映画 存在のない子供たち 後世に残すべきたいせつな映画だから語りたい。

映画「存在のない子供たち」感想について。

1.感想について。

本作を見たときは、「救いがなさすぎて辛いなぁ。」と思いました。なぜなら、主人公の少年ゼインの環境がまさに生き地獄なんですね。家賃が払えず、手作りジュースを作り販売してお金を稼ぐも、貧困で困窮とした状態で、毎日ろくな飯も食べられないのです。他の子たちは、毎日スクールバスに乗って学校に通えているのに、お金がないという理由で、勉強を受けられるという当たり前になければいけないものを、正しく受けられない。また、そんな両親もゼインへのあたりが厳しく、子供が寝ている隣で性行為を毎日行われているわけです。育てることができないのに、子供を作ることに疑問と憤怒を覚えてしまいます。この状況下が辛いと思う側面で、怖いなぁと思う点もあるのですね。それは、本作の舞台はレバノンで実際に起きている問題なのですよ。貧困や困窮という環境の問題はその国では常識的な問題なわけです。常識的=当たり前の問題、そんなことが許されていいものではないのに、解決できない国の情勢。色々な社会悪、真の犯罪は「不作為」で、社会そのもの。もう放置をしてはいけない。とこの映画は訴えていると思えます。

ドキュメンタリーでなく、映画フィクションと監督自身の経験談で描いてくれたので、非常に見やすかったです。本作では、自分の誕生日も知らない、年齢すら知らない、出生届が出されておらず、身分証明書すらないという少年ゼインが、両親を訴えるという場面から始まります。序盤から、中々なスキャンダル性をもった映画の始まり方で、驚きとエンタメ性があり、難しい問題も入口が広く、自然と映画の中に入っていける構図のため良かったです。その裁判を通して、明るみになる問題が実際に本作の舞台であるレバノンで起こっている問題なわけで色々考えさせれるのが、面白みであると思えます。

昨年に「世界の果ての通学路」という映画を見てから、世界では大変な子供が多すぎる、ニュースや新聞に載っている情報より、映画というフィルターを通したことで、わかりやすく、そして教育を受けることは義務であり権利であることが強く感じられた映画です。日本では、教育を受けられていることが当たり前になっている印象があって、世界では必死に危険な通学路を通って、夢を叶えようとする奮闘に感動したことを覚えています。そのため、世界で起こっていることを目にする、映画を通して感じることが非常に為になりますし、募金だけでもして、なにかしらの形で力になろうという思考がもてるので、本作は大事にしたいと思います。

 

2.本作の物語について。

わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な“現実”だった。果たしてゼインの未来は―。(ホームページ参照)

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①前代未聞の裁判、新進気鋭のナディーン・ラバキーが挑んだ映画!

主人公の少年は12歳で両親に裁判をかけます。その理由や社会背景や国自体が抱えている大きな問題へと明るみになるのが、本作の面白くて、今までに類を見ない問いかけが隠されています。ゼインにとって両親は憎むべき存在であるはず、裁判では両親が「そうせざるを得ない」事情を訴え、ゼインを追い詰めたのは誰なのか、複雑な問題が浮き彫りになっていく。この流れが絶妙なんですね。

監督の名前はあまり有名ではありません。そんな、ナディーン・ラバキー監督は、「Where Do We Go Now?」という作品で、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映し、トロント国際映画祭観客賞、サンセバスチャン映画祭観客賞を受賞しています。

本作に臨むにあたり、3年間の取材を経て、「貧困」と「移民」を問うた本作は、私たちが見ているニュースの向こうの世界を体験させてくれます。

②少年ゼインの演技力と説得力が強い!

少年ゼインの目がすごい死んでいるのです。まるで、政治の社会で汚い大人を見るような魚の死んだような目をしているのが印象的です。なんと、本作のほとんどの役者たちは素人なんですね。しかも、ゼインくんは、4歳の時にシリアからレバノンに移住し、貧困地域で暮らしていました。両親に愛されていますが栄養不足で、12歳だったんですけど体は7歳児ぐらいで。教育を受け入れられず、デリバリーなどの仕事もしながら家計を支えていました。ストリートで育った彼は強く、聡明で、早く大人にならなければならなかった。そんな彼のパーソナリティをより強調するようなかたちで本作の演出に活かされています。だから、本作のテーマである「貧困」と「移民」を強くしているのです。

③「貧困」や「移民」といテーマにおいて、隠された生命力!

少年ゼインは妹が初潮を迎え、家賃の支払いのため売られてしまう。そんな事態に憤慨しとうとう家出をします。バスに乗ると、スパイダーマンのコスチュームを着た老人がいます。老人はゴキブリマンと名乗ります。老人がバスを降りたあとをついていく、そこには遊園地があります。ここがすごいんです。カラフルな遊園地なのに、楽しみ方が全然わからないので、表情はいたって変わらないのです。観覧車に乗りみせた表情は冷徹で、憂いを帯びています。私的解釈では、ゴキブリマンというのは、生きることのしぶとさを示していると思います。ゴキブリの生命力はすさまじいです。少年ゼインにとっては、生きていても、あのゴキブリマンのようにずっと生活を強いられるという背景を示しているのだと思えます。それでも、生きていくしかないという、生命力を感じましたね。

 

〇短所

1 貧困すぎて見るのがつらい!

いやぁ、見ていて不快な気持ちにもなると思います。それぐらい、子供たちや大人たちの悲惨さがあります。序盤には、適当な処方箋を薬屋へもっていき、薬をもらいます。薬をつぶして、衣類に漬けます。次に、刑務所内で渡して稼ぎます。こんなことを子供にさせるのがなんともまぁ胸糞悪いわけです。家出先で、出会った女性とその子供と一緒に暮らす展開があります。女性は移民のため捕まり、少年ゼインはその子供と一緒に暮らすことになったときにも、偽りの処方箋で薬をもらい、つぶして海水で溶かしたものをペットボトルに入れて売ります。まぁ、見ていて辛いわけですね。

2 救いが無さすぎる

レバノン自体が、100万人の移民が入ってきているわけです。皆が必死に生きています。子供たちは、学校にいけず、出生届も出されずね。移民の刑務所が、詰めるだけ、詰めていて、子供と引き離されるし、子供は売られるし、本当にニュースの先に見えた世界の情勢は救いがなさすぎると痛感する場面が豊富ですね。

③ 幼女を妊娠させるという残虐性!

少年ゼインの両親は、アサドという人物に家を借りています。アサドはアサド政権をもじったのかわかりませんが、そのまま嫌な奴なんです。本人とは関係はないのですが、アサドはロリコンなんです。ゼインの妹をいやらしい目でみて、初潮を迎えると嫁にしたいことを言い始めます。嫁にすれば、家賃はどうにかしてあげるというスタンスなので最悪。そんな、ロリコン野郎が、その後妊娠させてしまい、その影響で死んでしまいます。これは吐き気しましたね。

 

4.本作の見てきて欲しい人たち!!

是枝裕和作品ファン!

根拠としては、万引き家族「誰も知らない」に非常に共通点が豊富なんです。是枝作品ファンは見ると、理解してくれることだと思えます。「貧困」や「家族」というテーマ性や、社会の裏側の様子を映画に出してくる点、終わり方についてもなんとも言えない余韻を残す感じなどなど、確かな共通点がみられています。

ちなみに、「万引き家族」において、COCO映画レビュー満足度93%、映画.comでは☆3.8、Filmarksにおいては、☆4.0です。またコメントでは、「生々しさがある。や、血のつながり云々ではなく、家族だと思えるのなら家族という印象」などのコメントがみられています。「誰も知らない」は、COCO映画レビューで満足度93%、映画.comでは☆3.8、Filmarksでは☆3.8と、比べても同様の評価を得られていることがわかります。

また、是枝裕和監督のTwitterのフォロワーは11万人、映画「万引き家族」のフォロワー8076人です。さらに、ロッテントマト(米レビューサイト)では、99%の満足度。Filmarksでは78551人が観た、映画.comでは、27403人がチェックしています。つまり、こういう方たちが対象として、本作を見ると、本作の深さが広がると思います。

②ナディーン・ラバキー監督ファン!

本作は、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、第71回カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞!しています。

ちなみに、本作の評価は、COCO映画レビュー満足度100%、映画.com☆4.3、Filmarks☆4.3と高評価ですね。

今まで5本の作品を作り上げた監督です。2007年に公開した「キャラメル」は、Filmarksでは☆3.7、見た人は484人です。2011年に公開した「Where Do We Go Now?」では、Filmarksでは☆4.1、見た人は52人となっています。明らかに人数は少ないですが、評価はいたって高く、満足度が高いことがわかります。ましてや、本作の受賞やノミネートされているところから、ナディーン・ラバキー監督は実力の根拠を示していると言えます。

本作もまたレバノンという地で映画は描かれていますが、監督自身はレバノンで生まれ育ち、内線真っただ中を生きていた人物です。だからこそ、本作の映像や台詞に説得力が見られるといえます。

24時間テレビが好きな人たち!

24時間テレビTwitterフォロワー数は15.2万人。Instagramではフォロワー39.7千人です。また、今年の24時間テレビをリアルタイムで視聴した人は日本全国で約8,367万人です。おおよそ嵐のファンだからといった印象を感じますが、募金総額は約6億8千万でしたね。あまり正しい根拠づけではないのですが、こういう方たちが、本作を見ると胸が締め付けられて、関心をより強め、こういう系統の映画が好きな割合が増えると思うのです。

 

5.本作の評価

Filmarks 初日満足度ランキング1位(7月22日調べ)

これ以外何も言うことはないぜって感じです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①ゼインの目に注目して欲しい!

冒頭の裁判では、決意をした目で裁判官に話し、哀れみの目と怒りの目で両親をみます。雇われ先では、やや反抗的な目、妹たちの世話をするときは、優しさと責任感をもった目でみています。この微妙な違い。一貫として、希望のない目をしていますが、それぞれで微妙に違う感じがしました。

②ゼインの叫びの過程に注目して欲しい!

裁判から徐々に、ゼインの生きている環境が映し出されます。家族や社会、学校や労働から明るみになる「貧困」と「移民」。日々の生活から、沸々と煮えたぎる思いを、両親に訴えると、「お前なんかとっととでてけ。」と言われる始末。こんな苦悩をぜひ劇場で見てほしい。

③ゼインの最後に注目して欲しい!

