

 

1.感想について。

三谷幸喜監督に万歳!、万歳!です。私が求めていた喜劇はこんな感じよという思いです。スミス都へ行く「デーヴ」を彷彿させていて面白いのです(実際監督も参考にしています。)三谷幸喜監督は、【政治を皮肉ったつもりもない】と述べています。しかし、本作は総理大臣がまともに政治をするシーンがないのです。舞台挨拶でも、【政治を全くしていないので、政治を知らなくてもみれます】と言っています。これが、まさに現内閣では全く政治をしてないよねっという皮肉が効いていると思えましたね。しっかりしろよ、総理大臣!そんな、メッセージ性が裏に隠されているとも思えます。現内閣や政治に不満がある方(ほとんどの人がそうかも!?)は、本作を見たことですっきりとした爽快感がありますよ。

劇場での笑い声も多く、老若男女問わず、幅広い世代の方たちが見ていましたね。

話は少し変わりますが、喜劇として、エンターテイメント、政治コメディとして十分に面白い作品だということは言えます。しかし、上映されるまでは不安でいっぱいでしたね。三谷幸喜監督作品は面白いのですが、やっぱり映画監督より舞台の方が面白い印象です。特に、「ベッジ・パードン」が最高に面白いです。映画監督として、酷評の嵐にあったこともあります。それは、前作の映画「ギャラクシー街道」では評価はかなり悪かったのです。個人的には笑えて好きですが、長所を挙げることがかなり厳しいです。三谷幸喜監督にはSFは合わないというレッテルが貼られた映画だとも思いましたね。

悪い印象というのは、映画.comでは☆2.1、Filmarksでは☆2.4、coco映画レビューサイトでは、残念という意見が多いと言う結果。「笑い所がなかった」や「劇場で笑い声は聞こえなかった」など、喜劇が悲劇になりました。他の作品、「ステキな金縛り」や「清須会議」や「ザ・マジックアワー」などは☆3.5前後で、満足度も高いのです。

また、興行収入という側面で見ると

・2006年公開「THE 有頂天ホテル」累計60億8000万円
・2008年公開「ザ・マジックアワー」累計39億2000万円
・2011年公開「ステキな金縛り」累計42億8000万円
・2013年公開「清須会議」累計29億6000万円

・2017年公開「ギャラクシー街道」累計10億円とか!?

すごい差ですよね。赤字ですね。きっと全然回収できないのではなかったでしょうか。

それが、なんとなんと!!「記憶にございません!」公開し9月18日までで観客動員80万人、興行収入10億円突破という数字を記録しています。すでに、前作を超えています!

以上のことから、映画的側面、興行的側面において、十分期待ができる作品だと言えます。まぁ、前作の酷評についても記憶にございません!と言える作品だと言えます。

 

2.本作の物語について。

支持率2.3%、歴代最悪のダメ総理。民衆の嫌われ者の彼は、石をぶつけられ記憶喪失に!記憶喪失を知るのは秘書官3人のみのトップシークレット!!記憶を失った男が、捨て身で自らの夢と理想を取り戻す!果たしてその先に待っていたものとは・・・?

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①邦画版「デーヴ」と言って良し!過言ではない、邦画や日本の政治という視点において、新しい政治コメディ映画の誕生!!

映画「デーヴ」物語は?

ボルティモアでパートタイムの職業斡旋所を経営するデーヴ・コーヴィックが、ビル・ミッチェル大統領の影武者として雇われた。 当初は警護が万全ではない場面だけの起用だったが、大統領の急病によりその権力を狙う側近によって傀儡として祭り上げられる。 しかし、大統領として過ごすうちに、自身の良心に従い行動するようになっていくのであった。 という内容です。

脚本のゲイリー・ロス(Gary Ross)はアカデミー脚本賞(1993年)に、ケヴィン・クラインゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)(1993年)に、それぞれノミネートされています。つまり、名作ですよ。

その「デーヴ」を参考にされた本作は、確かに似た雰囲気を感じさせてくれます。しかし、1993年の映画から26年が経っている現代では、ニュアンスや言葉遣い、時代と政治課題が全然違うため、本作は現代版としてしっかりと昇華した上に、日本の政治家らしい要素(結局強行採決、女性軽視、公用車の乱用、国会を休む理由がしょうもないなど)が見事に全面に出されているところに拍手喝采です。

②記憶を失ったことは悲劇!?記憶が失ったことは喜劇!?

記憶を失った設定は、政治のことはまるっきりわからない状態です。つまり、小学生並みの知識なんです。常に不安な状態で、アメリカ大統領は来るし、奥さんや1人息子との関係も劣悪、野党と不倫をしているなど、ひどい状態であることに、記憶を失っている自分が驚くわけです。少し可哀そうな気もします。記憶がないのに、以前の自分はなんともひどいことをしているんだと示されるわけですから。また、民衆も敵なわけで、ちょっと外を歩けばブーイングの嵐なわけです。

しかし、恐るべき存在の官房長官にも堂々と話すことができたり、知らないから思い切った行動に踏み出せるところが、絶妙な喜劇です。悪の権化であった人物が、記憶を失い悪意のない質問に対しても、不信感や托卵でいるのではと周りに絶妙な圧力がかかっているのも面白いとこです。

まぁ、政治をまるっきりわからない状態の彼は、一から勉強しなおします。小学校のときの先生に頼むところから始まります。責任感を背負い、しっかりその問題に向き合う姿勢には、総理変わったなと思えますが、もしそんな舞台裏があったら、大丈夫かこの総理と思わせる二面性において、おもしろい一面でした。

③あくまで、リアリティーを出す部分と、抑える部分の創意工夫!それぞれのキャストに合ったあてがきによる、それぞれの俳優の新しい引き出しが見れる!

三谷幸喜監督の特徴といえば、その役者をイメージしたあてがきをされる点です。今回も、中井貴一とコメディ映画を作る視点から、どういう風に役者を魅せたら面白いのかを考えて作られてます。小池栄子、ディーンフジオカ、田中圭石田ゆり子、吉田羊なども、しっかりとしたキャラクターが出来上がっているのも監督の手腕だと思えます。

またリアルすぎると面白くないという視点において、日本の国旗を出さずライオンの像に置き換えて表現したり、邸宅に置かれているペンギン(私的考えにおいて、皇帝を示している印象です。監督は否定していますけど。)、閣議や国会での論戦ばかりでなく、アメリカ大統領とのゴルフシーンを入れて明暗をつけたりと、非常に見やすい配慮をしてくれています。

 

〇短所

石田ゆり子さん、どんまいです!ただ、可愛いだけで、あんまりコメディエンヌの才能はいまひとつ!!