最後に写真を撮るシーンがあり、そこで笑うゼインに感動しました。そのゼインの表情は、少しでも救いとなるシーン、彼自身の生き方を変えることができる瞬間なんだと思えます。

 

7.まとめ

ドキュメンタリーチックでありながら、人間ドラマをしっかり描くあたりが、是枝監督作品が好きな自分としては、ビビッと感じる何かがあったと思います。ナディーン・ラバキー監督をこれからも応援したいと思います。

映画 Once Upon a Time in Hollywood ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 最高なので語りたい。

映画 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 感想、ちょこっと考察。


〇感想をだらだらと述べます。褒めたたえるだけで、否定的な感想はまるでありません。
大満足の100点満点映画です。文句の付け所なしですよ。完全に好みの問題ですが、クエンティン・ジェロームタランティーノ【注:以降、尊敬の意味を込めてタラちゃんと勝手に呼ばせていただく】作品が好きだからこそ、本作は物凄く面白いのです。きっと、タラちゃん好きは、全員が面白いと言える、これは過言ではないです。個人的にタラちゃんシリーズで好きなポイントとして、時代背景のこだわりや、子気味の良い会話の掛け合いや全体をまとめるBGMの良さ、バイオレンスによる壮大な描写、タラちゃん自身の映画愛に溢れていることなど、挙げるとしたら切りがないですが、そういった点が好きなわけです。

本作においても、映画愛やその時代への愛に溢れています。キネマ旬報や、映画秘宝、SCREEN、DVD&動画配信データ、ユリイカ、パンフレットを読むと、面白い点がどんどん増えて、映画を見るたびに面白い発見があります。そのため、早くDVDかBDになって、停止して確認したいことが山盛りですよ。まだ、2回しか見れていない。できれば、今の時点で10回は見ておきたい。そんな思いです。


その2回見た中で、特に本作で良かった点をまとめると9つに絞って挙げたいと思います。

1つ目は「リック・ダルトンとクリフ・ブースの熱い友情!」「レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの夢のような共演!」
レオナルド・ディカプリオ〈演:リック・ダルトン〉【注:以降、愛をこめてレオ様と勝手に呼ばせていただく】とブラッド・ピット〈演:クリフ・ブース〉【注:以降、憧れの意味を込めてブラピと勝手に呼ばせていただく】の共演というだけで、胸が躍るじゃありませんか。この二人は単純にカッコイイし、渋いし、タラちゃん作品にも出ていて、安心感しかない。役柄としては、レオ様は、かつてテレビ西部劇で一世風靡し、今は下り坂気味の元スター俳優です。ブラピは彼のスタントダブルを務め、妻殺しの噂がありつつ、ベトナム戦争で活躍したという過去もあります。

映画の中では、主にブラピが、レオ様をやさしくフォローしているのが印象的です。ユーチューブでも公開されていますが、予告の「男の友情」編を見るとわかるように、信頼関係が絶大ですね。若者風にいうと激萌えポイントといっても過言ではありません。その映像以外にも、レオ様の家のアンテナを直すシーンにおいては、鍛え上げた肉体に惚れ惚れします。ブラピ曰、タラちゃんはCGが大嫌い。そのため、実際にブルース・リーと手合わせするシーンのために、トレーニングをしたということです。俳優として素晴らしい一面に感服です。

特に本作で一緒にレオ様がでる「FBI」を一緒に観るくだりの会話が好きです。家に着いたときレオ様が「これから一緒に俺の出るFBIを見ないか」と言うと、ブラピが「もちろん、そのつもりだ。ビールあるから、ピザでも頼もうぜ」と言って、一緒に見ながら、演技の評価をしあう姿が良いんですよね。実はいらないかもしれないシーンだし、物語上重要じゃないかもしれない。けれど、リック・ダルトンとクリフ・ブースがこの時代に生きていた感覚を見ている側に感じさせるためには、必要なシーンに思えました。

また、最後に飛行機に乗っているシーンで、ブラッディ・マリーを飲むブラピにナレーションが入るのですが、そこに2人の関係性はとれつもなく溢れた感情で繋がっている言葉が入っています。ぜひ、そこは映画を見て感じてほしい「~以上、~以下」という所です。このナレーションに涙流しましたね。こんな関係性は愛しいです。当たり前で当たり前じゃないし。仕事してきた仲間と考えると、友達を超えていると思えます。あまり言うとね、感動が薄れるので、ここまでに抑えますが、何度見ても泣きたくなります。

他にもレオ様はウィスキーサワーをストローで飲む姿、ブラピがブラッディ・マリーを飲みながらセロリを齧るとか、カッコよすぎだろ!ラストにおいて、マルガリータをつくり、ボトルごともって飲む姿も素敵なんです。

色々好きだったシーンを述べましたが、レオ様とブラピを目的として観に行くだけでも十分に価値があります。

余談ですが、実は1960年代当時のハリウッドにおいてはよくあるコンピだそうです。それを言うのも、タラちゃん自身の経験談でもあり、撮影の時に、とある俳優が僕のスタントを使ってくれと言われたことがきっかけで、本作に落とし込めたそうです。

2つ目は「シャロン・テート殺害事件(ハリウッドの闇)を快活に一蹴!」

シャロン・テートは本作における一番重要な人物でキーマンです。この人物を知っている、知っていないでは、この映画に対する評価は分かれます。だからといって、予習した方が良いという意見が多いのも複雑です。なぜなら、映画は予習してみなくてもいいものだからですね。予習すると色んな視点で観れますが、映画好きでない人やたまにしか見ない人にとって、予習した方が良いじゃなくて、自然な気持ちで、〈なんかこの作品みたいかも〉と思って、その人にとって面白いと思えた方が印象的で良くないですか?ハリウッドでは当時で大事件でしたし、その後チャールズ・マンソンの子供も災難な目にあいましたけど、見ている人には関係なくて、その作品が面白いか、つまらないかでしかないのですよ。それでも、タラちゃん好きな私は調べてしまい、その上大満足しているわけですから、映画ってなんか良いものなんですよ。強制しちゃいけないけど、勧めたくなる気持ちがでちゃうんですよ。

有名なシャロン・テート殺害事件。チャールズ・マンソン率いる、マンソンファミリーによって1969年の8月9日に殺害され、赤ちゃんまで殺害されるという無残で悲惨な目にあった女優です。タラちゃんがシャロン・テートという人物は、1969年のツァイトガイスト(時代の精神)だと思うと語ります。確かに、シャロン・テートは1960年代に活躍したその時代をときめく女優でした。哀愁の花びらやサイレンサー第4弾/破壊部隊などに出演され、吸血鬼でロマン・ポランスキーと知り合い結婚しています。つまり幸せの絶頂から転落する事件であった訳です。

本作でャロン・テートを演じるのは、マーゴット・ロビーです。もうキュートで愛しく、ただただその時代をときめく女優を演じてくれています。個人的にマーゴット・ロビーが出演している作品といえば、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」、「スーサイド・スクワッド」ですね。挙げるとしたら定番なんですが、彼女が印象的に色濃く映っていると思えます。

本作では、ドラマパートは全然なく、シャロン・テートが普段過ごしていた日常を写すことが多いです。シャロン・テートが、夫のために「テス」という本を買うこと、映画館で自分が出演しているのを見て、周りの反応を喜ぶ所、パーティーで皆と踊る所などが写ります。それは素敵で、もし生きているうちに見れたら、こんなに楽しそうに生活をしていたのかと思えます。

余談ですが、本人はタラちゃん作品に参加したい思いがあり、上記の「アイ、トーニャ~(以下省略)」を演じたことが自信となり、手紙を送ったそうです。それで本作出演できたとか。

またここで言う、快活な一蹴とは、ネタバレになるとダメですが、「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ繋がれざる者」のような復讐三部作と言える作品なんです。つまり、救いやifの映画でもあるんですね。だからこそ、見ている側は最高の気持ちで劇場を去れるのです。
ぜひ、この快感は映画をみたあとにしか感じられません。DVDまで待つという方は、上記の2作を見ておくと、なんとなくイメージできると思われます。

3つ目は「時代を彩るラジオと選曲の良さ!」
タラちゃん作品はいつもサントラも素晴らしいのです。
本作では、ラジオを聞くシーンが印象的です。実在したロサンゼルスのラジオ局「KHJ(AM930kHz)」通称「ボス・ラジオ」にチューンしています。全体的に曲は良いのですが、特にこの3曲が好きです。
「ブキャナン・ブラザーズ / サン・オブ・ア・ラヴィン・マン」
「ロス・ブラヴォス / ブリング・ア・リトル・ラヴィン」
「ニール・ダイアモンド / ブラザー・ラヴズ・トラベリング・サルヴェイション・ショー」
ドライブしているとき、パーティー会場で踊っているときに流れているのが妙に気持ちよくこの映画に浸ることができます。

また、序盤に流れるRoy Head - Treat Her Right -が、この映画に自然と入り混めるしかけだと思えます。この曲によって、この映画の時代背景を感じさせつつ、観る人へのわくわく感をくれています。

4つ目は「光と闇、栄光と挫折の当て方、そこからの生き方の描き方が最高!」
各シーンにおいて、光と闇という表現を色々な視点で描かれています。もちろん、栄光と挫折、未来と過去、落ちぶれ気味の俳優と新進の女優などなど、あるんです。その人それぞれで悩みや苦悩はありますが、結局隣の芝生は青く見えるものなんです。自分にないものねだりで、人がもっている。だけれど、本当は、レオ様にはブラピという絶対的な信頼関係で築かれ相棒がいて、シャロン・テートにはロマン・ポランスキーがいたわけです。殺害されたことで、この世にいないため栄光はみられなかった。けれど、生きていたって、栄光がみれたかなんてわかるわけではない。本作を観ながら、シャロン・テートに命を与えて、劇場に復活させたタラちゃんの気持ちが全面に伝わりましたよ。ただ、シャロン・テートの悲劇によりハリウッドが震撼させたのではなく、映画で息を吹き返すことで、新しい一面を見せたことに意義があると思えます。

光と闇という表現は色んな映画で表現されやすいですが、タラちゃんは特に時代背景と当時の事件を踏まえた上で、今にはない気持ちにさせてくれたわけです。

本当はこの項目をだらだらと感想を述べたいのですが、ほとんどネタバレになるわけです。知らないで見るのと、知って見るのでは違いがありますが、特に感動を削いでしまうわけでね。

5つ目は「あの子役はなにもの!?可愛くて、大人びた会話についつい見入ってしまう演技力!」

だれもが見て、だれもがあの子役はすごいと思わせたに違いない、すんげぇ子役がいます。その子は、ジュリア・バターズです。役名はトルーディーです。まぁ、可愛いこと、可愛いこと。レオ様曰、「小さなメリル・ストリープだ。」そうです。つまり、未来ある、有望される子役だと言えるわけです。すぐ、ググった方がいい。見ていて損ないです。小さいときの宮崎あおいを見ているのかのような気持ちです。あくまで、個人的な意見ですよ。

本作では、前日にウィスキーサワーを8杯も飲んでしまったレオ様は、よれよれな状態で現場入りします。飲みすぎたときの特有な体調不良の状態で、役柄によってつけられた髭の糊をとるわけにいかず、撮影場所で本を読みにいきます。本は「ウエスタン」な訳で観た人ならわかると思いますが、その本を読むことが彼の思いを示しているんです。いやぁ、そこでレオ様がその本の説明をしているシーンも泣けます。

少しずれましたが、その本を読むときに、ジュリア・バターズに会うわけです。「役名で呼んでくれた方が良い演技をできる気がする。できれば役名で呼んで欲しい」、「昼ごはんを食べると、良い演技ができない気がする。」など中々小生意気な意見が目立つのですが、子役+美少女ということで、黙ってみることができます。おませな子ぐらいな気持ちでね。それでも、レオ様相手に堂々とした演技力、予告にも流れていますが、耳元で囁く彼女の言葉に涙するレオ様。ここも良い関係性なんです。光と闇とも言える場面だと思えます。

6つ目は「ROMA/ローマを彷彿させる映画、これはアカデミー賞受賞決定説!」

とある意見において、「ROMA/ローマ」と似ているというものがあります。
「ROMA/ローマ」とは、アルフォンソ・キュアロン・オロスコが監督が、脚本・制作・編集した力作です。さらに、金獅子賞を獲得!Netflixで配信され、外国語アカデミー賞にて、監督賞・撮影賞・外国語映画賞を受賞しています。これは偉大なことです。映画は劇場で見るものという価値観がなくなり、配信においてもアカデミー賞は認めたという事実。そして、配信という幅をもった映画はより見切れない数に増えるのです。年間1000本は国内で上映していますが、配信があることで劇場での鑑賞は減ります。ましてや、伝統ある賞をNetflixがとってしまったという事実。すごいのが少しでも伝わっとと思います。

ところで、どこが似ているのかというと、「ROMA/ローマ」とはアルフォンソ・キュアロン・オロスコ監督の生きた時代を描いています。まぁ幼少期のときの記憶を鮮明に描いているのです。そこが、本作においてタラちゃんが、感じたハリウッドと育ったときのハリウッドの映像を表現したわけです。どちらの作品も事実を踏まえているため、絶妙なリアリティーを生んでいるんですね。見た私も似ている印象ではありますが、内容は全然別物。「ROMA/ローマ」とは違う、時代の革命を起こしているのが別物ですね。映画愛にともに溢れ、時代愛にともに溢れていますが、エンターテイメントムービーとして、本作はかなり強い。その点を、ぜひアカデミー賞で評価して欲しい!いや、これをアカデミー賞受賞して、映画館で再上映してくれないかなぁという希望ですよ。


7つ目は「安定のレッドアップル!というより煙草吸いたくなる映画って教育上だめじゃん!?」

レッドアップルという煙草は、タラちゃん作品において1つのアイテムなのですね。タラちゃん作品、「パルプ・フィクション」、「キル・ビルVol.1、キル・ビルVol.2」、「ジャンゴ 繋がれざる者」に出ています。日本で言うと、新海誠作品は必ず、前作のキャラクターを出すこと、山田洋次監督も役柄を変えて同じ俳優を出すなどがありますね。そのようなこだわりがある演出は私にとって大好物なわけです。だって、その監督の作品を見直したくなるじゃないですか。出るのか、出ないのか、このわくわく感で違った視点でみれて楽しいんですよ。雑誌やネットの評価ブログを読むとすぐに出てくる内容を自分で一生懸命探すのは、ある意味「インディ・ジョーンズ」の気持ちなわけです。

まぁ、そんなわけで、本作でもレッドアップルの煙草が出るわけです。さらに、エンドロールを見逃さないで欲しい。そこにはいろんなトリビアが隠されているから。ここでいうとほぼネタバレかもしれない。

随所に出てくる煙草のシーンは見ていて楽しいです。まず、序盤に車から吸い殻がたくさん落ちてくるし、なにかあるとまず煙草を吸うシーンがあります。いち喫煙者として、観ていてい気持ちがいい。映画館で煙草が吸えるといいなぁと思ってしまいます。昔はよかったのにね。


8つ目は「わき役なのに、魅力的で、主役級のキャラクターが勢ぞろい!?」

各映画ブログや、雑誌にも出ていますが、アル・パチーノルーク・ペリーダコタ・ファニングティモシー・オリファント、マーガレット・クアリーなどが出演しています。などと言うと失礼ですが、他にも素敵な俳優はそろっています。少し洋画が好きな人は必ず気づくはずでしょう。アル・パチーノだぜ!あのアル・パチーノが出ているだけで、観る価値がものすごくあがりますよ。数ある省を受賞し、彼が素敵だと言える点はまさに無数。リチャード・ギアの上で好きな俳優です。「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」は絶大的な感動に包まれました。何度見てもいい所しかない。盲目で紳士的で、ジャックダニエルを飲む姿に憧れ、必ずbarではジャックダニエルを飲んでしまう始末、彼は最高の俳優です。個人的感情がむき出しでしたね。ルーク・ペリーも好きなんです。しかし、脳卒中で他界とか、涙が。涙の波が。という感じで、好きな俳優しかいないのも見どころですね。


9つ目は「本作で監督業引退!?今までの作品の集大成とタラちゃん自身も語る出来!」

タラちゃんは10作で映画を終えると公言しています。それでも、自然と出来上がった脚本を関係者に読んでもらうと、今までの集大成じゃないかと言われ、タラちゃん自身も集大成に感じたそうです。10作で終えると公言したのは、ピタッと作る目的を終えて、違うことで映画製作にのめりこみたいという気持ちなんですね。志が高いうえに、映画の完成度が高いのも彼の、精神論、向上心によるものだと言えます。引退してほしくないけど、この熱量を維持して、10作目を作って欲しいです。そしてみたい。

 


以上ですね。本当は100個ぐらい挙げたいところですがね。本作が9作目なので、なんとなく9つだけに絞りました。見た人はきっと切りがないぐらいから、この映画愛を語りたくなりますよ。実際barで知らない人とずっと映画を語っていた私はそう思います。実体験を通して、好きな映画はずっと語れるものなのです。

映画 ダンスウィズミー 感想

映画 ダンスウィズミー 感想と考察について。

 

1.感想について。

 好きですね。大満足ですね。文句の付け所のない、しっかりとした映画ですね。

近年だと、「アナと世界の終わり」のように、ミュージカル映画にややB級的要素を詰めながらも、従来のミュージカルの定番を忘れずに、エンターテイメントとして楽しめるものが増えてきて嬉しいです。

というのも、ミュージカル映画はかなり好きで、ジャック・ドゥミ監督(代表作:シェルブールの雨傘)やフレッド・アステアミュージカル映画全盛期の俳優)が好きでね。近年だと、ジュリーと恋と靴工場が好きなんですね。

まぁ、ミュージカル映画の最高峰は「雨に歌えば」なんです。音楽映画は「ブルース・ブラザースなんです。語りたいけど、本作を語るまで長くなるのげ省きます。

本作の感想に戻ると、ミュージカル映画の不自然さ】をしっかりと焦点にあてているところが最高ですね。思っているミュージカルシーンは結果1人舞台で、気づくと周りに不審者扱いされているところが上手く描けています。つまり、緩急が効いていて見飽きない。また、ミュージカル+ロード・ムービーとなっているため、主人公のこれからの生き方や成長という点に親和性があり、観ている人たちは、ハッピーに人生を楽しもうと思えます。

 これからもっと思いのたけを語ります。

 

2.本作の物語について。

「突然歌って踊りだすなんてやばくない?」をテーマにした、ミュージカルコメディ映画です。ある時、鈴木静香(演・三吉彩花)が姪と一緒に訪れた遊園地にて、催眠術師に《ミュージカルスターの催眠術》をかけられてしまう。音楽を聴いてしまうと、踊りだしてしまう体質となり、恋も仕事も失ってしまうという、ハチャメチャなムービー。催眠術師を見つけて、元の身体に戻れるのか?

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所

①突然歌いだす不思議な呪い、それがミュージカル映画

ミュージカル映画が不快と感じる人たち、ミュージカル映画を受けいられない人たちには本作を観ると、共感を得ること間違いない。嫌いな人の意見において、「ミュージカルが入るから感情移入できない」とあります。まさに、その通りを示した映画だから面白いのです。主役=不審者がコンセプトにもあり、シンプルにミュージカル映画をディスっているから、笑えます。きっかけも催眠によって、音楽を聴くと踊ってしまうという理由のため、静かな場所を求める様子も笑えます。また、東京ってどこでも音楽が鳴っているイメージなので、静かなところってないだろと思えます。従来のミュージカルの呪いに翻弄される様が見事に面白いポイントになります。

 

ミュージカル映画+ロード・ムービーとして類を見ない緩急の使い分け。

ミュージカル映画でワンシーンで終えると、自然な流れで会話が始まります。だから、観ている側は次いつミュージカル始まるのかなという思いになります。しかし、本作はミュージカルをして周りに迷惑をかけるため、思っていたより、テーブルクロスを綺麗に引けてないし、会社もあんなに散らかしているとは思わないんですよね。冷静に振り返ると恥ずかしいことばかりなんです。映画の中では、スマホで録画されてニュースとして取り上げられるあたりは現代社会を反映している一部だと思えて、シリアスな笑いもちりばめられています。

ミュージカル映画は最後すっきりとした爽快感に伴い、自分らしさを取り戻す、または自分の生き方を決める前向きな形で終えることが多いものです。だからこそ、私は大好きなんです。

本作では、東京のキャリアウーマンとして、順調な生活をし、高層マンションに住み、かっこいい先輩への恋も発展できそうな状態。だれもが羨ましいと感じる環境にあります。しかし、その生活に対しても無理をしている訳です。女友達同士では、食事や女性らしさに気を使い、その反面で家では暴飲暴食のような背景が描かれています。ミュージカル催眠によって、職場にいられない環境に陥ることで転機となります。そう、「自分らしさ」を取り戻すのです。幼少期に、歌も上手、バレエも上手だった彼女はミュージカルが好きなのです。催眠術師を探す中で、「自分がなにをしたいのか」、「どんな自分が好きなのか」を考えていく背景があり、観ている人へのエールでもあると思えます。

 

③失うもの、頼れるものはどんどん減らすことで、生きる難しさ、生きるためのアイデアが含まれている物語。

矢口監督作品では、主人公たちが得たものを減らす傾向にあります。近い作品だと、「サバイバル・ファミリー」です。電気がない、スマホがない、交通手段がないという様な感じです。物語における序盤で、生活に活きるツールを減らすことで、映画的アクションを増やすという考えだそうです。

本作でも、ミュージカルに翻弄され、会社にいれない居たたまれない状況に陥り、ミュージカルのせいで、多額の金銭を失う、催眠術師を見つけるために、スマホを失う。などなど、本作でもどんどん生活におけるツールが減ります。だからこそ、ハングリー精神・たくましい生き方をしていくのが快活です。また、劇中の中で、バディとなるフリーターの千絵(演:やしろ優)が主人公と対比されていて、猪突猛進で、好きな物は好きと動いてしまう直感型だから振り回される様が面白いです。主人公は堅実で、石橋を叩いて渡るタイプ。それが、直感型で生きるタイプに憧れるわけです。そのため、生き方が少しづつ変わる様子が楽しいです。

 

〇短所

①公開時期に難あり!

 これは、正確には短所とは言えませんよね。本作をもっと、色んな人にみてもらいたい気持ちが強くて、公開時期は間違っている印象に思えたのです。この時期に、「ライオン・キング」、「天気の子」、「トイ・ストーリー4」、「ONE PIECE STAMPEDE」

ワイルド・スピード スーパーコンボ」が並んでいるんです。そりゃ、矢口監督という肩書があっても勝てる根拠にはならないのです。ましてや、翌週には、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」、「ロケットマン」が控え、さらに翌々週には「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 」、「引っ越し大名!」です。

いくらなんでも週間ランキング入っても10位程度かなと思えます。悔しいなぁ、もっと知って、もっと語れる映画なんだよなぁ。

 

②往年のミュージカル映画としては超えられない壁がある。

あくまで「ひと癖あるミュージカル映画」なわけで、ミュージカル映画として最高と言える作品ではないのです。ミュージカル好きであれば、やっぱり王道の「ラ・ラ・ランド」や「雨に唄えば」のような展開が好きなんですよ。邪道な作品、B級作品には超えられない無数の壁があると、本作を観て実感しました。

観方の違いなんです。どんな気持ちで、どんな予想で観るかで、映画の評価は100点にもなれば10点にもなると思えます。

だから、本作をミュージカル映画としてでなく、コメディ映画としての捉え方だと、すごく良い作品だと思えるのです。

 

③日本ミュージカル映画としては、三池監督以上、周防監督以下!

 日本ミュージカル映画といえば、2010年代では、周防監督の「舞子はレディ」や「愛と誠」、「クソ野郎と美しき世界」ですね。三池作品と比較してはいけませんが、「愛と誠」のミュージカルと比較すると、ものすごく良作に思えます。三池監督は、ミュージカル映画が嫌いなのかというぐらい微妙な全体的な仕上がりでしたからね。一方で、周防監督は、「マイ・フェァ・レディ」に引っ張られすぎ!と思いましたが、ミュージカルには文句なしの出来でしたからね。そう考えると、三池監督<矢口監督<周防監督って感じが、本作を通して感じられました。

 

4.本作の見に来て欲しい人たち!!

ミュージカル映画ファン!