石田ゆり子は、コメディエンヌとしての自信があることを三谷幸喜監督に伝えていたそうですが、現場では厳しかったようです。実際に映画を見た限り、可愛いだけで、面白くはないんですよね。可愛いから見ていて楽しいのですがね。総理大臣の奥さんとして、内閣の広報部を利用して、テレビショーをやっていることや総理秘書官と不倫していることから、ちょっと世間知らずで、1人で生活できないタイプの奥様感は出ていたのですがね。明らかに、小池栄子にとられていましたね。小池栄子があんなに、コメディセンスのある演技や動きや言葉遣いができるとは思わなかったです。MVPは限りなく、小池栄子と言えます。面白かった。特に、フラメンコを一生懸命に踊るシーンが良かったです。必死さとストレスフルな感じが出ていて好きです。

②もう少し、現政治に触れてもいいんじゃない!?内調が怖いか、三谷幸喜監督。

プロデューサーとも何度も相談しあった結果の本作の映画ですが、やはり政治モノや社会風刺を入れることで、スポンサーの協力も厳しくなるし、企業のイメージダウン、マイナスプロモーションになるリスクが高いことが言えます。そう思うと映画「新聞記者」は攻めている姿勢が好きです。「新聞記者」は中々尖っている作品なわけです。それでも、内調の攻撃があったとか、なかったとか。松坂桃李のイメージは上がった印象ではありましたね。

三谷幸喜監督は、特別「政治批判をやる映画ではない」と主張した上で本作を制作されましたが、もう少し皮肉ったメッセージ性があからさまに出てくるともっと良かった。政治批判をやる映画ではなくていいのです。ただ、映画はもっと自由であっていいと思います。だから、もう少し政治的要素を絡めた方が、より総理大臣の大変さや仕事内容といった面で面白く学べて、笑えることができたのかなと思いました。

③悪かった総理のシーンが足りない。後半にかけてのギャップの印象やメリハリが弱い。

冒頭で総理がどうして嫌われるのかがわかるシーンが出ています。それ以外で悪態が出ているシーンがほとんどないのです。良い総理のイメージで動いているから、悪態の時とのギャップの印象が薄く感じ取られてくるのです。また、後半にかけて、実は記憶が戻っています。スーツも変わるし、一人称も変わっているし、記憶が戻ったことはなんとなく示されています。だから、ラストの展開において、思わぬ結末感がエンターテイメントとして面白いのです。しかし、もっと悪態の強い悪い総理があると、他にもこんなことやってたのかと思える気がして、良い総理のときに笑えると思います。

 

4.本作の見に来て欲しい人たち!!

①やっぱり、三谷幸喜監督ファン!+三谷常連役者人ファン!

三谷幸喜は、

・日本人映画監督の有名ランキング26位

・好きな映画監督ランキング14位 別サイトでは6位

好感が持てる45〜49歳の男性有名人ランキング3位

Twitterフォロワー数7.9万フォロー。Instagramでは11542人です。

2017年に紫綬褒章を受章しています。

紫綬褒章(しじゅほうしょう)は「学術芸術上ノ発明改良創作ニ関シ事績著明ナル者」に授与される。「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」に授与されます。

・映画.comでは、check-in 2436人

・Filmarksでは、3829人のファンがついています。

 

また、三谷幸喜作品には、佐藤浩市が出ています。

佐藤浩市は、

三谷幸喜作品の「常連」俳優といえば?ランキング1位

・好きな三谷幸喜のドラマ・映画ランキング 5位にマジック・アワー

・「佐藤」で思いつく有名人ランキング 2位

・枯れ専大歓喜!最強の「イケおじ俳優」ランキング2位(有効回答者数:1005名(20~30代女性:複数回答))

・現時点で渋さナンバーワンだと思う俳優ランキング8位(有効回答者数:500名(20~40代男女:複数回答))

・芸能界一!かっこいいおしゃれおじさんランキング4位(有効回答者数:500名(20~40代男女:複数回答))

このことから、20代から40代女性はターゲットとなることが言えます。

 

また、本作の主人公中井貴一についても紹介します。

・「育ちがよさそうだ」と思う男性有名人ランキング6位(有効回答者数:500名(男性:250名 女性:250名))

・親の七光りなんて関係ない!二世タレントランキング7位(有効回答者数:500名(20~40代男女:複数回答))

・萌える「スーツ男子」ランキング9位

・2014年上半期ドラマ出演男優好感度ランキング5位

このことから、男女関係なく、人気と信頼があることがわかります。

 

②60代の男女。コアターゲットとして20代の男女。

この年齢層は、政治に最も関心のある年代と言われています。

20代から50代以下の年齢層は政治への関心度が低く、毎年政治への関心は下がっている傾向にあります。また、20代から40代に限っては50%をきっています。

男性の60代は政治への関心は75%、女性の60代は57.7%と言われています。

一方で20代の男性は35.2%です。1992年は49.6%あったのに、10%以上も下がっていることがわかります。20代の女性は26.8%、1992年は28.4%と、大きな変化はないです。

また、20代の年齢層に最も関心があるのは、「お金」「友人関係」「サブカル」「音楽・映像」「自身の将来」「仕事」 です。この年齢層を、本作にどうやって客として入れるかが、この映画の興行を伸ばすポイントと言えます。

20代層には「政治映画」というだけで、固い印象があり見る人は少ないことが考えられます。だからこそ、「全く政治をしていない映画です。」と銘うって番宣をしているわけですね。CM見る限りでも、日本の国旗を出さない工夫、閣議や国会の場面は出しすぎない工夫、このような点で若い層に見やすさを感じさせていることがわかります。

また三谷幸喜という喜劇の表現に長けている監督が作りましたよ!という告知だけで、見てみてもいいかもと思えます。なぜなら、今まで作った作品で硬すぎて、わかりづらいというコメントが少ないですからね。

さらに本作には田中圭がでます。女性へのファンがしっかりと根付いています。「おっさんずラブ効果」です。女子高生に、お父さんにしたいランキングで堂々の1位です。20代層の女性が見に来るきっかけとなってもいいと言えます。本作でもそれなりに活躍されていましたし、見どころは十分にあります。アメリカンポリス風の制服姿もみれ、SP姿も見れるわけですからね。

 

③政治家ですよね!?

やはり、政治家を仕事としている人ならば本作を見に来ないといけませんよね。全然、政治への文句や、日本の政治批判に直接つながる描写はないわけですからね。現政権の安倍内閣総理大臣も見ていただけのであれば、菅官房長官もみないといけませんね。

そして、後々日本の映画界を経済的に潤うようにしていただきたい。韓国の映画業界のようにもっと資金面の援助をしていただけると嬉しいですよね。

 

 

5.本作の評価

映画.com ☆3.7

Filmarks  ☆3.8

coco映画 満足度64%

YAHOO! ☆3.89

Movie Walker ☆4

ぴあ映画生活 ☆3.5 68点

そこそこ、満足しているという評価です。前作と比べれば歴然です。

三谷作品のコメディ映画を好きな客を取り戻したといっていいかもしれません。

またどこの映画館も笑っている客が多かったようです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①なにも考えなくても楽しめるコメディ映画、実はそこには皮肉も隠れている政治映画!

三谷監督の力量によって、小難しい問題には首を突っ込まず、役者を上手く使い、チューリップハットと丸サングラスとつけ髭、特殊メイクの福耳、口が臭い禿げた親友など個性の強い面々が織り成すコメディのため、なにも考えなくても楽しめるコメディ映画。しかし、やんわりと流されてしまうであろう問題も映画で疲れています。身内への利益誘導建設計画、女性軽視発言、国会を私情で休むなど、現代の政治で問題として取り上げられてしまい、全然政治と関係ない印象のものが、よくニュースで流れています。一方で、消費税の引き上げ、生活保護の体制が整っていないなどの面も描かれています。現状への皮肉もちらっと入っている印象をもたせたところは、実は見どころの1つとも言えます。

②政治への勉強にも実はなる!?

記憶を失った総理は、中学生程度の記憶で、まるで政治を知らない人間となります。まっさらすぎて、政治の話がなんなのかわからず、限界を迎えたときに、小学生のときの担任だった先生に政治の勉強を教えてほしいと依頼します。そのため、三権分立から話が始まるため、小学校の教科書レベルで学べるわけです。映画でそこまで詳しくは写されていませんが、パンフレットには詳しく書かれていて面白いです。ぜひパンフレットを買うと、意外と忘れていたこともあって為になりました。

③「七つの会議」をやわらかく、「新聞記者」を小学生向けにした、誰でも見れる映画。

似ている映画と言えませんが、「七つの会議」や「新聞記者」という映画は、サラリーマンや高齢者向けの映画と言えると思います。「日本のいちばん長い日」、「華氏119」とかもですね。限定されているけれど、すごくヒットしている映画作品です。本作も一見硬派な印象を抱く危険性がありますが、小学生でも笑えるコメディです。より本作をヒットさせるためには、子供にも受けないといけませんからね。親子連れで見て、わからないところは補正していただけると良い。そんな流れで宣伝できると面白そうです。

 

7.まとめ

 映画的価値観はちょっと低いです。「スミス都へ行く」や「デーヴ」にはとどかない。やっぱりコメディ映画として優秀ではあるのですが、上記の2作は映画的価値観として面白いんです。このレベルまできてくれると本作をもっと語りたくなるんですがね。語りたくなる映画は絶対映画的価値が高いので。

映画 存在のない子供たち 後世に残すべきたいせつな映画だから語りたい。

映画「存在のない子供たち」感想について。

1.感想について。

本作を見たときは、「救いがなさすぎて辛いなぁ。」と思いました。なぜなら、主人公の少年ゼインの環境がまさに生き地獄なんですね。家賃が払えず、手作りジュースを作り販売してお金を稼ぐも、貧困で困窮とした状態で、毎日ろくな飯も食べられないのです。他の子たちは、毎日スクールバスに乗って学校に通えているのに、お金がないという理由で、勉強を受けられるという当たり前になければいけないものを、正しく受けられない。また、そんな両親もゼインへのあたりが厳しく、子供が寝ている隣で性行為を毎日行われているわけです。育てることができないのに、子供を作ることに疑問と憤怒を覚えてしまいます。この状況下が辛いと思う側面で、怖いなぁと思う点もあるのですね。それは、本作の舞台はレバノンで実際に起きている問題なのですよ。貧困や困窮という環境の問題はその国では常識的な問題なわけです。常識的=当たり前の問題、そんなことが許されていいものではないのに、解決できない国の情勢。色々な社会悪、真の犯罪は「不作為」で、社会そのもの。もう放置をしてはいけない。とこの映画は訴えていると思えます。

ドキュメンタリーでなく、映画フィクションと監督自身の経験談で描いてくれたので、非常に見やすかったです。本作では、自分の誕生日も知らない、年齢すら知らない、出生届が出されておらず、身分証明書すらないという少年ゼインが、両親を訴えるという場面から始まります。序盤から、中々なスキャンダル性をもった映画の始まり方で、驚きとエンタメ性があり、難しい問題も入口が広く、自然と映画の中に入っていける構図のため良かったです。その裁判を通して、明るみになる問題が実際に本作の舞台であるレバノンで起こっている問題なわけで色々考えさせれるのが、面白みであると思えます。

昨年に「世界の果ての通学路」という映画を見てから、世界では大変な子供が多すぎる、ニュースや新聞に載っている情報より、映画というフィルターを通したことで、わかりやすく、そして教育を受けることは義務であり権利であることが強く感じられた映画です。日本では、教育を受けられていることが当たり前になっている印象があって、世界では必死に危険な通学路を通って、夢を叶えようとする奮闘に感動したことを覚えています。そのため、世界で起こっていることを目にする、映画を通して感じることが非常に為になりますし、募金だけでもして、なにかしらの形で力になろうという思考がもてるので、本作は大事にしたいと思います。

 

2.本作の物語について。

わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な“現実”だった。果たしてゼインの未来は―。(ホームページ参照)

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①前代未聞の裁判、新進気鋭のナディーン・ラバキーが挑んだ映画!

主人公の少年は12歳で両親に裁判をかけます。その理由や社会背景や国自体が抱えている大きな問題へと明るみになるのが、本作の面白くて、今までに類を見ない問いかけが隠されています。ゼインにとって両親は憎むべき存在であるはず、裁判では両親が「そうせざるを得ない」事情を訴え、ゼインを追い詰めたのは誰なのか、複雑な問題が浮き彫りになっていく。この流れが絶妙なんですね。

監督の名前はあまり有名ではありません。そんな、ナディーン・ラバキー監督は、「Where Do We Go Now?」という作品で、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映し、トロント国際映画祭観客賞、サンセバスチャン映画祭観客賞を受賞しています。

本作に臨むにあたり、3年間の取材を経て、「貧困」と「移民」を問うた本作は、私たちが見ているニュースの向こうの世界を体験させてくれます。

②少年ゼインの演技力と説得力が強い!

少年ゼインの目がすごい死んでいるのです。まるで、政治の社会で汚い大人を見るような魚の死んだような目をしているのが印象的です。なんと、本作のほとんどの役者たちは素人なんですね。しかも、ゼインくんは、4歳の時にシリアからレバノンに移住し、貧困地域で暮らしていました。両親に愛されていますが栄養不足で、12歳だったんですけど体は7歳児ぐらいで。教育を受け入れられず、デリバリーなどの仕事もしながら家計を支えていました。ストリートで育った彼は強く、聡明で、早く大人にならなければならなかった。そんな彼のパーソナリティをより強調するようなかたちで本作の演出に活かされています。だから、本作のテーマである「貧困」と「移民」を強くしているのです。

③「貧困」や「移民」といテーマにおいて、隠された生命力!

少年ゼインは妹が初潮を迎え、家賃の支払いのため売られてしまう。そんな事態に憤慨しとうとう家出をします。バスに乗ると、スパイダーマンのコスチュームを着た老人がいます。老人はゴキブリマンと名乗ります。老人がバスを降りたあとをついていく、そこには遊園地があります。ここがすごいんです。カラフルな遊園地なのに、楽しみ方が全然わからないので、表情はいたって変わらないのです。観覧車に乗りみせた表情は冷徹で、憂いを帯びています。私的解釈では、ゴキブリマンというのは、生きることのしぶとさを示していると思います。ゴキブリの生命力はすさまじいです。少年ゼインにとっては、生きていても、あのゴキブリマンのようにずっと生活を強いられるという背景を示しているのだと思えます。それでも、生きていくしかないという、生命力を感じましたね。

 

〇短所

1 貧困すぎて見るのがつらい!