20代から30代の女性。60代の女性。

【調査方法】GEM Partners実施のインターネットアンケート
【調査対象】全国に住む15~69歳の男女
【調査実施日】2018年1月20日(土)~1月21日(日)
【回答者数】10,094人(うち映画劇場鑑賞者※3,199人分)

上記によると、映画ジャンル別で好きランキングには「4位」です。1位「アクション」、2位「SF」、3位「ファンタジー」、4位「ミュージカル」、5位「ホラー」となります。この影響を分析するには、やはり「ラ・ラ・ランド」、「グレイテスト・ショーマン」、「美女と野獣」、「アナと雪の女王」における効果ですかね。

ラ・ラ・ランドは、2017年度に公開され、興行収入のランキング10位。44.2億。映画レビュー満足度は80%。

美女と野獣は、2017年度に公開され、興行収入ランキング1位。124億。さらに、歴代の興行収入ランキングでは、19位。昨年度のボヘミアンラプソディは18位だと、考えると、日本にディズニー実写とミュージカル映画の受けが良いことが認識されたと言えます。映画レビュー満足度は80.4%。

グレイテスト・ショーマンは、2018年に公開され、興行収入のランキングは7位。52.2億。映画レビュー満足度は84%。

アナと雪の女王は、2014年に公開され、興行収入はのランキング1位。254.8億。映画レビュー満足度は87%。

どの映画も、日本人が多く見ている根拠になります。ミュージカル嫌い=日本人という印象はもう古く、ミュージカルが好きな人は多いと認識を変えていく必要がありますね。

映画の傾向に戻りますが、「とても好き」という項目は、2016年と比べると徐々に上昇していることがわかります。また、その項目における人の年齢の割合20代から30代の女性です。60代からの人気もあります。ここがメイン層で、来場してくれそうだと考えます。この年齢層は、お金があり、映画館に来る割合としても最も多いと言えます。

 以上のことから、日本にミュージカル映画が根付いてきていることを考えられます。

 

矢口史靖ファン&三吉彩花ファン

矢口監督の映画は、2002年「ウォーター・ボーイズ」日本アカデミー賞監督賞と脚本賞にノミネート、2005年「スウィングガールズ日本アカデミー賞伽本省受賞という経歴があります。映画好きとしては、観たいであろうと思えます。しかし、監督ランキングあまり良いという感じではなさそうです。

一方で、三吉彩花は2010年から2017年までseventeenの専属モデルを経験しています。2019年に開催された「TGC TOYAMA 2019 by TOKYO GIRLS COLLECTION」で、トップバッターとしてランウェイされています。Instagramでは82万人います。若い女性層からの人気も得ていることが考えられます。

 

③音楽としての価値観(歌謡曲ファン)

 歌謡曲がこの映画にたくさん使用されています。既存の歌謡曲のため、1970年代のものが多め。つまり、1970年代、今だと60から70歳の人は、聞いたことがある人、関心を寄せる人がいると思えます。一見の価値があると覆えます。

山本リンダ『ねらいうち』、キャンディーズ『年下の男の子』、サディスティック・ミカ・バンド『タイムマシンにおねがい』などが本作で流れます。

 

5.本作の評価

映画.com ☆3.4

Filmarks  ☆3.4

Yahoo! ☆3.3

ぴあ映画生活 66点

COCO 満足度81% ツイートポジティブ指数96%

各サイトでも、そこそこ普通、または少し良いという評価だと思えます。

COCOでは、満足度が高くてうれしいですね。

コメントとしては、「カール・ミーツ・ガールとして楽しめた。」、「曲のチョイスが良い」です。マイナス的なコメント「年配の方向け」、「まぁ楽しめる程度」とかです。

 

6.本作を勧めたいポイント!

①笑いと爽快感に包まれたミュージカル+ロード・ムービー。そこから、自分らしい生き方をきっと見つけることができるエンターテイメントムービー。

勧めたいポイントではありますが、長所で語ったことがすべてなんですよ。

生きにくい社会と言われている中、都心で働くことがすべてじゃないし、自由な生き方ってきっとあるんです。自分らしさ、本当に自分がしたいこと、それがわかるのは、ミュージカルとロード・ムービーの鉄板といえる長所です。

静香と千絵の、噛み合わない関係性、ミュージカル催眠で精いっぱいであるのに、千絵の無鉄砲さに振り回される中で、千絵に強く当たってしまうシーンがあります。そこには、自分に素直になれない、何にも振り回されず自分らしく生きたい側面を強めていると思えます。

 

②ミュージカルなんて馬鹿馬鹿しい。けど、踊って歌うってなんか楽しい!

本作の見どころはなっていっても、ミュージカルであることは間違いないです。

曲が流れると勝手に身体が動き出す様、それを抑え込もうとする姿から、徐々に動き出すので、他のミュージカル映画よりすっとその場面に入り混めます。

踊って、歌う楽しさは、ラストのエンドロールでより強く感じられます。ぜひ、最後のエンドロールまで観てほしいです。

 

③昭和の音楽って、今聞くと新曲じゃね!?神曲の連続!

謡曲って聞くといいんですよね。親が歌謡曲好きだから、本作では聞いたことがある曲たくさんありましたね。こういうことって大事で、その時代に流行っていたものに触れることは、新しい価値観をもたせ、その時代背景を深める効果があります。映画を楽しめる要素ですよ。歌謡曲関連の映画は他にもあります。「ザ・スパイダースの大進撃」、「歌謡曲だよ、人生は」などね。

謡曲を知らない世代としては、新鮮味があって、逆に神曲じゃねという錯覚もまた楽しいです。外国の方にも、日本の曲を知る機会となれる映画だと言えますね。

 

7.まとめ

どんどん日本もミュージカル映画を作って欲しい、それだけです。

映画 天気の子 感想

映画 天気の子 感想と考察について。

1.感想について。

天気の子は純粋に楽しめる自分と、大人的解釈、映画好きとしての解釈としての葛藤が結構ありました。純粋な自分は「ただ会いたいだけ。」そんな主人公に心を動かされ、「ねぇ、今から晴れるよ。」そんなヒロインの優しさに包まれています。

今や、世界的に注目されているアニメーション監督・新海誠。本作では、叙情的な(王道)男女の物語を、美しい色彩と天気の細かな表現、繊細な言葉で織り成すエンターテイメント。かなり面白みがあると思えます。

一方の、解釈だと「全然物語として成り立ってないよ。ただ、ヒロインに会いたいだけ、それだけなんだよ。」「映画的価値観としてあの終わり方はまさに駄作。タブーなんだよ。」と「提供へのアピール強すぎて萎える。どんだけ日清、鉄道会社などなどに媚び売ってんだよ。実写ではそれとなく入れていること多いけど、サントリーやメーカーズマークとかよ。アニメにどんだけ出してんだよ。」なんて思いもありました訳です。

濁った眼、大人びた眼なしだと、すっきりとした爽快感と前向きに生きることができる映画で、観た人たちにたくさんのものを与えてくれると感じられます。観た人たちと微妙に解釈が違うと思いますが、トータル的に大満足ではあるんです。穿った目でしまうのは、どうしても、古い映画好きとしては仕方がないという感じです。

 

2.本作の物語について。

「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」

「あの光の中に、行ってみたかった」その主人公は高校一年の帆高。初めての東京で、怖さをもちながらも、鬱屈とした息苦しさをいつの間にか消えていた。そのきっかけには、彼女陽菜がいたから。彼女との出会いをきっかけに、そんな晴れ女との出会いをきっかけに、世界を変えるほどの大きな出来事が2人の中で目まぐるしく流れる物語となっています。

 

3.本作の長所と短所について。

〇長所について。

①雨の描写が絶妙な具合に生き生きとしていた。

雨を忠実に再現していました。監督も備えが必要な時代に変わってきた現代。異常気象と言われる時代になにかあった作品を描きたかったとのこと。荒木健太郎という気象庁研究所研究官であり、雲研究者が、本作の気象監修を担っています。その方のおかげで、世界観というか地球上で起こっているかのような妙な説得力を感じさせてくれているのです。

②東京という小さな世界観で、大きく揺れる主人公とヒロインの関係性。

実にありふれた設定かもしれない。東京への憧れ=光の中に入りたいという行動で、主人公は東京という場所で光を求めたのかもしてません。居場所をもとめているのは、現代人に限らず、常に人がもとめています。何故なら、そこに生きている実感がわくからです。ヒロインは東京に住んではいるけれど、母が亡くなっているという設定です。母の代わりに弟をしっかり面倒見ないといけない。そういう面においては、主人公とは違い、息苦しさを東京で感じている印象にもとれます。自由になった主人公と、不自由になったヒロインという対比はきれいにできており、主人公よりも大人びた少女はやはり抱えているものの違い、精神年齢的違いがあります。ヒロインのおかげで動き出す主人公。ありきたりと言えば失礼ですが、王道的展開です。2人の関係が揺れることで、東京という世界も変わるという関係性も面白く、天気に左右される人間もいつか適応していくという様に意外とどうにか生きていけるのです。なんていったって世界なんてものは、元から狂っていますからね。

③圧倒的な存在感、「RADWIMPS」。君の名はからの安定感。

このアーティストの感性と、映画に対する理解度、監督との共鳴性については唸るものがあります。絶対に間違えない曲づくりと、前作「君の名」は同様に観ている人の希望をしっかり掴むような、キャッチ―でありながらノスタルジックな表現力はこの映画を豊かにしてくれています。特に、疾走感溢れる曲とともに流れる主人公の慌ただしい日々、そしてそこに充実感を得る主人公の表情や気持ちに寄り添っています。言うまでもなくラストの展開に向けた「大丈夫」や「愛にできることはまだあるかい」は若い年齢層に絶大なる評価を得ることは間違いないです。

④森七菜・醍醐虎汰郎というルーキーの勇気と可愛さ溢れる演技。

この4番目は明らかに個人的押しですね。可愛くて、あどけなくて、初々しくて、お茶目で、どこかどじな感じでありながら、気が強そうな一面においてまで、王道な女優さんです。それにしても、頑張ったなぁと思います。「愛にできることはまだあるかい。」をカバーしCMで流れるときのメイキング映像は堪らんほどかわいい。ついでに言うと、醍醐くんも良し。実際に舞台挨拶やInstagramにおいても、光輝いてます。ルーキーだから許される、ルーキーだから評価される声による演技です。

 

〇短所について。

①挑戦的かつ失敗しそうな設定。

実はこの物語は、東京と気候という設定だけで大きく動く物語ではないのです。ただ、主人公とヒロインが繰り広げる世界観に、天気を加え、若者が屈折する、挫折する、鬱屈する、青年期に訪れる自分の生き方に問いかけるような話です。その中で、大人も出てきますが、その人たちは世界を分かったような気で、分からないようにした気で、主人公やヒロインが「選択」しなかったときの大人を表現しているのです。そう考えると、映画的価値観で見ると実につまらんのです。台詞を省いてくれているので、考えさせる場面は豊富でした。しかし、人間そうは上手くいきませんし、「選択」がざっくりとしています。天候を題材にした理由は納得します。納得しても、もっと訴えるものはあり、映画として、観た人たちに感動以上のものを与えることもできたと思うのですね。わかりにくいと思いますが、映画的価値観を深めるには、もっと「わからない」や「なんでそういうことを言ったの」と思わせる表現が必要なんですよ。

②提供が多すぎ。

完全に個人的意見ですね。実写映画においても、その役者がCMしている食べ物や飲み物や電化製品を入れるのは、スポンサーがいる故に必要だから仕方がないのです。しかし、本作流石に多すぎ。完全に本作とは関係ないのに、ちらちらと出てきて、邪魔なんですよ。そんなの気にしない。むしろ、そういう発見を楽しまないと。そう問いかける自分もいますが、いやいや、純粋にストーリーだけ見せてよ。と思うのです。

③音楽に頼りすぎ。

映画「君の名」はでも感じたことですが、音楽と映像の合わさった見事な表現には文句はありません。しかし、それも二番煎じです。音楽の良さと映像の良さはありますが、やや胸焼けしがちです。流石に次作も今まで同じように描かれると、もういいですというか、新鮮味に欠けてしまう訳です。全然本作もいい感じなんです。悪くないんです。ただね、そのね、映画ってもっと違う感じじゃないかな。なんて、わかったようなことを言っててすみません。

 

4.本作を見てくれそうな人たち?