いやぁ、見ていて不快な気持ちにもなると思います。それぐらい、子供たちや大人たちの悲惨さがあります。序盤には、適当な処方箋を薬屋へもっていき、薬をもらいます。薬をつぶして、衣類に漬けます。次に、刑務所内で渡して稼ぎます。こんなことを子供にさせるのがなんともまぁ胸糞悪いわけです。家出先で、出会った女性とその子供と一緒に暮らす展開があります。女性は移民のため捕まり、少年ゼインはその子供と一緒に暮らすことになったときにも、偽りの処方箋で薬をもらい、つぶして海水で溶かしたものをペットボトルに入れて売ります。まぁ、見ていて辛いわけですね。

2 救いが無さすぎる

レバノン自体が、100万人の移民が入ってきているわけです。皆が必死に生きています。子供たちは、学校にいけず、出生届も出されずね。移民の刑務所が、詰めるだけ、詰めていて、子供と引き離されるし、子供は売られるし、本当にニュースの先に見えた世界の情勢は救いがなさすぎると痛感する場面が豊富ですね。

③ 幼女を妊娠させるという残虐性!

少年ゼインの両親は、アサドという人物に家を借りています。アサドはアサド政権をもじったのかわかりませんが、そのまま嫌な奴なんです。本人とは関係はないのですが、アサドはロリコンなんです。ゼインの妹をいやらしい目でみて、初潮を迎えると嫁にしたいことを言い始めます。嫁にすれば、家賃はどうにかしてあげるというスタンスなので最悪。そんな、ロリコン野郎が、その後妊娠させてしまい、その影響で死んでしまいます。これは吐き気しましたね。

 

4.本作の見てきて欲しい人たち!!

是枝裕和作品ファン!

根拠としては、万引き家族「誰も知らない」に非常に共通点が豊富なんです。是枝作品ファンは見ると、理解してくれることだと思えます。「貧困」や「家族」というテーマ性や、社会の裏側の様子を映画に出してくる点、終わり方についてもなんとも言えない余韻を残す感じなどなど、確かな共通点がみられています。

ちなみに、「万引き家族」において、COCO映画レビュー満足度93%、映画.comでは☆3.8、Filmarksにおいては、☆4.0です。またコメントでは、「生々しさがある。や、血のつながり云々ではなく、家族だと思えるのなら家族という印象」などのコメントがみられています。「誰も知らない」は、COCO映画レビューで満足度93%、映画.comでは☆3.8、Filmarksでは☆3.8と、比べても同様の評価を得られていることがわかります。

また、是枝裕和監督のTwitterのフォロワーは11万人、映画「万引き家族」のフォロワー8076人です。さらに、ロッテントマト(米レビューサイト)では、99%の満足度。Filmarksでは78551人が観た、映画.comでは、27403人がチェックしています。つまり、こういう方たちが対象として、本作を見ると、本作の深さが広がると思います。

②ナディーン・ラバキー監督ファン!

本作は、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、第71回カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞!しています。

ちなみに、本作の評価は、COCO映画レビュー満足度100%、映画.com☆4.3、Filmarks☆4.3と高評価ですね。

今まで5本の作品を作り上げた監督です。2007年に公開した「キャラメル」は、Filmarksでは☆3.7、見た人は484人です。2011年に公開した「Where Do We Go Now?」では、Filmarksでは☆4.1、見た人は52人となっています。明らかに人数は少ないですが、評価はいたって高く、満足度が高いことがわかります。ましてや、本作の受賞やノミネートされているところから、ナディーン・ラバキー監督は実力の根拠を示していると言えます。

本作もまたレバノンという地で映画は描かれていますが、監督自身はレバノンで生まれ育ち、内線真っただ中を生きていた人物です。だからこそ、本作の映像や台詞に説得力が見られるといえます。

24時間テレビが好きな人たち!

24時間テレビTwitterフォロワー数は15.2万人。Instagramではフォロワー39.7千人です。また、今年の24時間テレビをリアルタイムで視聴した人は日本全国で約8,367万人です。おおよそ嵐のファンだからといった印象を感じますが、募金総額は約6億8千万でしたね。あまり正しい根拠づけではないのですが、こういう方たちが、本作を見ると胸が締め付けられて、関心をより強め、こういう系統の映画が好きな割合が増えると思うのです。

 

5.本作の評価

Filmarks 初日満足度ランキング1位(7月22日調べ)

これ以外何も言うことはないぜって感じです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①ゼインの目に注目して欲しい!

冒頭の裁判では、決意をした目で裁判官に話し、哀れみの目と怒りの目で両親をみます。雇われ先では、やや反抗的な目、妹たちの世話をするときは、優しさと責任感をもった目でみています。この微妙な違い。一貫として、希望のない目をしていますが、それぞれで微妙に違う感じがしました。

②ゼインの叫びの過程に注目して欲しい!

裁判から徐々に、ゼインの生きている環境が映し出されます。家族や社会、学校や労働から明るみになる「貧困」と「移民」。日々の生活から、沸々と煮えたぎる思いを、両親に訴えると、「お前なんかとっととでてけ。」と言われる始末。こんな苦悩をぜひ劇場で見てほしい。

③ゼインの最後に注目して欲しい!

最後に写真を撮るシーンがあり、そこで笑うゼインに感動しました。そのゼインの表情は、少しでも救いとなるシーン、彼自身の生き方を変えることができる瞬間なんだと思えます。

 

7.まとめ

ドキュメンタリーチックでありながら、人間ドラマをしっかり描くあたりが、是枝監督作品が好きな自分としては、ビビッと感じる何かがあったと思います。ナディーン・ラバキー監督をこれからも応援したいと思います。

映画 Once Upon a Time in Hollywood ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 最高なので語りたい。

映画 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 感想、ちょこっと考察。


〇感想をだらだらと述べます。褒めたたえるだけで、否定的な感想はまるでありません。
大満足の100点満点映画です。文句の付け所なしですよ。完全に好みの問題ですが、クエンティン・ジェロームタランティーノ【注:以降、尊敬の意味を込めてタラちゃんと勝手に呼ばせていただく】作品が好きだからこそ、本作は物凄く面白いのです。きっと、タラちゃん好きは、全員が面白いと言える、これは過言ではないです。個人的にタラちゃんシリーズで好きなポイントとして、時代背景のこだわりや、子気味の良い会話の掛け合いや全体をまとめるBGMの良さ、バイオレンスによる壮大な描写、タラちゃん自身の映画愛に溢れていることなど、挙げるとしたら切りがないですが、そういった点が好きなわけです。

本作においても、映画愛やその時代への愛に溢れています。キネマ旬報や、映画秘宝、SCREEN、DVD&動画配信データ、ユリイカ、パンフレットを読むと、面白い点がどんどん増えて、映画を見るたびに面白い発見があります。そのため、早くDVDかBDになって、停止して確認したいことが山盛りですよ。まだ、2回しか見れていない。できれば、今の時点で10回は見ておきたい。そんな思いです。


その2回見た中で、特に本作で良かった点をまとめると9つに絞って挙げたいと思います。

1つ目は「リック・ダルトンとクリフ・ブースの熱い友情!」「レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの夢のような共演!」
レオナルド・ディカプリオ〈演:リック・ダルトン〉【注:以降、愛をこめてレオ様と勝手に呼ばせていただく】とブラッド・ピット〈演:クリフ・ブース〉【注:以降、憧れの意味を込めてブラピと勝手に呼ばせていただく】の共演というだけで、胸が躍るじゃありませんか。この二人は単純にカッコイイし、渋いし、タラちゃん作品にも出ていて、安心感しかない。役柄としては、レオ様は、かつてテレビ西部劇で一世風靡し、今は下り坂気味の元スター俳優です。ブラピは彼のスタントダブルを務め、妻殺しの噂がありつつ、ベトナム戦争で活躍したという過去もあります。

映画の中では、主にブラピが、レオ様をやさしくフォローしているのが印象的です。ユーチューブでも公開されていますが、予告の「男の友情」編を見るとわかるように、信頼関係が絶大ですね。若者風にいうと激萌えポイントといっても過言ではありません。その映像以外にも、レオ様の家のアンテナを直すシーンにおいては、鍛え上げた肉体に惚れ惚れします。ブラピ曰、タラちゃんはCGが大嫌い。そのため、実際にブルース・リーと手合わせするシーンのために、トレーニングをしたということです。俳優として素晴らしい一面に感服です。

特に本作で一緒にレオ様がでる「FBI」を一緒に観るくだりの会話が好きです。家に着いたときレオ様が「これから一緒に俺の出るFBIを見ないか」と言うと、ブラピが「もちろん、そのつもりだ。ビールあるから、ピザでも頼もうぜ」と言って、一緒に見ながら、演技の評価をしあう姿が良いんですよね。実はいらないかもしれないシーンだし、物語上重要じゃないかもしれない。けれど、リック・ダルトンとクリフ・ブースがこの時代に生きていた感覚を見ている側に感じさせるためには、必要なシーンに思えました。

また、最後に飛行機に乗っているシーンで、ブラッディ・マリーを飲むブラピにナレーションが入るのですが、そこに2人の関係性はとれつもなく溢れた感情で繋がっている言葉が入っています。ぜひ、そこは映画を見て感じてほしい「~以上、~以下」という所です。このナレーションに涙流しましたね。こんな関係性は愛しいです。当たり前で当たり前じゃないし。仕事してきた仲間と考えると、友達を超えていると思えます。あまり言うとね、感動が薄れるので、ここまでに抑えますが、何度見ても泣きたくなります。

他にもレオ様はウィスキーサワーをストローで飲む姿、ブラピがブラッディ・マリーを飲みながらセロリを齧るとか、カッコよすぎだろ!ラストにおいて、マルガリータをつくり、ボトルごともって飲む姿も素敵なんです。

色々好きだったシーンを述べましたが、レオ様とブラピを目的として観に行くだけでも十分に価値があります。

余談ですが、実は1960年代当時のハリウッドにおいてはよくあるコンピだそうです。それを言うのも、タラちゃん自身の経験談でもあり、撮影の時に、とある俳優が僕のスタントを使ってくれと言われたことがきっかけで、本作に落とし込めたそうです。

2つ目は「シャロン・テート殺害事件(ハリウッドの闇)を快活に一蹴!」

シャロン・テートは本作における一番重要な人物でキーマンです。この人物を知っている、知っていないでは、この映画に対する評価は分かれます。だからといって、予習した方が良いという意見が多いのも複雑です。なぜなら、映画は予習してみなくてもいいものだからですね。予習すると色んな視点で観れますが、映画好きでない人やたまにしか見ない人にとって、予習した方が良いじゃなくて、自然な気持ちで、〈なんかこの作品みたいかも〉と思って、その人にとって面白いと思えた方が印象的で良くないですか?ハリウッドでは当時で大事件でしたし、その後チャールズ・マンソンの子供も災難な目にあいましたけど、見ている人には関係なくて、その作品が面白いか、つまらないかでしかないのですよ。それでも、タラちゃん好きな私は調べてしまい、その上大満足しているわけですから、映画ってなんか良いものなんですよ。強制しちゃいけないけど、勧めたくなる気持ちがでちゃうんですよ。

有名なシャロン・テート殺害事件。チャールズ・マンソン率いる、マンソンファミリーによって1969年の8月9日に殺害され、赤ちゃんまで殺害されるという無残で悲惨な目にあった女優です。タラちゃんがシャロン・テートという人物は、1969年のツァイトガイスト(時代の精神)だと思うと語ります。確かに、シャロン・テートは1960年代に活躍したその時代をときめく女優でした。哀愁の花びらやサイレンサー第4弾/破壊部隊などに出演され、吸血鬼でロマン・ポランスキーと知り合い結婚しています。つまり幸せの絶頂から転落する事件であった訳です。

本作でャロン・テートを演じるのは、マーゴット・ロビーです。もうキュートで愛しく、ただただその時代をときめく女優を演じてくれています。個人的にマーゴット・ロビーが出演している作品といえば、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」、「スーサイド・スクワッド」ですね。挙げるとしたら定番なんですが、彼女が印象的に色濃く映っていると思えます。

本作では、ドラマパートは全然なく、シャロン・テートが普段過ごしていた日常を写すことが多いです。シャロン・テートが、夫のために「テス」という本を買うこと、映画館で自分が出演しているのを見て、周りの反応を喜ぶ所、パーティーで皆と踊る所などが写ります。それは素敵で、もし生きているうちに見れたら、こんなに楽しそうに生活をしていたのかと思えます。

余談ですが、本人はタラちゃん作品に参加したい思いがあり、上記の「アイ、トーニャ~(以下省略)」を演じたことが自信となり、手紙を送ったそうです。それで本作出演できたとか。

またここで言う、快活な一蹴とは、ネタバレになるとダメですが、「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ繋がれざる者」のような復讐三部作と言える作品なんです。つまり、救いやifの映画でもあるんですね。だからこそ、見ている側は最高の気持ちで劇場を去れるのです。
ぜひ、この快感は映画をみたあとにしか感じられません。DVDまで待つという方は、上記の2作を見ておくと、なんとなくイメージできると思われます。

3つ目は「時代を彩るラジオと選曲の良さ!」
タラちゃん作品はいつもサントラも素晴らしいのです。
本作では、ラジオを聞くシーンが印象的です。実在したロサンゼルスのラジオ局「KHJ(AM930kHz)」通称「ボス・ラジオ」にチューンしています。全体的に曲は良いのですが、特にこの3曲が好きです。
「ブキャナン・ブラザーズ / サン・オブ・ア・ラヴィン・マン」
「ロス・ブラヴォス / ブリング・ア・リトル・ラヴィン」
「ニール・ダイアモンド / ブラザー・ラヴズ・トラベリング・サルヴェイション・ショー」
ドライブしているとき、パーティー会場で踊っているときに流れているのが妙に気持ちよくこの映画に浸ることができます。

また、序盤に流れるRoy Head - Treat Her Right -が、この映画に自然と入り混めるしかけだと思えます。この曲によって、この映画の時代背景を感じさせつつ、観る人へのわくわく感をくれています。