①「君の名」は好きな人たちですよね。

君の名」は、Twitterフォロワー数が約13.5万人。「天気の子」のTwitterフォロワー数は約13.6万人なんです。ほぼ、「君の名」は好き=「天気の子」かもしれない。具体的な割合やただフォローしているだけかもしれませんが、数字は大きく変動していないですからね。さらに、「天気の子」公開前の、「君の名は」は地上波で初の放送において、17.4%を獲得しています。当時もSNSで盛り上がっています。なんと、提供会社のロゴも入れ替わるとは、意気な計らいですね。電通さん。具体的には、「ソフトバンク⇔ロッテ」、「サントリー日清食品」、「日清食品ソフトバンク」、「ミサワホームバイトル」が入れ替わったんです。面白い試み!提供会社同士にイザコザがなければいいのですがね。

まぁ、因みに予備知識的に入れますが、映画「君の名は」かなりすごい作品なんです。提供会社も続々来るのは当然なんです。それぐらいの実績があります。なぜならば、興行収入を250億円。つまり、「千と千尋の神隠し」の次に「君の名は」が名を連ねるほどの歴代興行収入を塗り替えたのです。今更皆さんが知っていることを堂々と述べているわけです。さらに言えば、1974年から映画人口は減っていたが、なんと2016年に1億8千万人に回復したのです。今までは1億6千万人前後なのが、「君の名は」を上映したことで、繰り返し見る人、若い人が見ること、男性20代でみる映画の割合が増えたことが考えらえれるのです。そう思うと、本作への期待度、そして若い世代がしっかりと見てくれる期待がありますね。

有効回答者数:500名(20~30代男女各250名:複数回答)調査期間:2016年12月8日~2016年12月13日による 2016年最も良かった映画ランキング、1位にも輝いてます。

 集計期間:2018年9月29日~2018年10月13日めちゃくちゃ沁みる恋愛アニメランキングにおいては4位に輝いてます。

さらに、2019年8月12日調べにおいては、すでに72位。ロード・オブ・サ・リングの第二章に近い位置にいます。すでに78.9億円。これから、どこまで伸びるか期待です。まぁ、以上のことから、10年代から20年代の男女が見に来てくれそうです。

調査期間:2019年2月1日~2019年2月4日対象:全国20代~60代の男女1,589名

しらべぇ編集部は、全国20~60代の1,589名を対象に調査したところ、全体の12.0%が「『天気の子』に期待している」と回答した。とあります。「新海作品」ということで根強いファンがいるようだ。また、男性は13.9%、女性は10.2%と、わずかに男性の支持が多い結果ですね。

 

RADWIMPS好きも来そうです。

前作「君の名は」においても、圧倒的支持率をとったRADWIMPS。「君の名は」では、ファンが替え歌や自分で演奏してみた動画をネットに公開するなど、大いに盛り上がり、映画の話題作りに貢献しています。ほとんどが、RADWIMPSを理由に見に来ているくらいです。10代から20代への支持率が高いです。

人気曲を検索すると、「前々前世」や「スパークル」や「なんでもないや」が上位にあがります。

 

新海誠ファンは必ず来るでしょう。

新海誠監督には、71.5万人のフォロワーがいます。

映画好き100人が選ぶアニメーション監督3位です。

日本人アニメ監督の人気ランキングにおいても5位です。

補足として、本作のヒロインで陽菜の声優、森七菜のInstagramフォロワー数29万人。醍醐虎汰朗のTwitterフォロワー数は、1.6万人。Instagramは1万7千人です。

「天気の子」をPRするには、多くのフォロワー数がいますね。

 

5.本作における評価について。

映画.comでは、☆3.8。「君の名は」は☆4.0

まぁ、ほぼほぼ、同評価と言えますね。

コメントには「ライトな「君の名は」と違うテイストに興味深い。新海誠の視点が面白い。」や「若い子にはささる。若者向けの映画。」や「あれこれ考えずに純粋に楽しい」などなど。

Filmarksでは、☆3.8。「君の名は」は☆3.9

コメントには「東京の街がリアルだった。」や「友達とたまたま歩いてた場所が、映画の中で登場していた。」や「須賀さんにやられた。(良い意味で)」などなど。

COCOでは、72%。さらに、Twitterポジティブ指数は89%<10113件>

コメントには、「全体的に面白く楽しめた。新海誠らしい結末」や「君の名はよりは・・・」的コメント、「音楽の使いどころは天才的」などなど。

Yahoo!では、3.78点

コメントには、「構成が弱い」や「結末はあれでいいの?」や「疑問に残ることばかり」などなど。

 

6.本作における私的に勧めたいポイントについて。

 ①「君の名は」を超えた一面と、物語として新しい終わり方から次に紡いだ爽快感と感動に溢れた映画。

本作における主人公は、『気持ちで動く』ことを大事としています。打算的や合理的でなく、純粋に「会いたいから」、「助けたいから」、「知りたいから」、「信じたいから」という理由で動くから、観ている人たちに訴えかけてくるものはよりダイレクトなんです。精神的な弱さや未熟さは、須賀(演:小栗旬)により指摘されつつも、どこか似ている描写を指します。

これは、須賀と帆高の関係性って、父や兄のようなものじゃなくて、将来の「選択」の仕方によって、帆高は須賀に成りえるという「写し」なんだと思います。須賀の言葉ひとつひとつに観ている人たちは、胸を打たれたと思います。保身や守りに入った場合の、帆高はきっと須賀になるんです。あのときに、純粋に動いたから帆高は帆高になれたんですよ。まどろっこしいこと言ってますが、きっと映画的価値観はここに包まれていると思います。

主人公の抱えている日常や生活による苦痛や呻きや叫びは、すべて今生きている若者たちにリンクする場面があります。その思いを吐き出してくれた本作は、10代から20代の男女に必ずや関心と共感をもたし、最後には前向きな一歩を踏み出せるはずです。

RADWIMPSが再び新海誠とタッグ!より映画の質を上げる音楽でありながら、音楽としての魅力も抜群。

恥ずかしながら、「君の名は」から、RADWIMPSを知った身分としては申し訳ないほどにわかです。それでも、彼らの音楽はずっと聴いていられて、物語の一片を彷彿させるような歌詞とメロディーは、色々な解釈ができて好きです。RADWIMPSのことを調べるとやはり若者たちへの信頼度、好感度が強いですね。実際に、「君の名は」以前から好きなファンも多いみたいです。

本作では、新海誠監督が「愛にできることはまだあるかい」を聴いたときに、この映画はそういう映画なんだと解釈されたそうです。映像や台詞にはない、音楽という視点から映画に違う解釈をくれたということですね。

本作における各種映画サイトの評価でも、音楽と映像の融合した魅力が高評価として表れています。

裏付けとして、2019年7月29日付(集計期間:2019年7月15日~2019年7月21日)の総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”では、RADWIMPSが手掛けた映画『天気の子』のサウンドトラック『天気の子』が総合首位を獲得しています。チャート・アクションは好調で、36,655枚を売り上げてCDセールス2位、15,425DLを売り上げてダウンロード1位。55,533枚を売り上げたアルバム『君の名は。』を下回る結果となってます。

③アニメーションによる「雨の演出」の最高峰と言える映画。

雨による感情や、雨から生まれる物語、晴れた日の感情や、晴れから始まる物語というように対比がうまくできていると思えます。陽菜(演:森七菜)が「晴れたことでこんなにも人の気持ちを動かすなんて思わなかった。」という様に、主人公やヒロインも動かされます。だからこそ、天気って不思議なんです。天気が日常生活に当たり前に溶け込んでいるものですが、しっかりと天気について向き合うことで、天気に動かされている、天気によって備えが必要となっていく、現代の気象とリンクしていきます。なんか、今年は暑すぎない、寒すぎない、異常気象だからね。と終わるのではなく、そのときに働きかけている感情に視点を置くと実は面白いと思えます。

 

7.まとめ。

 夏と言えば、戦争映画とアニメーション映画、お祭り映画が対立し、ディズニーがすべてをかっさらっていくという映画業界だと思います。しかし、ぜひ「天気の子」に頑張ってほしいです。今の雰囲気や、分析してきた結果だと「君の名は」が超えられない印象です。しかも「ライオンキング」や「ワンピース:スタンピード」や「ワイルドスピード:スーパー・コンボ」など強者が揃っています。どこまで伸びるかこれから期待してます。

そして、純粋な少年少女、10代後半の高校生から、大人になる前の大学生にはぜひ見てほしいです。Twitterでめっちゃつぶやいて、色んな視点で感想を言い、拡散して、ぜひディズニーに負けてほしくないですね。まぁ、ディズニーは好きなんですけど、日本にも良いアニメーション作品はあるんだぞっという所を外国にも知ってほしいだけです。

・補足

※雨映画好きとしては、「言の葉の庭」を超えることはできていません。雨の描写として抜群なのは「言の葉の庭」だと思えます。なぜなら、儚さと仕草や言葉の意味に色んな側面を見出し、胸を締め付けるほどに切なさを、最後雨で流す感じが堪らないんです。

映画 ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 感想

映画 

 ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 

                        感想と考察について。

1・感想

 映画ドラゴンクエスト ユア・ストーリーを劇場で見ましたけど、まぁなんとういうか、批判を呼ぶであろう物語ですね。 単純な王道の物語とは違い、ラストに哲学的要素を含みながら、現代社会または今を生きる人たちへ送るエール的要素なのかもしれませんが、純粋にドラゴンクエストを楽しんでいる人たちには、反感しか送らないであろう作り方です。

アルキメデスの大戦は良い山崎貴

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーは悪い山崎貴

と言えるぐらい、演出の仕方に難があるかわかります。

山崎貴作品をこれから見たい人は、これぐらい差がある作品を作ってしまう監督だと認識できる手段です。

ネットニュースでは、賛否両論とは書いていますが、明らかに否の意見が多いです。

しかし、

ビアンカとフローラについては、私自身かなり好み!!

 儚さと愛情に溢れたヒロイン2人の感情表現は見事です。

 個人的に、選ぶときのシーンと、結婚を申し出るシーンは大好きです。

 このシーンをちゃんと描いてくれてありがとう!

 ビアンカありがとう! フローラありがとう!どちらも声がきれいで可愛い!!

 前向きな考え方としては、

「少年たちよ、今こそ大人になるときだ。」

「現実は甘くないぞ!!」

「それでもゲームは不滅だ!楽しもう!」という感じです。

 まぁ、百聞は一見に如かずですよ。見てないで文句は言わず、見てから良い文句と悪い文句を、PTOをわきまえて、ネットで発言しましょう。

 

2.ドラゴンクエスト ユア・ストーリーとは?

 ドラゴンクエストV 天空の花嫁を原作としてます。

 親子3代に続く物語!ドラクエでは初となる試みです。

 大まかなストーリーは、父パパスとその息子は旅をしていた。目的は、母マーサをゲマ率いる魔物たちに連れ去られてしまったから。父パパスは強く魔物たちを倒していき、ゲマにたどり着くが、息子を人質にとられ、あえなくゲマにより命を落とす。それから、10年奴隷として扱われた少年は脱獄に成功し、父の残した日記に記された、「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」という言葉を信じ旅にでます。

 

3.ドラゴンクエスト天空の花嫁とは?

 そして、キャッチコピーは、
SFC愛がある、冒険がある、人生がある」。
PS2版は「強き心は時を越えて」。
DS版は「冒険という、もう一つの人生」。 です。 

1992年の9月27日に発売され、SFCスーファミ)では、280万本!

2004年にリメイクし、PS2(プレステ2)では、161万本!

2009年にリメイクし、DS(任天堂DS)では、123万本!

アプリにまでリメイクし、ダウンロード数が、7800万本!

というほど、日本中に知れ渡っていると言えるほど、超メジャー作品です!

今までのドラゴンクレストの売り上げランキングは9位!!<11作品中>

売り上げだけ、考えるとランキングはそこまでではないです。

しかし、人気作品ランキングは常に、1位から3位内に入っています。

人気の理由について、

「最も注目を集めたのが伴侶に誰を選ぶかです。」
幼馴染の金髪ビアンカお金持ちの令嬢である青髪のフローラ誰と結婚したら良いかと悩ませる選択となっています。

もう一つの理由について、

モンスターを仲間に出来るという事。

 ドラクエにおいて、これまではモンスター=倒すべき相手という概念だったが、本作はそれを覆しており画期的なシステムでした。

 個人的には、断然ビアンカなのですね。

 これは、論争すると楽しいのですよ。少年たちの他愛のない会話ですが、大人になって振り返ると、昔の友達とも振り返ることができて、本当に良いゲームなんです。

 ・ストーリー的には、ビアンカ

 ・覚える呪文的には、フローラ など、いろんな考え方があり楽しいですよ。

 

4.本作の長所、短所について。

〇長所

 ①完全CGで蘇る「熱量」あるアニメーション

八木竜一と山崎貴と一緒に監督した

STAND BY ME ドラえもんにて、最終興行収入約83.8億円!!

2014年邦画興業収入永遠の0に次ぐ第2位です!

実力と評判を折り紙つきというわけです。 

 

 ②今、新しい、ドラゴンクエストが始まる。君を、生きろ!君は、何者だ!