4つ目は「光と闇、栄光と挫折の当て方、そこからの生き方の描き方が最高!」
各シーンにおいて、光と闇という表現を色々な視点で描かれています。もちろん、栄光と挫折、未来と過去、落ちぶれ気味の俳優と新進の女優などなど、あるんです。その人それぞれで悩みや苦悩はありますが、結局隣の芝生は青く見えるものなんです。自分にないものねだりで、人がもっている。だけれど、本当は、レオ様にはブラピという絶対的な信頼関係で築かれ相棒がいて、シャロン・テートにはロマン・ポランスキーがいたわけです。殺害されたことで、この世にいないため栄光はみられなかった。けれど、生きていたって、栄光がみれたかなんてわかるわけではない。本作を観ながら、シャロン・テートに命を与えて、劇場に復活させたタラちゃんの気持ちが全面に伝わりましたよ。ただ、シャロン・テートの悲劇によりハリウッドが震撼させたのではなく、映画で息を吹き返すことで、新しい一面を見せたことに意義があると思えます。

光と闇という表現は色んな映画で表現されやすいですが、タラちゃんは特に時代背景と当時の事件を踏まえた上で、今にはない気持ちにさせてくれたわけです。

本当はこの項目をだらだらと感想を述べたいのですが、ほとんどネタバレになるわけです。知らないで見るのと、知って見るのでは違いがありますが、特に感動を削いでしまうわけでね。

5つ目は「あの子役はなにもの!?可愛くて、大人びた会話についつい見入ってしまう演技力!」

だれもが見て、だれもがあの子役はすごいと思わせたに違いない、すんげぇ子役がいます。その子は、ジュリア・バターズです。役名はトルーディーです。まぁ、可愛いこと、可愛いこと。レオ様曰、「小さなメリル・ストリープだ。」そうです。つまり、未来ある、有望される子役だと言えるわけです。すぐ、ググった方がいい。見ていて損ないです。小さいときの宮崎あおいを見ているのかのような気持ちです。あくまで、個人的な意見ですよ。

本作では、前日にウィスキーサワーを8杯も飲んでしまったレオ様は、よれよれな状態で現場入りします。飲みすぎたときの特有な体調不良の状態で、役柄によってつけられた髭の糊をとるわけにいかず、撮影場所で本を読みにいきます。本は「ウエスタン」な訳で観た人ならわかると思いますが、その本を読むことが彼の思いを示しているんです。いやぁ、そこでレオ様がその本の説明をしているシーンも泣けます。

少しずれましたが、その本を読むときに、ジュリア・バターズに会うわけです。「役名で呼んでくれた方が良い演技をできる気がする。できれば役名で呼んで欲しい」、「昼ごはんを食べると、良い演技ができない気がする。」など中々小生意気な意見が目立つのですが、子役+美少女ということで、黙ってみることができます。おませな子ぐらいな気持ちでね。それでも、レオ様相手に堂々とした演技力、予告にも流れていますが、耳元で囁く彼女の言葉に涙するレオ様。ここも良い関係性なんです。光と闇とも言える場面だと思えます。

6つ目は「ROMA/ローマを彷彿させる映画、これはアカデミー賞受賞決定説!」

とある意見において、「ROMA/ローマ」と似ているというものがあります。
「ROMA/ローマ」とは、アルフォンソ・キュアロン・オロスコが監督が、脚本・制作・編集した力作です。さらに、金獅子賞を獲得!Netflixで配信され、外国語アカデミー賞にて、監督賞・撮影賞・外国語映画賞を受賞しています。これは偉大なことです。映画は劇場で見るものという価値観がなくなり、配信においてもアカデミー賞は認めたという事実。そして、配信という幅をもった映画はより見切れない数に増えるのです。年間1000本は国内で上映していますが、配信があることで劇場での鑑賞は減ります。ましてや、伝統ある賞をNetflixがとってしまったという事実。すごいのが少しでも伝わっとと思います。

ところで、どこが似ているのかというと、「ROMA/ローマ」とはアルフォンソ・キュアロン・オロスコ監督の生きた時代を描いています。まぁ幼少期のときの記憶を鮮明に描いているのです。そこが、本作においてタラちゃんが、感じたハリウッドと育ったときのハリウッドの映像を表現したわけです。どちらの作品も事実を踏まえているため、絶妙なリアリティーを生んでいるんですね。見た私も似ている印象ではありますが、内容は全然別物。「ROMA/ローマ」とは違う、時代の革命を起こしているのが別物ですね。映画愛にともに溢れ、時代愛にともに溢れていますが、エンターテイメントムービーとして、本作はかなり強い。その点を、ぜひアカデミー賞で評価して欲しい!いや、これをアカデミー賞受賞して、映画館で再上映してくれないかなぁという希望ですよ。


7つ目は「安定のレッドアップル!というより煙草吸いたくなる映画って教育上だめじゃん!?」

レッドアップルという煙草は、タラちゃん作品において1つのアイテムなのですね。タラちゃん作品、「パルプ・フィクション」、「キル・ビルVol.1、キル・ビルVol.2」、「ジャンゴ 繋がれざる者」に出ています。日本で言うと、新海誠作品は必ず、前作のキャラクターを出すこと、山田洋次監督も役柄を変えて同じ俳優を出すなどがありますね。そのようなこだわりがある演出は私にとって大好物なわけです。だって、その監督の作品を見直したくなるじゃないですか。出るのか、出ないのか、このわくわく感で違った視点でみれて楽しいんですよ。雑誌やネットの評価ブログを読むとすぐに出てくる内容を自分で一生懸命探すのは、ある意味「インディ・ジョーンズ」の気持ちなわけです。

まぁ、そんなわけで、本作でもレッドアップルの煙草が出るわけです。さらに、エンドロールを見逃さないで欲しい。そこにはいろんなトリビアが隠されているから。ここでいうとほぼネタバレかもしれない。

随所に出てくる煙草のシーンは見ていて楽しいです。まず、序盤に車から吸い殻がたくさん落ちてくるし、なにかあるとまず煙草を吸うシーンがあります。いち喫煙者として、観ていてい気持ちがいい。映画館で煙草が吸えるといいなぁと思ってしまいます。昔はよかったのにね。


8つ目は「わき役なのに、魅力的で、主役級のキャラクターが勢ぞろい!?」

各映画ブログや、雑誌にも出ていますが、アル・パチーノルーク・ペリーダコタ・ファニングティモシー・オリファント、マーガレット・クアリーなどが出演しています。などと言うと失礼ですが、他にも素敵な俳優はそろっています。少し洋画が好きな人は必ず気づくはずでしょう。アル・パチーノだぜ!あのアル・パチーノが出ているだけで、観る価値がものすごくあがりますよ。数ある省を受賞し、彼が素敵だと言える点はまさに無数。リチャード・ギアの上で好きな俳優です。「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」は絶大的な感動に包まれました。何度見てもいい所しかない。盲目で紳士的で、ジャックダニエルを飲む姿に憧れ、必ずbarではジャックダニエルを飲んでしまう始末、彼は最高の俳優です。個人的感情がむき出しでしたね。ルーク・ペリーも好きなんです。しかし、脳卒中で他界とか、涙が。涙の波が。という感じで、好きな俳優しかいないのも見どころですね。


9つ目は「本作で監督業引退!?今までの作品の集大成とタラちゃん自身も語る出来!」

タラちゃんは10作で映画を終えると公言しています。それでも、自然と出来上がった脚本を関係者に読んでもらうと、今までの集大成じゃないかと言われ、タラちゃん自身も集大成に感じたそうです。10作で終えると公言したのは、ピタッと作る目的を終えて、違うことで映画製作にのめりこみたいという気持ちなんですね。志が高いうえに、映画の完成度が高いのも彼の、精神論、向上心によるものだと言えます。引退してほしくないけど、この熱量を維持して、10作目を作って欲しいです。そしてみたい。

 


以上ですね。本当は100個ぐらい挙げたいところですがね。本作が9作目なので、なんとなく9つだけに絞りました。見た人はきっと切りがないぐらいから、この映画愛を語りたくなりますよ。実際barで知らない人とずっと映画を語っていた私はそう思います。実体験を通して、好きな映画はずっと語れるものなのです。

映画 ダンスウィズミー 感想

映画 ダンスウィズミー 感想と考察について。

 

1.感想について。

 好きですね。大満足ですね。文句の付け所のない、しっかりとした映画ですね。

近年だと、「アナと世界の終わり」のように、ミュージカル映画にややB級的要素を詰めながらも、従来のミュージカルの定番を忘れずに、エンターテイメントとして楽しめるものが増えてきて嬉しいです。

というのも、ミュージカル映画はかなり好きで、ジャック・ドゥミ監督(代表作:シェルブールの雨傘)やフレッド・アステアミュージカル映画全盛期の俳優)が好きでね。近年だと、ジュリーと恋と靴工場が好きなんですね。

まぁ、ミュージカル映画の最高峰は「雨に歌えば」なんです。音楽映画は「ブルース・ブラザースなんです。語りたいけど、本作を語るまで長くなるのげ省きます。

本作の感想に戻ると、ミュージカル映画の不自然さ】をしっかりと焦点にあてているところが最高ですね。思っているミュージカルシーンは結果1人舞台で、気づくと周りに不審者扱いされているところが上手く描けています。つまり、緩急が効いていて見飽きない。また、ミュージカル+ロード・ムービーとなっているため、主人公のこれからの生き方や成長という点に親和性があり、観ている人たちは、ハッピーに人生を楽しもうと思えます。

 これからもっと思いのたけを語ります。

 

2.本作の物語について。

「突然歌って踊りだすなんてやばくない?」をテーマにした、ミュージカルコメディ映画です。ある時、鈴木静香(演・三吉彩花)が姪と一緒に訪れた遊園地にて、催眠術師に《ミュージカルスターの催眠術》をかけられてしまう。音楽を聴いてしまうと、踊りだしてしまう体質となり、恋も仕事も失ってしまうという、ハチャメチャなムービー。催眠術師を見つけて、元の身体に戻れるのか?

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①突然歌いだす不思議な呪い、それがミュージカル映画

ミュージカル映画が不快と感じる人たち、ミュージカル映画を受けいられない人たちには本作を観ると、共感を得ること間違いない。嫌いな人の意見において、「ミュージカルが入るから感情移入できない」とあります。まさに、その通りを示した映画だから面白いのです。主役=不審者がコンセプトにもあり、シンプルにミュージカル映画をディスっているから、笑えます。きっかけも催眠によって、音楽を聴くと踊ってしまうという理由のため、静かな場所を求める様子も笑えます。また、東京ってどこでも音楽が鳴っているイメージなので、静かなところってないだろと思えます。従来のミュージカルの呪いに翻弄される様が見事に面白いポイントになります。

 

ミュージカル映画+ロード・ムービーとして類を見ない緩急の使い分け。

ミュージカル映画でワンシーンで終えると、自然な流れで会話が始まります。だから、観ている側は次いつミュージカル始まるのかなという思いになります。しかし、本作はミュージカルをして周りに迷惑をかけるため、思っていたより、テーブルクロスを綺麗に引けてないし、会社もあんなに散らかしているとは思わないんですよね。冷静に振り返ると恥ずかしいことばかりなんです。映画の中では、スマホで録画されてニュースとして取り上げられるあたりは現代社会を反映している一部だと思えて、シリアスな笑いもちりばめられています。

ミュージカル映画は最後すっきりとした爽快感に伴い、自分らしさを取り戻す、または自分の生き方を決める前向きな形で終えることが多いものです。だからこそ、私は大好きなんです。

本作では、東京のキャリアウーマンとして、順調な生活をし、高層マンションに住み、かっこいい先輩への恋も発展できそうな状態。だれもが羨ましいと感じる環境にあります。しかし、その生活に対しても無理をしている訳です。女友達同士では、食事や女性らしさに気を使い、その反面で家では暴飲暴食のような背景が描かれています。ミュージカル催眠によって、職場にいられない環境に陥ることで転機となります。そう、「自分らしさ」を取り戻すのです。幼少期に、歌も上手、バレエも上手だった彼女はミュージカルが好きなのです。催眠術師を探す中で、「自分がなにをしたいのか」、「どんな自分が好きなのか」を考えていく背景があり、観ている人へのエールでもあると思えます。

 

③失うもの、頼れるものはどんどん減らすことで、生きる難しさ、生きるためのアイデアが含まれている物語。

矢口監督作品では、主人公たちが得たものを減らす傾向にあります。近い作品だと、「サバイバル・ファミリー」です。電気がない、スマホがない、交通手段がないという様な感じです。物語における序盤で、生活に活きるツールを減らすことで、映画的アクションを増やすという考えだそうです。

本作でも、ミュージカルに翻弄され、会社にいれない居たたまれない状況に陥り、ミュージカルのせいで、多額の金銭を失う、催眠術師を見つけるために、スマホを失う。などなど、本作でもどんどん生活におけるツールが減ります。だからこそ、ハングリー精神・たくましい生き方をしていくのが快活です。また、劇中の中で、バディとなるフリーターの千絵(演:やしろ優)が主人公と対比されていて、猪突猛進で、好きな物は好きと動いてしまう直感型だから振り回される様が面白いです。主人公は堅実で、石橋を叩いて渡るタイプ。それが、直感型で生きるタイプに憧れるわけです。そのため、生き方が少しづつ変わる様子が楽しいです。

 

〇短所

①公開時期に難あり!