ドラゴンクエストは、初の映画化です。しかも3DCGです。

勇者ヨシヒコだと、雑なコメディ実写化していますけど(笑)

ゲームをしていた世代にとっては、新しい幕開けで、映画に対してわくわくとした高揚感があります。

 

 ③ゲームデザイナー堀井 雄二が、原作・監修を努めた!

ドラゴンクエストシリーズ生みの親ですよ!!

作品の安定性を生んでくれます。安心して見せてくれるはずだったのですよ。

 

 ④若手有力役者人が、プレスコという中、イメージを深め魅せた「声の演技」!

音を先にとり、あとで映像にあてるという手法ですね。

最終調整で、アフレコも行っています。

映像を頭でイメージにして、声をつくるって、声優さんでもしんどいと思います。

声優さんを起用せず、役者を起用したのは、話題性と宣材力ですね。

それでも、映像の中で違和感を感じさせない役者人もいて楽しめます。

 

 ⑤ゲームを知らない人ものめりこめる映像美!!

悪い魔物を倒すというシンプルな物語だからこそ楽しめます。深く考えず、王道の横綱相撲のような安定感を楽しむはずだったのです。

 

〇短所(ネタバレあります!)

 ①演出に難あり。流石山崎貴!こんなの予告編にいれられないぞ!

監督自身は、ゲームの映画化に懐疑的だったため当初はオファーを固辞していた。「劇場版アニメの成否をも左右するような、ラストシーンのあるアイデアを「思いついてしまった」」ことから、ゲームを映画にする意味を見出し、引き受ける気になったという。

断ればよかったのに!!!!

しかし、仕事ですからね。間違った方向性だとしても、やりがいを感じてしまうのは仕方がないこと。  

予告編には、ラストの様な展開は隠さないといけない。

あの映像が少しでも予告に入っていると、訴求力がなく、集客性がない。

そう思うと、宣伝会社はよく頑張ったと思う。というより、無理難題ですよね。

 

 ②鳥山明はどこいった?キャラデザはは、鳥山じゃないと!!

ドラゴンクエストの予備知識はそこまでないけど、ドラゴンクエストのキャラデザは、鳥山明だよね。本作全然関与していないよね。だからなのか、微妙に見た感じがこれじゃない感のキャラクターなんだよね。

 

 ③冒頭の10分はざっくりしていない?

少年時代って結構大事だと思うけど、半分以上が青年時代、青年後期時代しか描いてないんです。親子3世代を結ぶ映画であるなら、もっと父との関わりや、少年時代の思いや表情や感情というものを出さないと。山崎貴監督だからなんだろうけど、バックグランドを描けないこと台詞を省き考えさせる力をもたせることが圧倒的に欠けていると言えます。

 

5.観にきてくれそうな人たちは?

①1992年に少年時代を過ごし、大人になった人たちですよね。

つまりは20代後半から30代前半にあたる男性。<ドラゴンクエストファン>

しかし、この世代は仕事で忙しいうえに、お盆休みも実家に帰る、家族サービスをするなど、集客性に欠けてしまう。だから、厳しいですね。

リメイク込みで考えると、15歳から20歳も対象になりえます。

流石にこの年代は、夏休みだし、友達と一緒に見に行くと仮定すると訴求しやすそうです。ラストのシーンを除いた予告編と、ビアンカとフローラどちらを伴侶にするかのシーンを入れること、ポスターにもでかくビアンカとフローラを入れれば訴求しやすそうです。

このゲームの年齢層を考えると12歳以下は対象にならないため、大きく見積もり、15歳から30歳前半を対象とした宣伝になることが考えられそうです。

 

 ②佐藤健目的の人、もしくは、波留と有村架純目的の人ですかね。

佐藤健NHK「半分、青い」でも好青年な役を熟し、

大河ドラマ龍馬伝」にも出演し、世間でも知名度があります。

<2018年度>fumumu 全国20代女子224名の好感度アンケート結果64.3%

クランクインの「好きな若手俳優ランキング」2019年2月15日現在、20代以下の中で

 「好きな若手俳優は誰か?」というテーマの元、  10代~60代の10936人に対して実施した調査に基づくものによると、堂々の2位に輝いています。

さらに、有効回答者数:500名(20~40代男女:複数回答)調査期間:2019年1月23日~2019年1月23日限りなく二次元に近い20代俳優ランキングは、1位です。このような実績ある俳優は、確実に20代から40代の女性の訴求力があると考えれます。

 

・波留はNHK「あさが来た」で朝ドラ女優として名を広めています。

2018年に芸能人好感度ランキング5200人から選ばれた中で、5位ですね。

爽やかな印象と、あどけない表情が愛おしく、コメディタッチもできる女優さんです。

インスタグラムにおいて、フォロワー数は、49万人です。

 

有村架純も、NHKひよっこ」がヒットし、「ひよっこ2」まで作られました。

Twitterは、32万8千851人 インスタグラムは335万2355人ですね。 

有効回答者数:500名(20~40代男女:複数回答)調査期間:2018年8月22日~2018年8月22日 において、「やまとなでしこ」という言葉がぴったりな若手女優ランキング2位に有村架純!!

有効回答者数:500名(20~30代男女各250名:複数回答)調査期間:2017年11月08日~2017年11月09日結局一番可愛い若手女優ランキング 2位に有村架純

投票数合計:2,268票 調査期間:2018年12月04日~2018年12月18日手編みのマフラーを編んでほしい女性芸能人ランキング  2位に有村架純!!!

以上のことを想定すると、20代から30代の男女が見に来てくれそうですね。

 

 ③八木隆一、山崎貴ファンも来てくれますかね?

ここの情報はあまり集めていないので、何も言えないのです。どれくらいのファン層がいるんでしょうか。山崎貴監督は、3万1459人ですね。微妙、うん微妙。ドラえもんからの期待値をどこまで得られているのか?CM上でも、あまり全面的に押されてないですし。うーん。

 

6.評価について。

・映画.com 評価☆2.5。低いです。酷評の嵐ですよ。「なんか、もう辛い。ひどい。」「土下座して謝るべき。」などコメントが荒れて炎上してますね。 前向きな意見は、「大胆なアレンジに、大人として鑑賞できた。」「純粋にドラクエ5が好きで、映画は別物と考えると楽しめた。」「大人になれというメッセージ性があった。」などなど。

・Filemarks 評価☆2.9です。まぁ、普通より下ぐらいです。「誰もやらなかったこととタブーの違いがわかっていない。」「ただ単純に映画として面白くなかったです。」 ですね。言葉にならない。 前向きな意見は、「既存プレイヤーにとっては丁度いい展開のペース。」「映像は奇麗で、音楽は神曲」 ですね。

 ・COCO 満足度26%です。前向きな意見は、「メインテーマが流れると鳥肌。」

ビアンカとフローラはかわいい。」ですね。

 

7.私的に勧めたいポイント!

 3DCGを用いたゲームの映像を映画に昇華させ、 既存の神曲であるテーマ曲を映画館で聞くために 活かした点は、見た人に確実に印象に残ります。

 3DCGで織り成す世界観は、既存のゲームでは描けない、オープンワールドです。より主人公になった気分で、ドラゴンクエストの世界観に浸れます。魔物と仲間になり、協力する場面も、ユニークで、ゲームでは描けないようなフレンドリーな様子に癒されてしまいます。スライムってあんなに可愛かった?それぐらい、映画として全然楽しめる要素を含んでいます。

 人気俳優たちが織り成す声優としての魅力!

 声優さん達には申し訳ないのですが、佐藤健、波留、有村架純山田孝之など名だたる俳優陣がいることで、この映画への関心はさらに高まります。役者が声をあてることの違和感はあります。しかし。このキャラクターに声をあてた役者を考えると、少し楽しみが増すもので、

特にビアンカが最高でした。有村架純が好きです。ひいき目で見てしまいました。だから、伴侶を選択されるとき、どちらになるのか、変な緊張感に包まれ、結果に感動ですね。ああいう、別れ方、出会い方、進むべき道があると、良い感じに前向きな姿勢になれます。

個人的には、山田孝之様、流石です。父パパスの声を見事にあててくれています。山田孝之のおかげで、ドラゴンクエストの世界観に自然と入り混める役割を担ってくれています。

 

 ③それぞれが「選択」するストーリー!

この映画における代名詞と思えます。「選択」なんですよ。人生は「選択」の連続。「選択」から始まる物語。名前をつけてもらい、自分が「選択」するのです。人生は。

主人公の幼少期に母を救うと決めた「選択」、父亡き今天空の勇者を探すことを「選択」し、伴侶を「選択」し、モンスターの仲間を「選択」し、知らない間に紡がれていく人間関係、少しずつ生まれていくそれぞれの物語。ラストの展開については、「選択」してきた人達にとっては、自然と浮かぶ展開かもしれません。そこで、最後に「やっぱり痛いじゃん。」その台詞には色々な深みを感じることができます。個人的には好きな気持ちもあります。

 

8.まとめ。

 冒頭から、ラストの展開に至るまで、軽快なテンポでありながら、親子3代による壮大な物語には、胸をうつ場面が散らばめられています。良い意味で、ハッピーエンド、悪い意味で。バッドエンドな展開ではありますが、一度見ること、それ自体が大事だと思えます。 はっきりとした評価はできない作品。

 映画好きとしては、ファイナルファンタジーの映画化と比べると、時代がついてきたと思えます。ドラクエ映画化に対しては失敗には終わらないと思います。

 この世界には名作と言われるゲームはたくさんあります。

 変に実写化というよりは、3DCG映画として、映画に芽吹かせるのは、新しい映画作りになっていくと思えます。

 ディズニーだけじゃない、日本には、ゲームの映像化に定評があるなんて時代を期待してます。

 だからこそ、VFXの先駆者、VFXの名手、VFX山崎貴監督には、これからも頑張ってもらい、変に脚色せず、自然体を活かす努力をしてほしいなぁ、なんて思います。

 

映画 アルキメデスの大戦 感想

〇映画 アルキメデスの大戦 感想と考察。

1.初めに見た感想。

 やっぱり、菅田将暉がカッコイイんですね。軍服姿もさることながら、演技力も申し分なし。流石です。冒頭からまず見入りましたね。戦艦大和の沈没を5分かけて丁寧に描いてくれています。ハリウッドにも負けない映像です。一部描写がきついところありますが、監督のこだわりが光る、戦争の悲惨さを伝える意味では重要ですね。

 観客の人たちは、大体50代から60代男性、20代から30代の男性ですね。時々カップルもいましたけど、ぜひ女性にもこの菅田将暉のカッコよさを劇場で確認していただきたいところです。

 菅田将暉が演じる、櫂直(カイ タダシ)という人物がぴったりなんです。

 名言は

美しいものを見ると計らずにいられないタチなのだ。

  「君は、この戦艦を計りたいとは思わないのか。

   「数字は嘘をつかない。数字こそが正義だ。」です。

 それを話す菅田将暉の『熱量』が詰まっていること。菅田ファンには堪らんです。

 また、夏といえば、海やスイカなど連想しますが、大事なのは原爆の日終戦記念日であることです。日本人として、一瞬でも戦争について考える日はあってもいいかもしれません。しかし、本作品は反戦映画として描きながらも、エンターテイメントが充実していますので、涼しい映画館で時を過ごすのも一興かと。

 今しか見れない作品でありながら、今だからこそ見る価値のある映画です。

 ちょっと熱くなってきましたが、少しずつ紐解いていきます。

 

2.物語について(序盤)

 この映画は、数学で戦争を止めようとした男の話です。時代は1930年代、日露戦争に勝利し、満州国設立し、中国への進出に伴い、米国との対立を強め、軍拡路線を辿り始めます。その最中に、海軍では秘密裏に超大型戦艦建造(後に大和と命名)計画が動いていました。しかし、海軍では山本五十六(演:舘ひろし)と永野修身(演:國村隼)と藤岡喜男(演:山崎一)率いる空母派と、嶋田繁太郎(演:橋爪功)と平山忠道(演:田中泯)率いる戦艦派にて会議はもめていた。空母の建造費の見積もり「藤岡案」が、9300万円(現在だと1700億円)で、戦艦の建造費の見積もり「平山案」が8900万円(現在だと1600億円)であると。この双方の案に対して、大角大臣(演:小林克也)は、建造費の差が決定打となると話す。

 しかし、平山案の戦艦は、藤岡案の空母より、全幅は倍近い大きさ、砲台などの重装備、排水量も倍となるのに、安い理由がどうしてあるのか、山本五十六は気になります。建造費の問題にカラクリがあると見なされる中、会議は2週間後に行われることになります。

 その会議を終えた、空母派は築地の料亭で英気を養います。永野が料亭の女将(演:角替和枝)に芸者をお願いすると、全員帝大の学生に出払っていると。山本が様子を見にいくと、櫂直(演:菅田将暉)が芸者遊びをしていた。

 芸者の遊びの中で、投扇興(桐箱の台座上に立てられた「蝶」と呼ばれる的へ扇子を投擲して、落ちた時の形により得点を算出し競うゲーム)を巻き尺を用いて、正確に落とせるように計算してみます。その姿を見て、使える人材だと判断し、人心掌握に長けている山本は櫂を海軍へ招こうと考えます。

 櫂は平山案の建造費に隠されたカラクリを見破り、数字で戦争を止めることができるのか?