 これは、正確には短所とは言えませんよね。本作をもっと、色んな人にみてもらいたい気持ちが強くて、公開時期は間違っている印象に思えたのです。この時期に、「ライオン・キング」、「天気の子」、「トイ・ストーリー4」、「ONE PIECE STAMPEDE」

ワイルド・スピード スーパーコンボ」が並んでいるんです。そりゃ、矢口監督という肩書があっても勝てる根拠にはならないのです。ましてや、翌週には、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」、「ロケットマン」が控え、さらに翌々週には「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 」、「引っ越し大名!」です。

いくらなんでも週間ランキング入っても10位程度かなと思えます。悔しいなぁ、もっと知って、もっと語れる映画なんだよなぁ。

 

②往年のミュージカル映画としては超えられない壁がある。

あくまで「ひと癖あるミュージカル映画」なわけで、ミュージカル映画として最高と言える作品ではないのです。ミュージカル好きであれば、やっぱり王道の「ラ・ラ・ランド」や「雨に唄えば」のような展開が好きなんですよ。邪道な作品、B級作品には超えられない無数の壁があると、本作を観て実感しました。

観方の違いなんです。どんな気持ちで、どんな予想で観るかで、映画の評価は100点にもなれば10点にもなると思えます。

だから、本作をミュージカル映画としてでなく、コメディ映画としての捉え方だと、すごく良い作品だと思えるのです。

 

③日本ミュージカル映画としては、三池監督以上、周防監督以下!

 日本ミュージカル映画といえば、2010年代では、周防監督の「舞子はレディ」や「愛と誠」、「クソ野郎と美しき世界」ですね。三池作品と比較してはいけませんが、「愛と誠」のミュージカルと比較すると、ものすごく良作に思えます。三池監督は、ミュージカル映画が嫌いなのかというぐらい微妙な全体的な仕上がりでしたからね。一方で、周防監督は、「マイ・フェァ・レディ」に引っ張られすぎ!と思いましたが、ミュージカルには文句なしの出来でしたからね。そう考えると、三池監督<矢口監督<周防監督って感じが、本作を通して感じられました。

 

4.本作の見に来て欲しい人たち!!

ミュージカル映画ファン!

20代から30代の女性。60代の女性。

【調査方法】GEM Partners実施のインターネットアンケート
【調査対象】全国に住む15~69歳の男女
【調査実施日】2018年1月20日(土)~1月21日(日)
【回答者数】10,094人(うち映画劇場鑑賞者※3,199人分)

上記によると、映画ジャンル別で好きランキングには「4位」です。1位「アクション」、2位「SF」、3位「ファンタジー」、4位「ミュージカル」、5位「ホラー」となります。この影響を分析するには、やはり「ラ・ラ・ランド」、「グレイテスト・ショーマン」、「美女と野獣」、「アナと雪の女王」における効果ですかね。

ラ・ラ・ランドは、2017年度に公開され、興行収入のランキング10位。44.2億。映画レビュー満足度は80%。

美女と野獣は、2017年度に公開され、興行収入ランキング1位。124億。さらに、歴代の興行収入ランキングでは、19位。昨年度のボヘミアンラプソディは18位だと、考えると、日本にディズニー実写とミュージカル映画の受けが良いことが認識されたと言えます。映画レビュー満足度は80.4%。

グレイテスト・ショーマンは、2018年に公開され、興行収入のランキングは7位。52.2億。映画レビュー満足度は84%。

アナと雪の女王は、2014年に公開され、興行収入はのランキング1位。254.8億。映画レビュー満足度は87%。

どの映画も、日本人が多く見ている根拠になります。ミュージカル嫌い=日本人という印象はもう古く、ミュージカルが好きな人は多いと認識を変えていく必要がありますね。

映画の傾向に戻りますが、「とても好き」という項目は、2016年と比べると徐々に上昇していることがわかります。また、その項目における人の年齢の割合20代から30代の女性です。60代からの人気もあります。ここがメイン層で、来場してくれそうだと考えます。この年齢層は、お金があり、映画館に来る割合としても最も多いと言えます。

 以上のことから、日本にミュージカル映画が根付いてきていることを考えられます。

 

矢口史靖ファン&三吉彩花ファン

矢口監督の映画は、2002年「ウォーター・ボーイズ」日本アカデミー賞監督賞と脚本賞にノミネート、2005年「スウィングガールズ日本アカデミー賞伽本省受賞という経歴があります。映画好きとしては、観たいであろうと思えます。しかし、監督ランキングあまり良いという感じではなさそうです。

一方で、三吉彩花は2010年から2017年までseventeenの専属モデルを経験しています。2019年に開催された「TGC TOYAMA 2019 by TOKYO GIRLS COLLECTION」で、トップバッターとしてランウェイされています。Instagramでは82万人います。若い女性層からの人気も得ていることが考えられます。

 

③音楽としての価値観(歌謡曲ファン)

 歌謡曲がこの映画にたくさん使用されています。既存の歌謡曲のため、1970年代のものが多め。つまり、1970年代、今だと60から70歳の人は、聞いたことがある人、関心を寄せる人がいると思えます。一見の価値があると覆えます。

山本リンダ『ねらいうち』、キャンディーズ『年下の男の子』、サディスティック・ミカ・バンド『タイムマシンにおねがい』などが本作で流れます。

 

5.本作の評価

映画.com ☆3.4

Filmarks  ☆3.4

Yahoo! ☆3.3

ぴあ映画生活 66点

COCO 満足度81% ツイートポジティブ指数96%

各サイトでも、そこそこ普通、または少し良いという評価だと思えます。

COCOでは、満足度が高くてうれしいですね。

コメントとしては、「カール・ミーツ・ガールとして楽しめた。」、「曲のチョイスが良い」です。マイナス的なコメント「年配の方向け」、「まぁ楽しめる程度」とかです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①笑いと爽快感に包まれたミュージカル+ロード・ムービー。そこから、自分らしい生き方をきっと見つけることができるエンターテイメントムービー。

勧めたいポイントではありますが、長所で語ったことがすべてなんですよ。

生きにくい社会と言われている中、都心で働くことがすべてじゃないし、自由な生き方ってきっとあるんです。自分らしさ、本当に自分がしたいこと、それがわかるのは、ミュージカルとロード・ムービーの鉄板といえる長所です。

静香と千絵の、噛み合わない関係性、ミュージカル催眠で精いっぱいであるのに、千絵の無鉄砲さに振り回される中で、千絵に強く当たってしまうシーンがあります。そこには、自分に素直になれない、何にも振り回されず自分らしく生きたい側面を強めていると思えます。

 

②ミュージカルなんて馬鹿馬鹿しい。けど、踊って歌うってなんか楽しい!

本作の見どころはなっていっても、ミュージカルであることは間違いないです。

曲が流れると勝手に身体が動き出す様、それを抑え込もうとする姿から、徐々に動き出すので、他のミュージカル映画よりすっとその場面に入り混めます。

踊って、歌う楽しさは、ラストのエンドロールでより強く感じられます。ぜひ、最後のエンドロールまで観てほしいです。

 

③昭和の音楽って、今聞くと新曲じゃね!?神曲の連続!

謡曲って聞くといいんですよね。親が歌謡曲好きだから、本作では聞いたことがある曲たくさんありましたね。こういうことって大事で、その時代に流行っていたものに触れることは、新しい価値観をもたせ、その時代背景を深める効果があります。映画を楽しめる要素ですよ。歌謡曲関連の映画は他にもあります。「ザ・スパイダースの大進撃」、「歌謡曲だよ、人生は」などね。

謡曲を知らない世代としては、新鮮味があって、逆に神曲じゃねという錯覚もまた楽しいです。外国の方にも、日本の曲を知る機会となれる映画だと言えますね。

 

7.まとめ

どんどん日本もミュージカル映画を作って欲しい、それだけです。