 

 ここまでが導入部ですね。正に堅苦しそうな展開。見ているだけで、肩が凝りそうな展開ですね。そうなんです。菅田将暉が出るまで割と、ベテランのおじさん達の会議シーンなんですね。演じている役者勢が素晴らしいから、割とあっさりと見れます。

 特に、戦艦の模型が登場して、嶋田と大角が「この角度から見ると堪りませんなぁ。」など少年心を取り戻したかのうように、食いついてます。軍人の会議なのに、全然軽いタッチなので見やすいんですね。男ならだれでも、大和の模型は食いつくはずですけどね(笑)

 

3.原作について。

 物語はこれからまだまだ続きます。しかし、原作を辿るともっと面白い発見があるので、一度原作について語ります。

 原作は、三田則房(みた のりふさ)です。ドラゴン桜で有名ですね。他にも、インベクターZやマネーの拳や砂の栄冠など面白い作品が豊富です。

 本作を思いついたのは、「新国立競技場の問題」がきっかけだそうです。当初総工費は1300億円だったのが、3000億円にまで膨らみ、国立競技場はいるのか、いらないのかと問題になりましたね。この時点で、史実をもとに大和の建造でも似たような問題があったと気づき本作を描いたんです。

 作者の考えでは、大和が日本に必要か、必要ではないか。という様な視点ではなく、造りたいか、造りたくないか、造れるのか、造れないのかが問題だと言います。国立競技場に置き換えると、必要か、必要じゃないかという議論は、どこかへいき、造りたい人と、やめろという人の、ぶつかり合いになっていると述べています。

 アルキメデスの大戦を見ることで、現代社会にも反英していると思うと、違った一面で映画も楽しめるというものです。

 

4.キャストと登場人物について。

菅田将暉 (櫂直)

 2013年に映画「共食い」で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。

 2017年に映画「あゝ、荒野 前編」日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞

今の日本映画界にとって重宝されるカメレオン俳優ですね。最近だと、「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」で教師役を熱烈に演じてくれています。本当にカッコイイ!!

 彼が演じる櫂直は、帝大数学科のエリート。西の湯川秀樹(日本人初めてノーベル賞受賞されたすごい方)に対して東の櫂直と言われるほどのエリート。巻き尺で目に付いたものは計らずには入られない性格。物や奇麗な物は、数字で表したくなる性分。

 尾崎鏡子(演:浜辺美波)とは心が通じ合った仲であるが、父親である尾崎留吉に目をつけられ、帝大を辞めさせられ、アメリカの大学へ行こうとしたときに山本の誘いにて、数学で戦争を止めようと決心し、海軍へ入ることになります。

・補足:小説版では、母の使用していた巻き尺で父と一緒に色々なものを計る「計測の旅」をしています。漫画版では、父から5歳のときにもらった巻き尺を使用しています。

菅田将暉と櫂の共通点とは?

 菅田はもともと数学が好きで、数学の教師にもなりたいという気持ちがあったそうです。演技を続けていくうちに、気持ちの変化をメモをとりグラフで表すなど、ロジカル的でもあります。そのため、終盤での黒板芸(ひたすら数式で建造費を割り出すシーン)は圧巻です。黒板にまっすぐな線を書くことが難しかったと。今までは、精神的な限界、肉体的な限界はあったが、初めて頭が痛くなったと。ヘッドスパに通い詰めた話もあります。数式の覚えるときには、運動しながら、お菓子を食べながら覚えたそうです。本当に努力家ですね。素晴らしい!!

 因みに、数学監修に横浜国大の教員が参加しています。その3人が、菅田さんはちゃんと数式の意味を理解して解いているからすごい。とお墨付きです。

 

舘ひろし (山本五十六

 私的には完全に「あぶない刑事」ですよね。

 チャーミングで。ダンディな、素敵なおじさんと言えば舘ひろしですよ。

 最近では「終わった人」でモントリオール世界映画祭で、最優秀男優賞を獲得しましたね。前回とったのは「鉄道員」の高倉健以来ですから、すごい賞なんですよ。

 山本五十六については、神格化されている印象です。今まで演じてきた俳優たちも、三船敏郎役所広司、大河内 傳次郎(流石に古いですよね。バンツマとか流行っていた時代です。)という大御所です。どの俳優も、重厚で硬い山本を演じてます。歴史上では、非戦派であり、いち早く航空戦になることも考えている方でした。短期決戦、早期講和の理念のもと戦争で活躍した人物ですね。

舘ひろしと山本の共通点とは?

 山本は、宴会で逆立ちや皿回しが得意で周りを喜ばせていた方です。好物は水まんじゅう(正しくは酒まんじゅう)で、コーヒーにも砂糖を大量に入れるぐらいの甘党です。お酒は下戸でまったく飲めず、間違えないように必ずお茶を飲んでいたなどなど諸説あります。その中で唯一の共通点があるんです。それは、プレイボーイで茶目っ気がある方なんですね。本作では、今までで一番人間らしい山本が見れますよ。

 舘自身も、父親が海軍軍医であったことから、いつか海軍士官を演じた気持ちがあり、本作品に臨みました。太平洋戦争などを中心に、戦争から学ぶことが多いと資料をたくさん読んでいます。山本への理解についても、おしゃれなおじさんであることを意識し、逆立ちをするシーンは監督に提案し採用されたとか。

 逆立ちのシーンですごいのが、山本は戦争で左手人指し指と中指がないのであるが、上手くCGで消しているんですね。逆立ちはワイヤーで引っ張っているんです。そこまで身体を張らなくてもいいのでは?舘の役者魂の一片を見せていただきましたね。

 しかし、下戸なのに普通にお酒を飲むのは微妙に受けつけられなかったかな。

 因みに、別の映画で山本を演じる役所広司が、水まんじゅうを食べるシーンは豪快でしたね。

 

浜辺美波 (尾崎鏡子)

 「君の膵臓を食べたい」で一躍有名になりましたね。あの映画は泣く要素(不治の病など)が多くてずるいです。ずっと泣いてしまう。名作ですね。

 あとは、「となりの怪物くん」、「賭ケグルイ」、「センセイ君主」に出演し、深夜ラジオ「真夜中のシンデレラ」でパーソナリティーもしており、著しい活躍を見せる今をときめく女優さんです。

 本作は、櫂が家庭教師で恋仲となる関係性です。美しさの理由が気になる櫂に鏡子は身を捧げるように顔を巻き尺で測定されます。そこにはなんと、白銀比が隠されているのです。白銀比とは大和比と言われています。キティちゃんやドラえもんにも用いられており、つまりは浜辺美波も美しいと言えるのですね。

 この顔を巻き尺で測定していただけで、不埒な関係であると父親にとがめられてしまい、正に、ロミオとジュリエットのような(飛躍しすぎましたね)立場となります。

・尾崎鏡子の役割について。

 彼女がいることが、アメリカへ行くことを断念することに繋がります。大事な人が戦争に巻き込まれるのは御免被るわけで、彼女がいることで櫂が成り立つ一面でもあるんです。また、令嬢の割に堂々とされており、終盤の展開で、大阪に大里社長(演:笑福亭鶴瓶)のもとへ父親に内緒で行くんです。もちろん、櫂を助けるためにですね。

 櫂のことを終始「先生」と呼ぶ姿は、「センセイ君主」というよりも、「先生!、、、好きになってもいいですか?」の広瀬すずのような可憐さを彷彿させてくれましたよ。この可愛さはぜひ劇場でしか感じられません。漫画と違い、役割が少し異なり、出番も多めです。

 

〇笑福亭 鶴瓶 (大里社長)

 「おとうと」や「後妻業の女」など何をやっても安定した存在感です。

 本作の大里の絵は、鶴瓶そのまんまなんです。原作者が本人をモデルにしており、映画に出てほしいことも希望されていました。また造船所の名前が鶴瓶造船所。鶴瓶は原作を見ると「これ僕やんか!」と言い、優しく参加してくています。

・大里社長の役割について。

 大里は、尾崎留吉(演:矢島健一)の元で働いていたが、意見を申しただけで首となりかわいそうな役どころです。大里は、その後大阪で造船所を経営しており、櫂と田中が造船にかかる経費の台帳をみせてもらうために重要な役割を担います。

 

橋爪功 (嶋田繁太郎

 「家族はつらいよ」シリーズで良いおじいちゃんの役しているんです。小生意気なおじいちゃんが愛らしくて好きです。

 本作出演の経緯が、行きつけの小料理屋で、山崎監督とよく会うそうなんです。そこで、出演依頼をし、前作「DESTINY 鎌倉ものがたり」では通行人を演じることに。本作では、嫌な奴を希望されると、嶋ハン(嶋田の愛称)役になったんです。史実だと教養があまりなく、最後はA級戦犯となる方ですね。

 作中では、会議でもやぁやぁとやかましくかき回す感じで、嫌みな上官を上手く演じてくれています。

 

國村隼 (永野修身

 この俳優が出れば画面が締まります。

 阪本順治崔洋一の常連です。

 本作では、永野は会議のシーンにて空母を推進するためにいますね。監督の意図に沿うように「ガハハ系!」な感じ、豪快な演技をされているのが印象的です。

 史実によれば、大の親米派で、駐米勤務時代には「軍人でなければ、(アメリカに)住み続けたい」と話していたとか。

 

小林克也 (大角岑生)

 小林といえば「スネークマンショー」のイメージが強い。いや強すぎるかもしれません。本人は真珠湾攻撃の前に生まれており、家族の話や親戚が経験したことを頭の中で描き、自然に入れたと話しています。

 大角はどちらかと言えば戦艦派。聡明で壮大な大和の模型を目の前にして、「こういうのを待っていたんだよ。」と言うぐらい。裏では、嶋田と共謀しており、次の会議では大和建造はほぼ決定という事態を引き起こす。

 

田中泯 (平山忠道)

 ここまで渋い演技ができるのは流石ですね。

 例で出すのは申し訳ない。他にもっといい役をしているのですが、「るろうに剣心」において翁役でけっこう激しいアクションをしているのが印象的です。

 本作では寡黙で静観としていますが、ここぞと話すときには、主人公の櫂に匹敵するほどの説得力と言葉の重みがあります。眼鏡が光る演出をされていますが、そこはいらないなぁと思いましたけど。

 モデルは、大和建造の平賀譲です。努力型で、堅実な英国流の伝統を身につけたかたくななまでの確実、慎重派で保守的、最新の技術には慎重姿勢な人物です。

 物語が最後に向かうところで、櫂との論争は実質平山の勝ちだと思います。正義感の考え方が櫂より1つ超えていた。

 

柄本佑 (田中正二郎)

 映画大好きな柄本佑ですね。見たら喫茶店に入りメモするとか。とんでもない量を見ていて、元は映画監督を目指していたとか。今後映画監督をするのであればぜひ見てみたいと思うものです。

 田中は少尉。櫂は一気に少佐となるため、急に言葉遣いを直すあたりが軍人らしい。物語の初めでは、嫌々な感じとイラつきが少し見える演技をしながら、徐々に櫂のカリスマ性に惹かれていく。作中において、横須賀湾で長門に乗船したい櫂の訴えに、「無茶苦茶なことを次々と言わんでください。」と言うが、永野のおかげで乗船は可能となったときに櫂から「最初からできないと決めてかかのが君の悪い癖だ。」とまで言われてしまう。よくこんな変人に尽くせましたよね。仕事だから仕方ないけれど。長門に乗船後も振り回せられますが、軍機の閲覧が禁止され、何もないなか、戦艦を巻き尺で計り始める櫂に徐々に信頼を寄せるようになります。

 この2人の信頼関係は、監督はシャーロック・ホームズとワトソンみたいな関係と言っています。私的にはガリレオみたいだなぁと思いましたけど。

 特に2人の関係が良くなるシーンとして、櫂の姿勢に感銘を受けた後、夕食を櫂に届け、藤岡に空母の資料を依頼したら、面子の問題で櫂に提供してくれなかった。男って醜いものですね。櫂は「自分1人で建造費を割り出すことを決めたぞ。今夜は徹夜だ。」と言うときに、田中は「お供します。」と早速取り掛かろうとすると、「まずは飯を食べろ。」と言われる。実はアドリブなんですね。いい感じでした。好きなシーンです。

 柄本は、本作に臨む前に、江田島にある旧海軍兵学校に1日体験入隊されています。そこで、敬礼の仕方、歩き方、扉の開け閉め方まで、一連の所作を学び、精神論についてまで勉強しています。田中少尉あっての櫂と言えるほど素晴らしい演技でした。

 

5.監督は山崎貴

 代表作は「永遠の0」「Always三丁目の夕日」シリーズですね。

 演出は正直微妙な点が多い気もしますが、VFXの先駆者と言って過言ではない存在です。彼のおかげで、映画の世界の幅が広がっているとも言えます。

 個人的には「寄生獣」、「寄生獣完結編」、「海賊とよばれた男」が好きです。

 「永遠の0」に関しては、2014年の年間邦画興行収入No.1ですよ。それは映画業界に貢献してますし、大ヒットメーカーと呼ばれます。そして、本作で映画は15本目。

 「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」や「ルパン三世 THE FIRST」も作っていますし、仕事しすぎですね。

 本作品の意気込みとしては、いつか大和を作りたいという思いと、幼少期に大和が沈没することの切なさを感じていた様子です。ただの第二次世界大戦を描くのではなく、他に方法ないかと検討していたところ、原作に出会い、映画化を希望されました。

・監督の意図した点

 反戦映画は、戦争の悲惨さを描いて見せることが王道だと思うし、それに当てはまるのが「永遠の0」。今回は違ったアプローチにして、エンターテイメントとして面白みを感じさせながら、戦争について少しでも考えてもらおうとしたと話しています。

 最初に惜しげもなく大和を見たあとに、壮絶なラストの会議シーンまで飽きることなく見ることができました。監督はもっと戦争映画を描きたいのかなぁと感じます。むしろ、思いっきり描いたのも見てみたいですね。いつも原作に引っ張られ、脚本の演出に難がみられ、演出が微妙みたいな側面をぜひ解消してほしいです。まぁ、シン・ゴジラの樋口監督しかずですが…

 

6.物語について(中盤)

 大和の建造費に莫大な税金が使用される、つまりドブに捨てようとしていることを櫂は美しくない、ましてやアメリカとの戦争に発展してしまうなんてという思いから、大和の建造を中止させ、戦争を止めようと動きます。藤岡が記憶に残した大和の資料はほみとんど使えない資料で、本物は軍機に属するため簡単に閲覧できない状況です。田中と相談しても軍機は絶対に見れない。直接資料室にいっても追い出されてしまいます。

 櫂がまず考えたのは、軍艦長門をみて触れて感じ取るところから始めようとします。長門に乗り、できることは少ないけど、ボトルの数、チェーンの長さから巻き尺で測定していきます。意味がないことを田中が指摘すると、「意味がないかどうかはやってみてから判断する。滑稽に見えるだろうが、今できることをやるんだ。この軍艦を数字で表したい。」と言います。どうにか計測を終えて、長門の図面から大和の図面を割り出す作業に入ります。

 しかし、追い打ちをかけるように、尾崎令嬢との密通があったという事実無根の噂も広げられ、櫂は腹を立てます。軍の上層部がそんな嫌がらせをすること事態にいら立ちを隠せません。この一件で、海軍ではだれにも頼ることはできず、結果孤立してしまいます。

 

 中盤のシーンは、田中との掛け合いが絶妙です。徐々に信頼関係が築きあげるところ、櫂の「軍艦とはきれなものだな。」と言い、軍艦に関心を示し、計りたくてうずうずするところもいいです。櫂の愚直さや小さなことをコツコツと積み上げていく姿勢には誰もが惹かれること間違いないです。

 製図している櫂が、少し笑うところ!ここ重要です。終盤に、櫂自身も気づかなかったある思いが目覚め始めるのです。

 一方で、軍上層部の嫌がらせや同調圧力が現在日本の政治を示しています。トップに立つ人が、足の引きずりあいをする様はみっともないですね。

 

7.物語について(終盤)

 大和の図面は完成しますが、それにしても、人件費や正確な建造費についての台帳がないと正確に割り出すには困難です。田中が軍艦などを作る場合は民間会社に支えられているため、民間会社に尋ねることを提案します。しかし、すでに軍上層部からの圧力がかかり、東京ではだれも相手にしてくない状況です。

 苦肉の策ですが、尾崎鏡子と再会します。尾崎からは、先生に迷惑をかけてしまった罪悪感に駆られていますが、櫂は相変わらず美しいと感じています。尾崎の計らいで大阪にいる大里社長を訪ねます。大里社長は初めは、軍の圧力がかかることを懸念されて、門前払いでしたが、鏡子が直接大里を訪問し、直談判されて台帳をみることができるのです。その中またしても、軍の上層部により、予定会議を翌日に変更されてしまい、一刻の猶予も許されない状況となります。しかし、櫂は冷静で頭の中をフル回転させており、鉄の総量から建造費を割り出す方程式が浮かびます。

 東京に戻り、無事会議に参加できます。計算がまだ終わっていない。ずっと、算盤をパチパチする田中に対して、櫂は暗算で解いていきます。平山は、何かあるといけないと慎重に判断し、会議を早く終わらせるように嶋田に言います。すでに、大角との打ち合わせで戦艦建造で決まっていますが、どうにか足掻こうとする空母派。会議では、空母派の藤岡案は200万減らし、9100万で建造できることを言いますが、それでも平山案に及びません。会議が終わりに差し掛かると同時に、櫂が制止させ、先ほどの方程式を披露します。そして、大和の本当の建造費は1億7564万円とわかります。明らかに民間会社との癒着、抱き合わせ商法が疑われます。

 これで終わった。櫂は数字は正義だと感じますが、平山は民間会社との癒着をあっさりと認めます。そこで、「その真実に意味はない。」、「一面的な正義感だけでは語れない。」、「世の中における真実の正義は別にあるのだ。」と言われ櫂はただ聞くことしかできない。真実の正義には「戦艦建造計画を他国に知られることで、他国が予測して凌駕する戦艦を作る可能性がある。建造予算は国会の予算会議の場で必ず公開する必要がある。敵をだます前にまず味方からだ。」ということでした。

 こうして櫂が負けたように見えますが、大和の図面に違和感を、美しくない部分を感じ取ります。それは気候の条件に沿えば沈没する可能性が高いと。櫂の図面ではそこまで想定していたのです。平山は設計者として負けを認め建造を撤回します。櫂は腑に落ちない。数学で戦争を止めることができたのに、自分の中でなにかが納得できていない。

 日が流れ、平山に呼び出された櫂。平山は、「日本はロシアとの戦争の勝利に酔いしれており、戦争を止めようとする人がいないだろう。戦争を続け、国がなくなる前に、大和という日本を象徴した、希望の軍艦が沈没すれば絶望し、戦争を諦めるだろうと。」そこまで予測していたのです。そして、同じ図面を作った櫂に、「君自身、この大和を見てみたいだろう。造りたいはずだ。」と言います。櫂に自然と湧き上がっていた造りたいという気持ちが動かされ、方程式を平山に渡します。

 

 最後に、大和が建造され、山本五十六司令官が海兵に敬礼します。その中に櫂はいるのです。櫂は大和が発進する様をみて涙を流し、映画の幕は閉じます。

 

 以上が本作品の全体の流れです。壮大ですね。文字に起こすとこんなにあるのかと。これでも一応省いたつもりではいたのですが。長たらしくてすみません。

 櫂が負けたという話でなく、櫂の心情が変わったのが素敵な終わり方です。実際に大和は建造されたのですから、櫂のいないところで建造されましたなんて件は最悪ですからね。

 終わり方は監督の意図するところで、負けて終わりにしたくなかったとのことです。北斗の拳原作者も「見事にやってくれて、ちょっと嫉妬している」というお墨付きです。監督と相談し櫂の動く理念が数学的でなく、人らしく感情で動くようにしたことが良い人物像になりました。

 

8.評価

 ・FILMARKSは総合評価☆4。

 ・びあ映画生活は80点。

 ・COCOは満足度91%。

 ・Yahoo!☆4.16点。

 ・映画.com☆4点。

 どの映画サイトでも、評価は上々ですね。映画ランキングも初めは3位、8月6日では5位ですね。圧倒的に「天気の子」が強いわけですが…

 コメントとしては、「設計者の思いが深いです。」、「この話の顛末が良い」、「魂を揺さぶられる内容でした。」、「主人公と助手が成長していくのは面白かった」などなど良いですね。

 悪い方では、「池井戸ドラマのパクリ」、「福澤克雄が監督すれば」などなど。

 

9.もうひとつ面白い所!考察?

アルキメデスは?

 これは小説の方に描かれているのですが、子供時代に、父との計測の旅をしていると、電柱の体積を計りたいができない。父に聞くとまずは、母のネックレスを壊さずに体積を計算してごらんと言われるが一向に解けず。父が気分転換が大事なときもあると言い、銭湯へと連れていく。そこで、風呂に入ったときに、その出た水が体積になることがわかります。父が「ヘウレーカ」と言います。ここでタイトルに繋がります。

 アルキメデスは、水で出た分が体積になることを示した人物です。他にも円周率などなど。

 

・櫂直のモデルは?

 いないです。架空の存在です。しかし、櫂はカイと読みます。ギリシャ文字でのカイはXです。つまり変数ですね。この物語における変数≒変人という存在が時代を左右するという意味ではXなのかもしれません。

 櫂を示すようなことわざもあります。

「艪を押して櫂は持たれぬ。」

 1人で同時に2つのことはできないというたとえです。つまり田中がいないとダメなんです。

「艪櫂の立たぬ海もなし」

 どんなに困難なことでも、努力すればなんとかなるものだというたとえ。

 櫂の諦めない姿勢が物語っていますね。

 

10.この映画に関連している気がする!?

〇数学的視点においても面白い映画と言えます。
 難題に悩む主人公には、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」が彷彿されます。終わり方も少し似ていますね。
 愛を数学的に話す主人公は、「博士の愛した数式」をも彷彿させる。靴のサイズは24、実に潔い数字だ。
 220と284は約数は互いに、284と220となる。きれいなチェーンで繋がれた友愛数だ。
 ほかにも、グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち、π、博士と彼女のセオリー、キューブ、プルーフ・オブ・マイ・ライフ、奇蹟がくれた数式,ビューティフルマインド等が挙げられます。

〇しかし、戦争映画というよりはジャーナリズム精神のような、悪を裁くための探究者的映画ともいえます。
 近々で言うと「新聞記者」や「ペンタゴン・ペーパーズ」や「スポットライト/世紀のスクープ」が挙げられます。

 

11.終わりに。

 戦争を経験し教えてくれる人はどんどんいなくなります。今若い人たちが少しでも知っておかないと、同じ過ちを生む可能性はあります。この作品は、ほぼエンタメ性抜群で、当時の悲惨さという面では弱いと言えますが、戦争を考えるには良い導入です。一度、劇場で見る価値は、人生経験において十分にあると思えた作品でした。